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他我問題

作者: あつき

R指定をする程ではないと思ったのですが、気分を害する可能性があるので、苦手な方はお引き返しください。




「ねぇ、明日世界が終わるとしたら君は何をする?」


「急にどうしたのさ。」


「いいから。答えてよ。」


「んー。いつも通りに過ごすと思うよ。」


「ええ?何それー。つまらないじゃない。」


「そう言われてもなぁ。多分だけど、何をしていいかわからなくて、それでいつも通りに過ごすと思うんだ。」


「ふーん。ねね、同じ質問をしてよ。」


「君にかい?」


「決まってる。」


「明日世界が終わるとしたら君は何をする?」


「ふふっ、私は────────────。」


君があまりにも嬉しそうに言うから僕は聞き間違えたのかと思った。


今、きっと僕はさぞかしおかしな顔をしているだろう。


君が声を上げて笑う。


その手にはどこから出したのか、ぬらりと光る鎌が握られている。


それは君の身長をゆうに超えていた。


「やるのかい?」


「もちろん。君に与えられた使命だからね。」


「そうだったかな?」


「そうよ。だって、ここは君の世界。私は君の幻想。そして本物。実在するの。」


「知ってるさ。ちょっととぼけてみただけだよ。」


君は再び笑う。


君の口が弧を描く。


君の手が僕の肩に触れる。


ぐいっと押され、僕は倒れる。


これから来るはずの衝撃と痛みに身を構える、が、それを感じることはなかった。


君がまたがる。


首に鎌がそえられた。


君の後ろには見たこともないほど大きな月があった。


「綺麗だね。」


「ふふっ、知ってるよ。君の瞳にうつってるからね。」


君は少し顔を歪めた。


「……なんてね。ありがとう。」


君はそういいながら鎌を引いた。


紅い華と輝く雫が君を彩った。


世界が終わる。





───────ツーツーツー…………


真っ白な部屋に電子音が鳴り響く。


誰かが僕の側で崩れ泣いたようだった。










「もし、明日世界が終わるとしたら君は何をする?」






「ふふっ、私は先に君を殺すよ。」

他我問題

他我は他者の持つ我のことを指す哲学の用語。

「他我をいかに認識ないし経験できるのか」との問題を他我問題という。

Wikipedia引用

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