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かくじょ!  作者: 天羽八島
第2章「最強女子決定トーナメント編」
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「ボクの売りが奪われちゃったかぁ〜」

 神女(かんなぎ)ドーム。

 国内屈指の財閥である神女グループの各種イベント開催用施設。

 都内一等地に立つ収容人数約六万を誇るこの場所が今回の大会の決勝大会の場所であり、ドーム内にある会見ホールが記者会見の会場でもあった。

 記者会見1時間前にドームに着いた國定道場一行の知里や優太含めて7人は広めの控室をあてがわれていた。



「うわぁ、あと十五分で始まっちゃうよ」

「琴名、緊張しすぎですわよ」


 学校のセーラー服姿で身震いをする琴名にナディアが声をかける。

 涼やナディアはカジュアルな私服。

 香澄は袴の柔術道着、真依は宣言通りのナース服に、知里は着付けのスタッフが付きプレゼンター用の着物に着替える。


「香澄ちゃん、記者会見でもちゃんと柔術着着るんだね? 運営の人も感謝してくれると思うよ、華やかで盛り上がるからね」

「柔術家としての正式な場だからな、それに戦いの場を提供してくれる運営にも少しは貢献してもいいだろう」


 着替えの間は廊下に出ていた優太が帰ってきて声をかけると香澄は襟を正しながら普通とばかりに答えた。


「優太くぅん、ウチかて運営に協力してるで? 褒めてや!」


 ピンク色のナース服にナースキャップまでした真依がそれを聞きつける。

 苦笑いの優太。


「いや、真依さんのそれは香澄ちゃんのそれとは意味合いが違うような、なんかお店の雰囲気が······」

「なんでや!」


 和んだ雰囲気が控室に流れるがノックをしてから、


「國定道場の皆さん、そろそろ会見が始まりますので自分についてきて下さい、会見室の袖まで移動します」

  

 と、スタッフが伝えてくると國定道場の面々は大会前会見にすぎないとはいえそれなりの緊張の顔を見せたのだった。





「それでは今回のバトルフィールドオブガール決勝大会記者会見をおこないます、わたくし進行役の富士山テレビ前田陽子と申します、宜しくお願いします」


 記者会見用のホール。

 頭を下げるのはお茶の間でも人気のある女性アナウンサー。

 取材陣からのフラッシュ。

 格闘マスコミ、ネット関連の記者などが主だがネットでの盛り上がりを見ての一般誌や他のスポーツマスコミ記者もおりそれなりの人数だ。


「今決勝大会は先日おこなわれた予選大会突破者8人と運営推薦の8人の16人によって行われます、決勝大会一日目に一回戦、翌日の決勝大会二日目に準々決勝、準決勝、決勝戦がおこなわれる2daysイベントで両日共にこの神女ドームでおこなわれます、なお大会当日にネット生放送、2日後に富士山テレビで総集編2時間スペシャルでの放送予定です、それではまず大会プレゼンターの夏目知里さんをお呼びしたいと思います」


 前田アナに呼ばれ、ホールに着物姿の知里がやって来ると前田アナにたかれたフラッシュの数倍に迎えられ知里はペコリと報道陣と前田アナに頭を下げた。


「宜しくお願いします」

「お願いします、知里ちゃんは今回プレゼンターでありつつ、本人からの強い希望で今回の有力選手の揃う國定道場を応援されてるそうですね?」

「はい、もちろん選手全員の健闘を祈りますけど知里は國定道場の皆さんとはとても良い付き合いをさせていただいてますから」

「なるほど、ではこちらへ宜しくお願いします、知里ちゃんには今日は進行のアシスタントもお願いします」

「はい」


 軽いやり取りの後、知里が前田アナの横に立つ。


「では······知里ちゃん、いよいよ今大会出場選手に壇上に揃って頂きます、なお大会2週間前という事もあり、まだ来日をしていない選手もおりますので今回は運営推薦枠6名、予選突破選手8名の合計14名の紹介となる事をご了承下さい、残る2名の推薦選手は数日中の正式発表となります」

「はい、さっそく各選手にご登壇いただきましょう······では、どうぞ」


 知里が笑顔で告げると大会のテーマソングらしい会場に勇ましい入場曲が流れ始めた。

 


「では予選大会突破選手からご紹介します、世界に数十万人の会員を持つコンロッド柔術会本部よりコンロッド柔術本家三女メルシナ・コンロッド16歳!」

「國定道場より抜群の格闘センスとオールラウンダーの対応力で予選突破の音羽琴名、こちらは15歳!」

「予選大会は全てサブミッションで勝ち抜き、女子高生という以外まったくの経歴不詳の17歳、(いずみ)選手!」

「こちらは逆にパンチ・キックの雨あられで予選突破! 現役の女子キックチャンピオンでもあります春日彩(かすがあや)22歳!」



 

 前田アナが名前を呼んだメルシナに続き知里に名前を呼ばれた琴名は首を何度か振って緊張を振り切ると廊下から会見室に入る。

 

『うわ、まぶし』


 たかれるフラッシュ。

 慣れない経験に琴名は目を擦る。

 

「入場された選手はこちらに並んで下さい」


 前田アナに促されたパンツタイプの柔術着に黄色のバンダナといういつもの格好のメルシナの横に並ぶと、続いて紹介された他の2人も琴名と一緒に並ぶ。


『あっ······この娘カワイイ』


 琴名の意識が向いたのは隣に並んできた泉と紹介された少女。

 17歳という紹介があったから琴名と同じく学生なのだろう、地味めなブレザー制服に身を包んでいる。

 セミロングヘアのわずかに色を抜いた髪、二重の瞼に高い鼻、薄い唇に色白の肌という文句のつけようのない美少女。

 体格も琴名とそんなに変わらない。

 その姿だけを観れば完全な文学少女。

 

『予選でファイトスタイル見とけばよかったなぁ、もっともあの時はあの時で周りを見る余裕無かったけど』


 経歴まで不詳というのはテレビ側のキャラクター付けか本人の希望かわからない。


『ちなみに泉さんが名前か苗字かもわかんないな』


 そんな事を考えてクスリとしていると、


「笑ってるなんて余裕ね、てっきり緊張でガチガチかと思ったけど?」


 隣のメルシナが声をかけてくる。


「いやいやボクの制服というは変わってるかと思ったんだけど他にもいて安心しちゃったんだ、この娘カワイイよね?」


 隣の泉に聞こえないようにメルシナに向けて目線で泉を示すと、


「ん~~、まぁ整っているけど見かけガキね、あれでアタシよりも歳上なんだから日本人は外見じゃわかりずらいわ、琴名はああいうのが趣味なわけ?」


 強がりか本気で思っているのか不明だがメルシナは首を振った。


「しゅ、趣味ってねぇ······ボクは相手がいないだけで至ってノーマルなの!」


 横目を向けてくるメルシナに舌をベェと出した琴名であったが、そんな事をしている間に予選突破選手の残りの4人が壇上にやって来る。

 

『真依さん、百合乃さん······あとは倉木さんともう一人は外国人の娘だな、あの娘も予選では見れなかったな』


 予選突破選手8名が揃う中、琴名は真依の隣に並ぶ娘を見る。

 一目で外国人と判断したのは金髪ショートヘア、青い瞳に褐色の肌という外見。

 身長は155センチくらいだろう、体重も40キロ台半ばかもしれない。

 ニコニコとカメラのフラッシュに満面の笑顔とピースサインを向けていた。

 その明るい表情は幼く、歳上なのだろうがまだ未成年に琴名には見える。


「ねぇメルシナ、一番隅のあの娘は知ってる?」

「え?」

「ほら、あの肌の黒いコ」

「エディスとかいう娘よ、ヨーロッパ出身らしいけど試合はアタシも観てないわ」

「ふぅん······私やメルシナが歳下だと思っていたけど結構私達と歳が変わらない娘達がいるんだねぇ」


 メルシナの素っ気のない返事に琴名が感心していると、


「······では次は招待選手の入場です! まず1番手はこちらの方です!」


 前田アナが招待選手入場紹介を始める。

 どうやら招待選手は1人ずつの登壇の様である。

 そして会場に現れたのは柔道着に身を包み首から金色のメダルをかけた少女。

 会場から沸き上がる記者席からの歓声。

 その声に少女は不敵な笑みを浮かべた。


「来ました! 今大会最年少選手にして柔道オリンピック金メダリストの赤垣杏子!!」


 参戦の噂通りのビックネームの登場。

 前田アナの声にも力が籠もり、カメラのフラッシュも溢れんばかりにたかれる。


「やっときたわね、アタシのターゲット······精々今のうちに注目されてなさいよ、必ず仕留めてやるからね」


 柔道オリンピック金メダリストというこれ以上ない肩書きの赤垣杏子に対し慰労会から見せていた敵愾心を隠す様子のないメルシナを見ながら、


「14歳······これで最年少選手というボクの売りが奪われちゃったかぁ〜」


 琴名は軽く肩をすくめたのだった。

 


続く

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