表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
かくじょ!  作者: 天羽八島
第1章「國定道場格闘女子参上」
65/92

「一体誰が?」

 大会名称はバトルフィールドオブガール。

 主催は富士山テレビと日本有数の財閥である神女(かんなぎ)グループ。

 通常リング使用の10分2ラウンド制。

 オープンフィンガーグローブ着用による一般的な総合格闘技ルール。

 決勝大会2dayトーナメント方式。

 選手は主催者招待の8名と予選突破の8名の16名によって争われる。

 予選突破者は決勝大会の1ヶ月前に予選大会が64名参加でおこなわれてベスト8まで決めて決定。

 予選大会合わせての賞金総額約3000万円。

 プリントアウトされた紙を読み上げる優太に國定道場格闘女子達は黙って聞いていたが、


「マジかいな、富士山テレビやと地上波やな!?」

「すごいね」

「まだ眉唾物だな、企画物のAVかもしれん」

「アンタまだ言ってんの?」

「フランスでも流してほしいですわぁ!」


 と、次々と話が始まり進み出す。

 女子が何人で姦しいどころではない、國定道場には6人の女子が居るのだ。


「で? 優太、この企画って私達がプリンセスドリームとやったのがネットで相当に好評だから、今度はって富士山テレビが出てきた、って話よね?」


 その中から話を切り出してきたのは涼。


「そうだよ、俺の方に富士山テレビのプロデューサーから前から連絡があってね、何度かのミーティングを経て本格的に動き出したらしい」

「じゃあ、主催者招待の8名って國定道場の私達が入っているわけ?」

「ああ······そうだね、全員じゃないけど」


 涼の推測通り國定道場の格闘女子達が出られるか出られないか、とかいう話では無い。

 だが優太は返事に少しつまる。


「涼とナディアちゃん、香澄ちゃんは招待選手としてエントリーされてる······もちろん選手としてのギャラも補償されてる」

「なんやとーー!!」

「ボクは愛日さんに負けてるからね、仕方ないね、予選からでも出させてくれると助かるけど」


 渋々した優太の返事に強い反応をしたのは真依。

 琴名は落胆しながらも仕方ないと苦笑だ。


「た、大将戦で安東唯に見事なハイキック決めたやろうが!? なんでや、なんでウチが招待選手にならんのやぁ!」

「あのハイキック、一部で物議醸し出してたからねぇ~、ブレイクかかってたんじゃね?とか」

「唯姐さんが怒って突っ込んで来たんやろうが? ブレイクもかかっとらんわ!」


 必死に涼に言い返す真依だが、


「予選会の出場資格はあんのやろ? だったら琴名ちゃんと一緒に予選から頑張ったる、試合数が多い分目立ったるわ」


 と、渋々ながら腕を組む。

 優太としては富士山テレビのプロデューサーにも真依も招待選手にしてほしいと喰い下がったのだか、涼の言った通り、ネットなどではプリンセスドリームのファンを中心に真依が唯に決着のハイキック決めた経緯が問題視されており文句無しの圧倒的勝利を獲た涼、ナディア、香澄とは同一視出来ないと返答されてしまったのだ。


「勝ち方が問題なら香澄もやろうが? 竹刀でブッ叩いてのKOとかあり得へんやろ?」

「私のは相手と平等のルールを使用しただけだ、私はワザワザ試合を盛り上げたボーナスが欲しかったくらいだぞ?」


 フンと鼻息を鳴らす真依に香澄は素っ気ない。


「悪いね、琴名ちゃんに真依さん、もう少し上手く交渉してたら違ったかも知れないけど」

「構わへんわ、予選会で実戦勘を完全に取り戻してのうのうと決勝大会に居座ってる奴らに痛い目見せたろうやないか」

「優太さんが謝る事無いよ、ボクも予選会から頑張るよ······で? 愛日さんや唯さんは大会には出るのかな?」

「えっと······正式発表前にあんまり情報を獲るのはと教えてもらえなかったけど出るんじゃないかな? 富士山テレビはプリンセスドリームのPとも繋がりが深いから出るんじゃないかな?」

「じゃあ、リベンジだね!」


 琴名はグッと拳を握る。

 プリンセスドリーム対國定道場対抗戦で敗北してしまった選手達も大会に出てくるかもしれない。

 プリンセスドリーム側で唯一勝利した雑賀愛日は招待選手で決勝大会からの可能性も高い。


「じゃあ、当たり前だけと確認するよ? 今大会には國定道場格闘女子は全員出場で良いね?」


 優太がそう見渡すと全員が頷く。


「トーナメントだからね、おそらく何処かでウチ同士の同門対決があると思うけど?」


 気になっていた事を口にする優太。

 格闘技の流派によっては同門対決は基本的に禁止になっている場合も多い。

 國定道場で聞いた覚えはないが確認をしなければいけないと思ったのだ。

 一瞬走る重苦しい空気。

 だが······


「こんな大会で涼やナディアに恥をかかせてしまうのは忍びないが······これも渡世の行きがかり、優勝賞金で寿司を奢るから赦せよ」

「皆さん、怪我しても知りませんわよ? 痛かったら早めにギブアップしてくださいましね、優勝賞金では入院費は出せませんわよ?」

「言ってなさいよ!? 私のローキック下手に我慢したら暫く歩けなくなるから大切な予定は大会前に済ませておきなさいよね」


 招待選手である香澄、ナディア、涼が不敵な笑いを浮かべ合い始めると雰囲気はいつものそれに戻る。

 これほどの規模の大会は全員が初めての事で練習のスパーリングは何度もしていても、真剣勝負の試合は互いにはないだろう。


「それなら試合は当然恨みっこ無しでいこう、皆の健闘を祈るよ!」


 そう優太は全員を鼓舞しつつも、



『ウチの女の子達が本気で闘ったら、一体誰が?』


 と、己の格闘技ファンとしての純粋な興味が沸いてきてしまうのであった。


 

 

続く

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ