「こんな乙女に酷い言い様ですわぁ」
モデルもこなす高身長とド迫力のプロポーションを白いバンドゥビキニに包み、金髪ロールと共に目立たせるナディア。
派手さはないが、均整のとれたスレンダーな身体を黒のワンピース水着に映えさせる香澄。
身長はそこまでないが、ナディアにも負けない国産のグラマーボティをピンクのホルダービキニに委ねる涼。
小柄ながらもプロポーション抜群と業界では有名な知里はアイドルらしい白と青の柄のフリルビキニ。
琴名は健康的で引き締まった身体をグリーンのスポーツタイプビキニに包む。
紫のハイネックビキニに涼やナディア程ではないが、出るところはキチンと出た身体とチャイナドレスも完璧に着こなす美脚を隠さない真依。
『ヤバイ! ウチの道場······ホントに芸能事務所じゃないかってくらいにヤバイ』
どこに出しても恥じない各々の美貌。
十分に可愛らしさのある千鶴が引け目を感じてしまうのも優太には理解できてしまうくらい。
それなりの値段の完全予約制の高級スパリゾートなので、沢山の客がいるわけではないが周囲の視線は集めてしまう。
「ユータ、何をボサッとしてますの!?」
優太を覗き込むようにしてくるナディア。
「あ、いや······そのっ、なんでもないよ」
バンドゥビキニに寄せられた肌。
豊かすぎる隆起の果実。
一旦、目に入ったそれから視線を外すことは難しいがどうにか逸らして横を向く。
逸らした顔の前にニュッと出てくる脚。
「優太くぅん、お姉さんの水着姿どうやぁ!?」
「あ······いや」
「優太で遊ばないの!」
「うわちゃぁぁ!?」
顔の目の前に出てきた真依の美脚に赤面しかける優太だったが、涼がその脚をヒョイッと更に叩き上げ、真依は豪快に後ろに横転するかと思いきや、その勢いに逆らわず、クルリと一回転して着地する。
オオッ!
これには周りのギャラリーも沸く。
真依はそれらにドモドモと愛想良く応えた後、
「危ないやないか!?」
と、涼を睨むが、
「アンタが人目もはばからず脚あげるからでしょ? それにアンタが簡単には転ばないのは解ってたわよ」
涼は気にも止めない。
「あ、あの······そろそろ、泳ぎましょう」
「そうだよ、涼ちゃんも真依さんもすぐにじゃれるんだから」
周囲の目が気になったのだろう知里が切り出すと、琴名も涼と真依を呆れた様に見る。
「そうだね、じゃあ······これだけ色々な種類のプールがあるんだから、各々自由に泳いで、そうだな、1時になったらここに再集合して昼御飯にしよう」
現在11時半、1時間半も遊べば空腹になるだろう。
優太の提案に皆が頷く。
広いスパエリアだが、係員もいるから迷う心配は無い。
「あ、あとみんな······」
優太は皆を見回す。
「自覚が無いとは思わないけど、みんな目立つからね、本人が良いならいいけど変なナンパとかには気を付けてね、特にチーちゃんとかは······」
「チーちゃんにはボクとガッキーが一緒にいるから平気だよ」
優太の心配にグッと拳をつくる琴名。
ガッキーがどこまで安心に寄与できるかは未知数だが、琴名のハッキリと言える性格とイザとなったら街の不良くらいは簡単に撃破出来るであろう格闘技の腕は安心材料だ。
「それは安心だね、予約制の所だからそこまでマナーの悪い客がいるとは思えないけど、どうしてもしつこい人がいたら······」
「遠慮無くやれ! 格闘家とコンクリートで立ち合うという愚を身体に教え込むんだ!」
「いや、まずは係員さんを呼んで助けを求めようね、実力行使は最後の手段だからね、香澄ちゃん」
仁王立ちで腕を組む実戦柔術家香澄に優太は首を振った。
調整されたプールの水温が身体に心地よかった。
久しぶりに泳ぐ優太はまずはスパ全体を一周している流れるプールで一周してみる事にする。
流れるといっても、ユックリとした物で身体慣らしにはちょうどいい。
「そんなに深くもないな、島の周りの海より流れもないし、流れに身を任せても安全だしね」
周りには浮き輪や動物の形をしたフロートで遊ぶ子供。
優太の過ごしてきた故郷の海では外海なので、波に揺られて寝てしまうなどしていたら命に関わってしまう。
「ユータ! 何を悠長に波に揺られてますのよ!?」
ユックリと泳いでいた所に並んできたのはナディア。
「ナディアちゃん」
「一周競争しません? 全力自由形で」
「いやいや、そういうプールじゃないでしょ? それにナディアちゃんの全力に俺が追い付く訳ない」
泳ぎ始めからの競争の提案に苦笑い首を振る優太。
「え? なんで追い付かないと決めつけますのよ!? 私の泳ぎなんてユータ観たことないでしょうに?」
「想像は付くよ、ナディアちゃんのパワーでクロールとかしたら下手したら掻いた勢いで立てた高波で周りの泳いでる人達をプールサイドに座礁させるくらい出来そうだよ」
「まぁ!」
人間とは思えない桁違いの筋力をこれまで何度も見てきている優太としては有り得る話をしたのだが、ナディアはそれに大仰に反応した。
「こんな乙女に酷い言い様ですわぁ、クロールを掻くだけで周りを座礁させるとか、傷つきましたわぁ! このっ!」
不意に優太の背中に抱きついてくるナディア。
もちろん泳いでいる最中なので慌てるが、まだギリギリ脚のつく場所であったので溺れる心配はない。
それよりも優太の背中に感じる二房の大きくて柔らかな感触に優太は慌ててしまった。
「ナ、ナディアちゃん? 抱きつかれると!」
「暴れないで、脚がつくから平気ですわよ、傷つけたバツですわよ? 一周分私を楽にさせてくださいませ」
「え?」
「ほら、少しは深くなってる場所もありますけど、ちゃんとしてれば平気ですわよ」
抱きつかれたまま、耳元で囁くナディア。
思わず赤面してしまう優太だが、彼女のいう通り慌てなければナディアも身体を密着させてきてはいるが、体重を全部預けてきてる訳ではないから平気だ。
しかし······問題はそこではなかった。
優太の背中に確実に伝わる柔らかで例えようのない二房の果実の重い感触。
「いや、あのね······そういう事だけではなくて~」
「なんですのよ?」
「あ、いや······その」
顔を近づけてくるナディア。
青い瞳に整った顔立ち、プロポーション抜群の濡れた肌。
端からみれば流れるプールに身を任せながら、いちゃつくカップルにしか見えないかもしれない。
注目を集めないのは予約制の高級スパリゾートで客が多くないからだ。
ナディアは良く優太にこういう甘える仕草をしてくるが本人としてはそこまで大胆な自覚がないのかもしれない。
このまま男子としては心地よい感触を味わいながらナディアを流れるプール一周エスコートするのも選択肢としてはあったが······優太は優太なりに意を決する。
「あのさ······ナディアちゃん」
「なんですのよ?」
「いやね、そんな格好で抱きつかれたら慌てるよ」
「え?」
「でしょ? 俺だって男なんだから······ナディアちゃんは抜群に美人でプロポーションもスゴいんだから、こっちだって意識しちゃうってば」
優太が首をかしげて見せると、ナディアの顔面が少しずつ紅潮していき······
「も、もうユータったら!! わ、わ、わたくしとしてはそれくらい······いいのにっ、いや、そこまでハッキリ言われると······もうっ!!」
バシャァァァァァァンッ!!
直接叩かれた訳ではない。
ナディアは赤面しながら優太の目の前の水面を叩いたのだが、その威力は常人のそれではなかった。
流れるプールに立ってはならないような巨大な高波が目の前に立ち、
「おわぁぁぁぁぁぁぅ!」
優太はまさに自分が例えたようにナディアの怪力が立てた高波にさらわれてしまうのだった。
続く




