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かくじょ!  作者: 天羽八島
第1章「國定道場格闘女子参上」
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「千鶴ちゃんも十分にカワイイよ」

 スポットライトが当たるスタジオ。

 書割りのセット。

 知里は大型モニターに出された問題が読まれると、2秒後に丸い回答ボタンを押す。


「はい、知里ちゃん!」


 司会者に指名されると、知里はゴクリと息を呑んでから······


「草薙愛菜さんです」


 と、緊張気味に答えた。





「へぇ~、最終問題で間違えて準優勝かぁ~」

「そうなんです、逆転を狙って思いきって答えてみたんですけど······知里、あまり同業の方に詳しくなくて」


 夕食を囲む居間。

 琴名が惜しいなぁ、という声を上げると知里は申し訳無さげに頭を垂れた。


「優勝のニューヨーク旅行は逃した、でも良いんじゃありません? 知里のスケジュールじゃニューヨーク旅行なんて予定取れませんでしょ?」

「そうですね、ペアチケットだったから、この中の誰かに差し上げる事も出来たかもしれませんが······」


 どうせ当たっても多忙な知里には無用な物だろうと慰めるナディアに知里は答えながら、


「実は準優勝にも商品がありまして······」


 と、食卓を囲んだ座卓に数枚のチケットを遠慮がちに出した。





「大きい建物ですわねぇ~、この建物全部がそうなんですの?」


 國定道場最寄りの駅から数駅。

 駅の近くの屋内型スパリゾートを見上げる背中にリュックを背負ったナディア。


「そうだよ、ガッキーも言ってたよね? 招待客以外は完全予約制だけどなかなか取れないって」

「そ、そうだね」

「そんなにはしゃぐな、恥ずかしい田舎者丸出しだ」

「アハハ······ごめーん」


 内気な眼鏡の友人ガッキーこと池垣千鶴に話を振る琴名だが香澄に注意されて舌を出す。

 

「招待券の人数が多めで助かったわね」

「4名が2枚分あったんでよかったです、お陰で琴名ちゃんの友人も招待できたし」


 知里と涼も笑い合う。

 知里の貰ったクイズの準優勝商品は都内高級スパリゾートの1日招待券4名分2枚であった。

 國定道場のメンバーは優太を入れて7人、別に余っても構わないのだが、琴名が友人の池垣千鶴が行きたがっていたという事を思い出し、ならば本人が良ければと誘ったのだ。


「でも都心では無いとはいえ、これだけの規模の屋内スパリゾートかぁ、どんなのだろう?」

「目の前に来たんやから入ってもうた方が早いやろ? 入ってみなきゃよくわからんのは風俗と同じやな」

「······千鶴ちゃんもいるんだから真依さんは言動には気をつけてくださいね、でも早速入りましょう」


 普段の会話からアブない事を言う事が多い真依、苦笑を浮かべるという無難な対処しか出来ない優太であった。



 ホテルのような大きなホール。

 そこで受付をすると、幾つかの説明を受ける。

 

「スゴいねぇ、施設内の食べ物は食べ放題なんだぁ」

「まぁ、水着では財布持てんしな、その分入場料で取られてるんだろう」

「ダンスショーとかもあるらしいですわ」

「レストランエリアまで行かんと、アルコールないんやな、しかもそこは有料と」

「当たり前でしょうが! 酔っ払いにプールとか無いから」


 各々が色々と話ながら、ロッカールームに向かう國定道場の女子達。

 少し遅れて歩く優太に歩み寄ってきたのは知里。


「優太さん」

「ん? どうしたのチーちゃん?」

「いや、何があるとかではないんですけど······その今日は楽しみましょう」


 ニッコリと笑顔を見せてきた彼女に、


「もちろんだよ、折角チーちゃんが頑張って取ってきてくれた賞品だからね、楽しませて貰うよ」


 優太もアイドルスマイルには到底かなわないであろうが、精一杯の笑顔で応じるのだった。




「ええっと、こっちだな」


 男子用のロッカールームに着替えと貴重品を預け、トランクス型の水着に着替え、手首にロッカーのカギを兼ねた防水ブレスレットを着けた優太は他のメンバーと待ち合わせた場所に急ぐ。


「管理人さん!」


 途中で会ったのは琴名の友人の池垣千鶴であった。

 先程まで眼鏡に三つ編みの彼女だが、泳ぐ際には眼鏡も三つ編みもほどいてイメージが変わっており、呼ばれなければ気づかなかったかもしれない。

 黄色いワンピース水着がまだ琴名の同級生という女子高生らしさを感じさせた。


「ああ、ガッキーちゃんか、みんなは?」

「先にプールサイドに、わたし着替えにとまどっちゃって、入ったところで待ってるらしいです」

「そう、じゃあ、行こうか」


 着替えに戸惑ったらしく置いてきぼりをくった千鶴と優太はスパエリアに続くガラス張りの回転扉を通る。


「うわぁ、広いんですねぇ!」

「そ、そうだね、それに天井も高い」


 スパエリアに入った途端、声をあげる千鶴に優太も素直に続いてしまう。

 屋内ぶち抜きのスパエリアは幾つものプールや巨大滑り台、ジャングルのように樹木がある部分もある。

 泳ぐといえば島での自然の海であった優太は海の広大さとはまた違う人工物の織り成す巨大さに驚く。

 天井はガラス張りで太陽光を取り入れつつも、照明もつけられており雰囲気は南国のビーチ。

 プールを取り囲む壁沿いにはトイレや様々な売店。

 

「流石は普通に入場券を買うとお高いだけありますね······」

「そ、そうだね、まさに高級スパリゾートだね」


 思わず笑い合う千鶴と優太。


「こっちですわよ~!」


 そんな二人にかかるナディアの声。

 各プールの説明が書かれた案内板の所に先に行った女性陣が待っていたのだが······


「優太、遅いで! 千鶴ちゃんとしけこんだと思ったわ」


 真依が優太に手を振る。




「この高級プールも十分に驚きますけど······あのメンバーの水着姿も十分にスゴいです、じ、自信無くします」


 案内板の傍に立つ女性陣を観て千鶴がうなだれる。

 そこにはまるでアイドル達(本物も混じってるが)の水着の撮影会が行なわれると言われても嘘には聞こえないような、美女美少女達が周囲の注目を浴びながら立っていた。


「いや、その······ち、千鶴ちゃんも十分にカワイイよ、あのウチの道場の娘達は、その」


 うなだれる千鶴を慰めたいが、水着姿に改めて國定道場の女子達のルックスのレベルの高さを再認識してしまい、上手い言葉が出てこない優太であった。




続く

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