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春とはいえ 森の中は温度低い。 だが冷気とは違う不安という寒さを感じながら、森の中を走る小さな二つの影。

「お兄ちゃん…怖い」

影のやや小さな方が 自分の手を引っ張って走る兄を見上げる。

「大丈夫だアベルここまでくれば、あいつも追ってはこないから」

心配そうに見上げるアベルに少し笑ってみせるが その表情に余裕はない。

今 彼等にできるのは遠く逃げる事。二人はただ走る。

森を疾走していると前方が少しづつ明るくなる。

回りの木々も間隔が広くなり、森を抜けるのが解る。その時だった。ひとつの影が彼等の前におどりでてくる。驚いて止まろうにも止まれず その影に勢いよくぶつかる。

“ドンッ!!”

「キャッ!」

「うわっ」

草の中に転がった 合計三つの人影。

その中で真っ先に起き上がったのは 兄のアストだ。今しがたぶつかった物を見てみるとそこには、綺麗な女性が腰を押さえて起き上がってくるとこだった。「イタタタタ。何が起きたのかしら?」

腰をさすりながら起きた女性が目の前で自分の事を凝視している少年を見る。

「あら?貴方達は?」

にっこりと微笑むが まだ腰を押さえたままだ。

「あんたこそ何物だ」

まだ倒れたままのアベルを背中で守りながら 緊張した声で問い返す。

「私とした事が。人に名前を聞く前に、自分が名乗るのを忘れていましたわ。私はスズ・アイル・クラインと申します。」

相変わらずのマイペースで答える。

「俺はアスト。こっちは弟のアベル」まだ警戒したまま やっと目を覚ましたアベルを自分の方へ引き寄せる

「あんたはこんなとこで何をしてるんだ?」

アベルが強い口調でいうと、

少し驚いた表情を浮かべたが、すぐにいつもの調子で

「私は妖精を探しに」

「は?」

しばしの妙な沈黙の後、ボソリと

「頭打ったのかあんた?」


「打ったのは腰だけですからご心配なく」

「はぁ〜あんた人から天然だとか言われないか?」

「えぇよく」

それを言うのは 椿とサーラだ。「妖精なんている訳ないじゃん」

馬鹿にしたような口調で言うアスト

「いますよぅ、うちの魔術師の椿ちゃんが言ってましたもの、私達魔術師は精霊の力を借りて魔術を使うのですよって」

「魔術師?」

アストの顔が少し曇る。それに気付いたのはアベル。掴んでいたアストの服をさらに強く握る。

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