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「それは簡単に言うと姫様が今どこにいるか一発で解る品物だ。」
「お前相変わらずすげぇもの作るな」
「まぁね。私に出来ない魔術などそうそう無いわ」
と高らかに笑うラナを無視して箱の中をマジマジと見るドリス。「んで、これどうやってみるんだ?」
「あっ?えぇ…、まず見るのは風景ね、箱の下が緑色になっているでしょ?これは今外にいるって事。床が赤なら城内よ」
「このチェスの駒みたいなのは?」
「それは人物。今立っているのがスズ姫よ」
椿の細い指がブルーのクリスタルを差す。
「これをみる限りまだそう遠くには行ってないみたいね、まだ城の敷地内にいるからいつでも連れ戻しにいけるわ」
「おう!そうだな。でもお前これみて、スズ姫が出ていかれるのは分かっていたんだろ?なぜ止めにいかなかったんだ?」
「私は頭脳担当。姫が出て行ったのがわかったんだから、後は肉体労働担当のあんたとサーラに任したわよ」
ヒラヒラと手を振りながら椿がもといた椅子に腰かける。
「そうか。そうだなと言いたいがお前もこい。」
「あんた私の話し聞いてた?。」
「あぁ聞いていたとも、残念ながらサーラは密偵の仕事からまだ帰ってない」
「はぁ〜…わかった。行けばいいんでしょ」
納得をしたものの日焼けは嫌だとか 今すぐあの太陽を消し去りたいとブツブツ言っている椿を連れだし、城外に出る。「さて、姫はまた森の方に向かっていたな」
「えぇ」
ドリスの横で椿が小さくうなずく。
「でも私達が姫の元に向かう間に進路をかえられたら参るな」
「大丈夫よ姫がどこにいるかはこの鏡がおしえてくれるわ」
椿が胸の谷間から小さな鏡を取り出す。掌サイズのその鏡の縁には綺麗な金細工が施され縁の間にはブルーの宝石がひとつはめこまれている。