6話 パパのこと?「パッパッパッ」くん
今日の言霊園は、朝から外の世界がひどく騒がしいようです。
『……いや、それはただ音が言いやすいからだって。』
『いーや! 絶対に言ってる!今、僕の顔を見て言った!』
何やらパパとママが、熱い議論を交わしています。
その原因は、ひなたくんの足元で元気に跳ね回っている、新しい園児の姿にありました。
「パッパッ! パッパッパッ!」
最近ひなたくんから生まれた「パッパッパッ」くん。「あーうー」くんの友達です。
彼はポップコーンが弾けるような軽快な動きで、パタパタと走り周ってます。
そこへ、期待に満ちたパパの声が降ってきました。
『ひなたー。パパですよー。パ・パ!』
すると、ひなたくんは一生懸命に口を動かしました。
「……パッパッパッパッ!」
『ほらーーー! パパって言った! 完全にパパって呼んだよ!!』
空から、パパの勝利宣言と、飛び跳ねるような振動が伝わってきます。
『うーん……どうかしら……』
まだ半信半疑のママの声。
「あはは、ひなたくん。本当にパパのことを呼んだのかしら?」
コトハおねえさんが、クスクス笑いながらパッパッパッくんを抱き上げます。
「まあ、いいじゃないか。パパがあんなに幸せそうに笑っているんだから」
ゲンジおにいさんも、満足げなパパの声を聞きながら、優しくひなたくんの頭を撫でました。
『ひなたはパパが大好きだもんねー! よーし、高い高いしちゃうぞー!』
パパの弾んだ声を聞いて、ひなたくんも、そしてパッパッパッくんも、嬉しそうに「パッパッ!」と声を弾ませます。
それが「パパ」なのか、それともただの音遊びか、ひなたくんとパッパッパッくんだけが知っています。
けれど、言霊園がパパの喜びでポカポカと温かくなりました。




