4話 はじめての笑い声「キャッキャッ」ちゃん
今日の言霊園には、街からベテランのゲストが来てくれました。
大きな白い手袋を顔に当てた、ユーモアたっぷりの「いないいないばあ」さんです。
「ほーら、ひなたくん。いくよ? いないいなーい……ばあ!」
「いないいないばあ」さんが顔をひょっこり出しますが、ひなたくんは不思議そうにキョトンとした顔。
「おや、もう一回! そーれ、いないいなーい……ばあ!」
「いないいないばあ」さんは一生懸命に変な顔をしてみせますが、ひなたくんはまだ、じーっと見つめるだけ。
「ふふ、ひなたくん。ちょっと緊張してるのかもね」
コトハおねえさんが見守っていると、空からひときわ明るいパパの声が降ってきました。
『ひなたー! パパだよ。いないいなーい……ばあ!!』
その瞬間、ひなたくんの目がキラリと輝き、お口が大きな三日月形になりました。
「……あっ、ははっ!」
ひなたくんの満面の笑みから、弾けるような光が溢れ出し、ポンッ!と元気いっぱいの女の子が飛び出してきました。
「キャッキャッ! キャッキャッ!!」
黄色いリボンを揺らして、鈴を転がすように笑う、「キャッキャッ」ちゃんです。
「まあ! なんて笑顔が素敵な子なの!」
コトハおねえさんが、つられて笑顔になります。
「そうだね。これからその笑顔をたくさん振りまいて、きっとみんなを幸せにしてくれるね」
ゲンジおにいさんも、嬉しそうに目を細めました。
空から、パパが大興奮で叫んでいる声。
『ママー! ひなたが笑った! 今、笑ったよ!!』
『えぇーっ!? 本当!? 私も見たい、もう一回やって!』
『よーし、もう一回だぞ。いないいなーい……ばあ!』
「キャッキャッ! キャッキャッ!」
ひなたくんと一緒に、キャッキャッちゃんも園内を跳ね回って笑います。
それを見た、「いないいないばあ」さんは、ポリポリと頭をかきながら笑い出しました。
「参ったな。パパの愛情たっぷりの声には敵わないや」
言霊園に楽しそうな笑い声がいつまでも響いていました。




