2話 「おっぱい」ちゃん、「よしよし」ちゃん、そして……?
「オギャー! オギャー!」
今日も言霊園には、元気いっぱいの2人の声が響き渡っています。
ひなたくんの横では、オギャーくんが顔を真っ赤にして飛び跳ねていました。
「ふふっ、二人とも今日も元気いっぱいね!」
コトハおねえさんが目を細めて見守ります。
「さて、どうしたのかな? お腹が空いたのか、それとも眠いのかな?」
ゲンジおにいさんが首を傾げていると、外の街から園に向かってパタパタと足音が聞こえてきました。
「きっと私が必要なのよ!」
「いいえ、今は私の番じゃないかしら?」
現れたのは、街からやってきた二人の女の子。
ピンクのワンピースを着た食いしん坊の「おっぱい」ちゃんと、ふわふわのぬいぐるみを持った穏やかな「よしよし」ちゃんです。
その時、空からママの優しい声が降ってきました。
『ひなた、お腹空いた? はい、おっぱいですよー』
「ほら! 呼ばれたわ!」
おっぱいちゃんがひなたくんのそばへ駆け寄り、一生懸命に元気を分け与えます。
……けれど。
「オギャー! オギャー!」
ひなたくんもオギャーくんも、泣き止む気配がありません。
『あら、飲まないわね……。眠いのかな? よしよし、ねんねしようね』
今度はよしよしちゃんが、ひなたくんの背中を優しくトントンと叩きます。
「やっぱり眠かったのよ。さあ、落ち着いて……」
……ところが。
「「オギャー!!」」
二人の声はますます大きくなるばかり。
「「あれれー??」」
おっぱいちゃんとよしよしちゃんは、顔を見合わせて首を傾げました。
いつも園にいる猫もやって来て、ひなたの顔を覗いてます。
「二人とも、助けに来てくれてありがとう」
コトハおねえさんが困り顔の二人をなだめます。
「でも、今はちょっと違ったみたいね」
「どうして泣いているのか、みんなで考えてみようか」
ゲンジおにいさんが腕組みをして、
「うーん…どうしたらいいかな?」
とみんなで考えます。
今度はパパの、少し慌てたような声が響きました。
『オムツ替えようか。ひなた』
すると不思議なことに、あれほど激しかったひなたくんとオギャーくんの声が、ピタッと止まったのです。
ひなたくんの表情がパッと明るくなりました。
『よし、スッキリしたねー!』
その声と一緒に、ものすごい勢いで男の子が入ってきました。
「すっきり! すっきり! あー、スッキリ!!」
水色のマントをなびかせた、爽やかな「スッキリ」くんです。
「お待たせ! 僕の出番だったみたいだね!」
ひなたくんの周りをスッキリくんが飛び回るたび、園の中に爽快な風が吹き抜けます。
コトハおねえさん達はそれを見て「なーんだ!」と笑い出しました。




