13話 特訓!「いないいないばあ」さん
言霊園に、言葉の街からベテラン「いないいないばあ」さんがまた来てくれました。
今日はひなたくんの特訓の日です。
「いいかい、ひなたくん。じゃあ行くよ。いないいない……」
「いないいないばあ」さんの合図に合わせて、ひなたくんも小さな手で顔を隠します。
「まだだよ……まだ……。タメが大事なんだからね」
ひなたくんは、指の隙間からチラチラと「いないいないばあ」さんの様子を伺います。
「……いまだ!」
「「ばあ!」」
二人が同時に顔を出すと、園の中に弾けるような笑い声が響きました。
「ひなたくん、いないいないばあが随分と上手になってきたわね」
コトハおねえさんが拍手を送ると、ゲンジおにいさんも優しく頷きました。
「今度はひなたくんが、みんなを笑わせる番だね」
「いないいないばあ」さんは、腰に手を当てて言いました。
「よし、じゃあ今度は一人でやってごらん!」
ひなたくんは、お気に入りのタオルを被って顔を隠しました。
「いないいなーい……」
「ひなたくん! もっとじらして! 大事なのは『タメ』だよ!」
「いないいないばあ」さんの熱血指導が入ります。
その時、外界からパパの楽しそうな声が降ってきました。
『あれー? さっきまでここにいたのに、ひなたいないなー。どこ行っちゃったんだー?』
パパが自分を探しています。
ひなたくんは我慢して、最高のタイミングを待ちました。
そして……。
「ばあーーー!」
勢いよくタオルをはねのけて、渾身の「ばあ」を披露しました。
『わあ! びっくりした! なんだ、そこにいたのかひなたー!』
空から、パパの大きな笑い声と温もりが、光のように園内へ降り注ぎました。
「合格! 免許皆伝だ!」
「いないいないばあ」さんが太鼓判を押すと、ひなたくんはいたずらっぽく笑って、またすぐに顔を隠しました。
「おや? ひなたくん、どこへ行ったんだい?!」
ばあさんが大げさにキョロキョロすると、
「ばあ!」
「わわっ! こりゃ驚いた!」
その日から、ひなたくんは園の仲間たちを「いないいないばあ」で驚かせては、みんなを笑顔にしています。




