11話 愛の盾「ダメ」さん
言葉の街からいつも眉間にしわを寄せて、少し怖い顔の「ダメ」さんがやってきました。
「ダメ!」
ワンワンくんが勢いよく猫を触ろうとすると、ダメさんが間に割って入ります。
「ダメ!」
ないないくんがおもちゃをポイッと投げようとすると、ダメさんの鋭い声が響きます。
「ダメー!」
ひなたくんがペンで床にダイナミックなお絵描きを始めると、ダメさんは飛んできてペンを制止しました。
元気いっぱいだった園の子たちは、突然現れた厳しいダメさんに少し怯えているようです。
「いつもすみません、ダメさん。嫌な役回りを押し付けてしまって」
コトハおねえさんが、申し訳なさそうに声をかけました。
するとダメさんは、少しだけ表情を和らげて言いました。
「いいんですよ。嫌われるのは慣れてますから。……全ては、ひなたくんのためですから!」
ゲンジおにいさんも、深く頷きます。
「ひなたくんが少しずつ、危ないことや、やってはいけないことを理解し始めた証拠です。ありがとうございます、ダメさん」
その時、空からパパとママの少し疲れたような話し声が降ってきました。
『最近、ひなたが色々できるようになってきたから、ちょっと大変だね……』
『そうだね……。ダメダメばっかり言うのも可哀想だし……』
『次に何かやらかしても、少しだけ「ダメ」って言うのを我慢して、様子を見てみましょうか』
それを聞いたダメさんは、寂しがるどころか、満足そうに笑いました。
「パパさんもママさんも頑張っておられますな。……分かりました。では、また必要になったら、遠慮なく呼んでください!」
そう言い残すと、ダメさんは風のように軽やかに、園から去っていきました。
それからのことです。
ひなたくんが危ないことをしそうになると、ダメさんは姿を見せず、物陰から「ダメだよー」と優しく囁くようになりました。
ひなたくんはその声を聞くと、危ないことをするのやめるようになりました。
でも、本当に危ない時だけは、ダメさんはどこからともなく飛び出してきて、ひなたくんに全力で叫びます。
「ダメーーー!!!」
それは、ひなたくんを全力で守るための、愛の叫び声なのでした。




