番外編 「コトハ」おねえさんと「ゲンジ」おにいさん
今日の言霊園は、目が回るほどの忙しさです。
ひなたくんから言葉がどんどん生まれ、街からは色んな言葉がやってきます。
そんな園の中心にいるのが、二人のおねえさんとおにいさんです。
コトハおねえさんは、言葉が「音」として生まれた時からずっとそこにいます。彼女の明るい笑顔は、生まれたばかりの頼りない言葉たちに自信を与え、いつも見守っています。
ゲンジおにいさんは、言葉が「意味」を持ち、世界と繋がった時からそこにいます。彼は真面目で優しく、言葉たちがどんな役割を持っているか一緒に考え、導いてくれます。
「あら? あなたは何くんかしら?」
二人がふと部屋の隅を見ると、いつの間にか新しい子がポツンと座っていました。
「ないない……。」
少し恥ずかしそうに呟くその子を見て、二人は顔を見合わせて微笑みました。
「『ないない』くんね! 言霊園にようこそ!」
「さっき、おもちゃをお片付けしている時に生まれたんだね。お片付けできてえらいね。」
二人が優しく声をかけると、ないないくんは嬉しそうに、自分でおもちゃの箱を抱きしめました。
そんな二人のやり取りを、ひなたくんがじーっと見つめていました。
ふいに、おねえさんとおにいさんの視線が、ひなたくんの瞳と重なります。
すると、ひなたくんはパァッと顔を輝かせ、一生懸命に手を振りました。
「見て! ひなたくんがこっちに手を振ってるわ!」
コトハおねえさんが、声を弾ませて喜びます。
「嬉しいね……。ひなたくんにとって、僕たちが『大好きな人』になってきたんだね…。」
ゲンジおにいさんも、温かな感情を噛みしめるように頷きました。
「これからも、よろしくね。ひなたくん」
手を振り返す二人の眼差しには、より一層深い愛情が宿っていました。
ひなたくんと言葉たちを、二人はこれからも、一番近くで守り・育てていくのです。




