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幕間1
こうして、最初の実験は、被験者の事故による死亡という形で終了した。『神』にとっては、消化不良のような結果ではあったが、異なる世界への人の移転という最初の目的は果たせたことは小さな成果であった。
これにより、「異世界への転移」という事象の成功率は上がったことは確かであったが、やはり「常識・習慣」といった生活に関わることの「ずれ」については、『神』の使者による教育では簡単に埋めることができず、転移が成功した被験者が寿命を迎えることは稀であった。
体験によって覚えさせることが確実か?と考えた『神』は、何人目かの被験者を成人したヒトではなく、まだ物心がつく前の乳幼児のヒトを被験者とすることにした。
まだ、成長途上の乳幼児に対する施術は成人したヒトと異なる術が必要となったため、最初の頃と同じく幾度かの失敗を重ねることとなったが、最終的に成人前のほうが楽にできることが判明した。とはいえ、成人の転移が無くなったわけでなく、差異を観測するために当面は両者の転移が並行して行われることとなった。
しかし、乳幼児を被験者としたことは後々問題となり、早々に取りやめることとなったため、成人との間の差異があると認めるような結果を得られることは出来なかった。




