表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Gods labo -神々の戯れ-  作者: 重宗直太郎
狩人に成った幼き者の話
12/12

4

 親父の葬儀が終わった後、俺達は村の墓地に親父の遺体を埋葬しにいった。深く掘られた墓穴に親父を安置すると、司祭の代わりに村長が祈祷の言葉を述べ始める。


「神よ。今あなたの元へ、一人の勇者が向かいます。どうぞ、彼に長き安らぎをお与えください」


 顔の半分以上を包帯で隠された親父はどんな顔をしていたのだろう。最後はどんなことを思っていたのだろう。怖くなかったのだろうか。村長が祈祷している間、そんなことが頭の中をよぎっていった。祈祷が終わると俺達は親父の遺体に土を被せ、埋葬を終えた。


 家についた俺は、灯りも点けずにひとり椅子に座っていた。眼の前には空の椅子がひとつ、親父の椅子がある。そこに座る人はもういない。そこに座る人はもう帰ってこない。頭の中では分かっていたけど、でもわかりたくなかったのだろう、俺は日が昇るまで親父が返ってくるのを待っていた。


 朝日の光が家の中に入ってきて、近くの家から人の出入りする音が聞こえてきて、腹が鳴って空腹を覚えてきて、俺は昨日食べるはずだったスープを温めて、パンと一緒に流し込んだら、眠気がおそってきてそのままテーブルの上に突っ伏して眠ってしまった。


 寒さを感じて目が覚めたときには、すっかり日が高くなっていて暖炉の火も消えかけていた。焚き付けの藁を入れて火を熾し直し、薪を入れ、まだ少し残っていたスープを温め直して食べると、これからのことを考えてみた。


 親父がいなくなった今、おれは自分ひとりの力で暮らしていかないといけない。いままでは、すべて親父がやってくれていた。メシを食べるのも、弓の扱い方を教えてくれたのも、この村で暮らしていけたのも、全部親父がいたからこそできたことだ。


 村に残るにしても、俺ができる仕事は少ない。今までは、親父の働きだけで暮らせていたようなものだし、最初の1年くらいは同情から暮らしていくのは難しくなかったとしても、その後どうなるかわからない。なにより、暮らしていくのに精一杯で、弓の腕を磨く時間を取れないだろう。それに、きっと弓だけじゃだめだ。矢を番えて離し、次の矢を番えるまでに“アイツ”は近くにまで寄ってくるはずだ。“アイツ”を倒すには今の俺の弓のでだけじゃ無理だ。師でもあった親父が死んだ今、これ以上の力をつける事はできないだろう。どうすればいいんだろう。


「クウ〜ン」


 そんな事を一人考えて、悩んでいたらいつの間にか足元に来ていたシロが、体を寄せて鳴いた。


「シロ、居たのか」


 そう言って、シロの頭を撫でてやると、シロはオレの脚に顎を載せ、気持ちよさそうに目を閉じた。そんなシロの頭をオレはしばらく、ゆっくりと撫でていた。


「シロ、これからも俺と一緒に居てくれるかい?」


 そう言うと、シロは当たり前だろう、と言うように「ウォン」と力強く鳴いてくれた。その声を聞いて、一人じゃないという嬉しい気持ちと、シロしかいなくなったという寂しい気持ちが混ざって俺はまた泣いていた。シロが体を伸ばしてきてその涙を舐めてきた。


 やがて涙も止まった俺は、子供の頃にしていたように、シロと一緒に眠った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ