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第75話 領主就任とスキル鑑定の依頼

男爵領を見回っていたタクミは、ぼんやりと空を見上げていた。


ふと、「そういえば……」と思い出したように、意識を集中させてみた。


レベルが上がった時など、過去に5回ほど、チラリと自分のステータスを見たことがあったのだ。その時は確か、レベル2だったはずだ。おっちょこちょいなタクミは、その後すっかりそのことを忘れていたのだ。


意識を集中すると、彼の脳裏にはっきりと情報が流れ込んできた。


【ワタナベ タクミ】

レベル:3

スキル:反射 Lv.1(受けた攻撃をそのまま反射する。反射回数:3)


「あっ!」


タクミは、小さな声を上げて立ち止まった。「ゴンベエ!キョウコ!」


「どうしたんだ、タクミ。また何か見落としたのか?」ゴンベエは、焼き団子を頬張りながら振り返った。


「何よ、騒がしいわね」キョウコは、もう少し先を歩いていた足を止めた。


タクミは、少し興奮した様子で言った。「あのさ、前からたまーに見てたんだけど、レベルが上がった時とかに、自分のステータスが見れるみたいなんだ。今見たら、レベルが3になってた!」


ゴンベエは、目を丸くしてタクミを見た。「え、マジで?レベル3!?どんな風に見えるんだ?」


タクミが自分の見た情報を伝えようとすると、ゴンベエは興味津々で意識を集中し始めた。


しかし、しばらくしても彼は首を横に振った。「うーん……やっぱり何も見えねぇ。俺はいくら頑張っても、自分のレベルとかスキルの名前とか、効果なんてさっぱりだ。」


キョウコも、少し眉をひそめて意識を集中してみたが、やはり何も見えない。


「私もよ。何度か試してみたことはあるんだけど、何も表示されないわ。もしかしたら、私たちそれぞれにスキルを与えた神が違うのよ。スキルの詳細を知るには、私たちじゃどうしようもないんじゃないかしら。どこかの鑑定スキルを持っている人に、お金を払って見てもらうしかないんじゃない?」


二人の言葉を聞いていた筆頭執事のスバスチャンは、穏やかな表情で口を開いた。「お三方。もし差し支えなければ、わたくしに心当たりがございます。」


三人がスバスチャンの方を向くと、彼は続けた。「男爵家に古くから仕える従士の一人に、カラミスという者がおります。彼は珍しい鑑定スキルを持っているのです。形式的ではございますが、鑑定の謝礼は銀貨五枚程度のお気持ちで結構かと。」


「鑑定スキル持ちの従士がいるんですか!それはありがたい!」ゴンベエは、目を輝かせた。


キョウコも、「銀貨五枚なら、まあ、許容範囲ね。私も自分のスキルが何なのか、少しは気になるし」と同意した。


タクミも、「ありがとうございます、スバスチャンさん。ぜひお願いしたいです」と頭を下げた。

その後、三人はスバスチャンに案内されて男爵の城へと戻った。


城の広間では、すでにジェーンが待っていた。彼女は、領主としての威厳を備えた正装を身につけている。


ジェーンは、タクミたちを見ると静かに頷いた。「皆さま、お戻りになられましたか。それでは、滞っておりました領主としての儀式を執り行いたいと思います。」


一同は、ジェーンの言葉に従い、領主としてこの地を納めるための形式的な儀式を行った。厳かな雰囲気の中、ジェーンは領民への祝福を述べ、タクミ、ゴンベエ、キョウコもそれぞれ言葉を述べた。


儀式が終わると、ゴンベエは待ちきれない様子でスバスチャンに声をかけた。「スバスチャンさん、例の鑑定スキルを持つ従士の方に、ぜひ俺のスキルを鑑定していただきたいのですが!」


スバスチャンは、にこやかに頷いた。「承知いたしました、ゴンベエ様。ただ今、カラミスをお呼びいたします。」


果たして、ゴンベエとキョウコの謎に包まれたスキルは、鑑定によってどのような真実を明らかにするのだろうか。

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