暗転4 ちっぽけな僕
僕は彼女に謝るしかなかった、彼女の気持ちを踏みにじったのは僕だ。そして、彼女が僕に抱きついてくる。思い切り彼女を抱きしめてあげたかった。でも、彼女のために、それはできない。彼女を突き放すことはしないで、彼女のなすがままに任せる、これが僕の唯一のできることだ。
自分も泣きたくて仕方なかった、でも、泣いてしまったら、僕の気持が揺らぐ。必死に涙をこらえながら、彼女を支えていた。それから、どれだけの時間が経過したのか、僕はよく憶えていない。憶えているのは、彼女の大きな瞳に溢れる涙だけだ。そして、自分は彼女を本当に幸せにしているのか、それとも不幸にしちえるのか、よくわからなかった。
“彼女はこれで本当に幸せだろうか?”、僕はキャビンに戻って、ベッドに横になりながら、何度も反芻した。同時に、彼女の大きな瞳に溢れる涙が僕の脳裏に焼きつく。一人の女性をも幸せにできない、自分はダメなやつだ。彼女の嗚咽を思い出し、自然と僕も涙があふれてきた、ずっと、こらえてきた涙がとめどなく溢れる。ごめんよ、本当にごめんよ。でも、僕は君が幸せになってほしいんだ。
僕は目が冴えて全く眠れないので、一人、デッキに出る。航海中のインド洋はとても穏やかだ、そして、空には満天の星々が光る。自分はなんてちっぽけな存在なのだろう。




