暗転2 動揺
「もちろん、ずっと一緒だよ。僕がタンザニアに行くから。日本にはこんな約束事があるんだ。指切りげんまん、ウソついたら針千本飲ます、指切った!これは僕たちの約束だよ。」
僕も彼女と一緒だったら、たとえ、タンザニアにいっても、研究者としてのキャリアをあきらめても、彼女と一緒にいれるなら、それでいい。出会ってまだほんの少ししか経っていないけど、それほど僕は彼女のことを愛していた。
彼女がやや饒舌になって、彼女の母国タンザニアについて話す。
「タンザニアは、日本からの援助をたくさんもらっていて、日本にはとても感謝しているのよ。車はそれほど走っていないけど、ほとんどの車は日本製。いつか日本にも行ってみたいわ。」
僕も何とか彼女に日本の魅力を伝えたくて、たどたどしい英語でこう話す。
「日本のいいところは、春夏秋冬の四季があるんだ、季節によって同じ場所でも驚くほど違う。とくに、京都の桜をぜひ見せてあげたいよ。」
「ホント!?、楽しみだわ!」
彼女のクールにみえるまなざしにも、時折愛くるしさを見せる時がある。このときの彼女はまさにそうであり、僕はたまらなく彼女を愛おしく感じた。 でも、至福の時間は長くはつづかない。もう、消灯の時間だ。最後に、僕と彼女はキスを交わす。昨日とおなじくお互いの存在を確かめるように、頬と頬を擦り寄せ、舌と舌をからませながら、永遠と思われる時間、僕と彼女はキスをした。
翌朝、対話プログラムが終わり、ランチタイム中に大学時代の友人ハルが僕に話しかけてきた。ハルとは、僕が対話プログラムで悩んでいた時、彼のつれない対応に失望して以来、ほとんど、会話をかわしていなかった。
「タケシ、オレ、ある知り合いから聞いたんだけど、お前、タンザニアの彼女と付き合っているって本当か?」
僕は、口から心臓がでるほどびっくりした。どうしてヤツが、僕と彼女のことを知っているのだ。僕はできるだけ、動揺を隠しながらも。
「ハル、どっからそれを聞いたんだ?」
ハルは、答える。
「オレが聞いたのは、タンザニアから一緒に来ている女の子。その子は、タケシと彼女が仲良く一緒にいるところを昨日目撃したらしい。そして、彼女と話していたら、彼女とタケシの話がでてきて、オレはびっくりした。ホントなのか?」
目撃者がいるのであれば、もはや、隠しようもない、僕は正直に認めた。




