表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/3

ドラゴンランドで手に入れた、宝もの

 コンデッサとドラ・ニャンニャンは、ドラゴンランドの中へ入りました。

 中はとっても(にぎ)やかで、人がいっぱい()ます。みんな、楽しそうにしています。


「コンデッサ、見てください。門番(もんばん)がわたしたちへ(あた)えた、挑戦状(ちょうせんじょう)を。『ドラゴンランドへやって来た、勇者(ゆうしゃ)たちよ。(りゅう)秘宝(ひほう)が欲しければ、全ての試練(しれん)をくぐりぬけ、その証拠(しょうこ)を手に入れるのだ』と書かれていますよ!」

「……それ、入場係(にゅうじょうがかり)の人がくれたパンフレットだろ。『ドラゴンランドへご来場(らいじょう)の、お客様(きゃくさま)へ。全てのアトラクションを回ってスタンプを集めた方には、記念(きねん)メダル《(りゅう)秘宝(ひほう)》を()し上げます』と書かれているな」


「…………」

「…………」


「いっこくの猶予(ゆうよ)もありません。さぁ、コンデッサ。試練(しれん)へと向かいますよ!」

「せっかく来たんだしな。出来るだけ、たくさんのアトラクションを回ってみるか、ドラニャンポップ」

「わたしの名前は、ドラ・ニャンニャンです!」


 2人は、ドラゴンランドの試練(しれん)次々(つぎつぎ)(いど)みました。………いえ、アトラクションを楽しみました。


(りゅう)大車輪(だいしゃりん)ですね!」

「これは、観覧車(かんらんしゃ)だよ」


「速いです! 竜の超高速(ちょうこうそく)です!」

「これは、ジェットコースター」


「わ~、落ちます~! 竜の大落下(だいらっか)です~」

「これは、バンジージャンプ」


「ぶるぶる。竜には(おそ)れるものなど、ありません!」

「お化け屋敷(やしき)無理(むり)に入る必要(ひつよう)は――」

「全ての試練(しれん)を乗り()えるのです!」

「はいはい」



 お昼になりました。

 お(なか)がすいてきた、コンデッサとドラ・ニャンニャンは――


「お昼ご(はん)を、食べましょう」

「レストランは、ここみたいだな。どれどれ、メニュー(ひょう)は……」


 2人は、メニュー表をのぞき()みました。


「…………」

「…………」


 コンデッサもドラ・ニャンニャンも、無言(むごん)になってしまいました。書かれているメニューの名称(めいしょう)が、不思議(ふしぎ)なものばかりだったためです。


「……(まよ)っていても、しかたが無いな。うん、決めた。私は、《ランチ・華麗(かれい)なるドラゴン》にしよう」

「わたしは、《ランチ・ちょっと、素敵(すてき)なドラゴン》にします」


 注文(ちゅうもん)してしばらく()つと、2人の前に料理(りょうり)(はこ)ばれてきました。


「〝華麗(かれい)なるドラゴン〟とは、カレーライスのことなのか」

「わたしの〝ちょっと、素敵(すてき)なドラゴン〟は、ミニステーキです」


華麗(カレー)なるドラゴン》と《ちょっと(ミニ)素敵(ステーキ)なドラゴン》――どちらも、とても美味(おい)しいランチでした。


 料理を食べ終えても、コンデッサはまだ満腹(まんぷく)ではないみたいです。


「デザートに私、ドラ()きを食べよう」

「ド、ドラ焼き? ドラゴンを()くのですか!? そんな(おそ)ろしいデザートがあるなんて……」

全然(ぜんぜん)、違う。ドラ・ニャンニャンも食べてみろ」


 2人は、ドラ焼きを食べました。


「ドラ焼きの(あじ)はどうだ? ドラニャンプリン」

「カステラで、餡子(あんこ)(はさ)んでいるんですね。(あま)くて、スッゴく美味(おい)しいです。あと、わたしはドラ・ニャンニャンです」



 午後(ごご)午前(ごぜん)と同じように――

 コンデッサとドラ・ニャンニャンは、ドラゴンランドの中のアチラコチラを回ります。


(りゅう)大海洋(だいかいよう)ですね!」

「ここは、温水(おんすい)プール……」


「竜の大洞(だいどう)くつです」

「ただのトンネル」


「竜の大砂丘(だいさきゅう)です」

砂場(すなば)


「竜の騎兵隊(きへいたい)!」

「メリーゴーランド」


「竜の大迷宮(だいめいきゅう)です! むむ、ここは突破(とっぱ)(むずか)しい――」

「ハリボテ迷路(めいろ)だな。…………ほら、すぐに()けられたぞ」



 もう夕方(ゆうがた)です。


「いよいよ、最後(さいご)試練(しれん)ですね。竜の大行進(だいこうしん)参加(さんか)しなくては……」

来場客(らいじょうきゃく)が参加する、仮装(かそう)パレードか」


 最後の試練(?)に挑戦(ちょうせん)しようとしている2人のところへ、ドラゴンランドのスタッフさんがやって来ました。


「お(じょう)さんたち。パレードに(くわ)わる前に、この(りゅう)(つの)とシッポをつけてくださいね」

了解(りょうかい)した。どうだ? 似合(にあ)うか?」


 角とシッポの(かざ)りをつけたコンデッサは、その姿(すがた)をドラ・ニャンニャンに見てもらいます。

 ドラ・ニャンニャンは大喜(おおよろこ)びで、パチパチと拍手(はくしゅ)しました。


「わ! スゴいです、コンデッサ。まるで、アナタもドラゴン(ぞく)になったみたいです」


 興奮(こうふん)気味(ぎみ)のドラ・ニャンニャンへ、スタッフさんが話しかけます。


「こちらのお(じょう)さんは、ドラゴンランドに入場(にゅうじょう)したときから、手作(てづく)りの角とシッポをつけてくれていたんですね。スタッフの1人として、たいへんに(うれ)しいです」


 スタッフさんは、ニッコリと笑いました。


「それにしても、お嬢さんの角とシッポは、本当に良く出来ていますね。本物(ほんもの)としか思えません」

「わたしの角とシッポは正真正銘(しょうしんしょうめい)、本物です~!!!」



 竜の(かそう)大行進(パレード)が、()わって。

 コンデッサとドラ・ニャンニャンは、てのひらサイズのメダルをスタッフさんからもらいました。


「やりましたよ! コンデッサ。わたしたちは、今日(きょう)一日(いちにち)のうちに全ての試練(しれん)をクリアしましたので、見事(みごと)(りゅう)秘宝(ひほう)を手に入れることが出来ました! キラキラしていて、キレイですね~」

「いや。このメダルは来場者(らいじょうしゃ)へのプレゼントで……(うら)には『全アトラクション・クリア記念(きねん)メダル』という文字(もじ)(きざ)まれているし……」


 ドラ・ニャンニャンは満面(まんめん)()みを()かべながら、コンデッサへ()きつきます。


「これもみんな、コンデッサのおかげです。ありがとうございます。わたしは、とっても(うれ)しいです」

「まぁ、お前が(よろこ)んでくれるのなら、それで良いか」

「わたしたちの友情(ゆうじょう)(あかし)ですね!」

「……そうだな」


 コンデッサのほっぺたが、少し(あか)くなりました。


「あれ? コンデッサ、ひょっとして()れています?」

「な! 私は、照れてなどいないぞ! ……じゃ、日も()れてきたし、そろそろ帰ろうか、ドラニャンパシー」

「ドラ・ニャンニャンです! まったく……わたしの名前(なまえ)をしょっちゅう間違えるとは、コンデッサにも(こま)ったものです。う~ん。良い機会(きかい)だから、名前を変えてみようかな? もっと華麗(かれい)素敵(すてき)でカッコイイ……コンデッサが、ぜったいに間違えないような名前に……」



 ドラゴンランドへ遊びに行ってから、月日(つきひ)は流れ……。

 コンデッサにもドラ・ニャンニャンにも、いろいろな出来事(できごと)がありました。


 正式(せいしき)魔女(まじょ)となったコンデッサが、〝ツバキ〟という名の黒猫(くろねこ)使(つか)()にしたり――

〝ドラゴン・レディ〟と名前を(あらた)めたドラ・ニャンニャンがドラゴ(やま)に住んで、2(ひき)の猫の面倒(めんどう)を見たり――


 でもコンデッサも、ドラ・ニャンニャン(あらた)めドラゴン・レディも、仲良(なかよ)しであり(つづ)けました。

 2人ともドラゴンランドの記念(きねん)メダル――(りゅう)秘宝(ひほう)をズッと手もとに()き、いつまでも大切(たいせつ)にしていたということです。

ツバキ「つまり、ドラゴン・レディ様が今の名前に変えた理由は、ご主人様が呼び間違えたりしにゃいように……」


ドラゴン・レディ「いいえ。それは、関係ありません。〝ドラゴン・レディ〟のほうが、カッコイイからです」


コンデッサ「どっちでも良いさ。友だちは〝友だちであること〟が、大事なんだ。名前を気にしても、しょうがないだろう?」


ドラゴン・レディ「そこは、気にしてください」


コンデッサ「それより今度、みんなで一緒にドラゴンランドへ遊びに行こう!」


ドラゴン・レディ「わ! 嬉しいです。けれど、わたしの猫――ハッピキとサンビキは、どうしましょう?」


コンデッサ「あそこは『ペット同伴可』だったはず。だから、ツバキも大丈夫だ。安心したか? ツバキ」


ツバキ「アタシは、ペットじゃ無いニャ! 使い魔にゃん!」


コンデッサ「ごめんごめん」


ハッピキとサンビキ「ニャンニャン」


ドラゴン・レディ「それじゃ、コンデッサのホウキにみんなで乗って、行きましょうね」


コンデッサ「え゛?」


~おしまい~



 ご覧いただき、ありがとうございました!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
まだ15才という、思春期真っただ中ティーンなコンデッサ! 相変わらず達観しているようでいて、ドラニャンちゃんの連発するボケ(?)を流さずにちゃんと突っ込み続けて、名前もずっと間違え続けて(わざとなのか…
[良い点] ほのぼの楽しいお話でした。 あくまで試練と言い張るドラ・ニャンニャンと、それに突っ込み続けるコンデッサ。 2人とも楽しそうで、これはつまり遊園地デートだったんですねw
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ