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閑話 ギース1


 時間は本編開始前まで遡るーー


「相談にのってくれ」


 無造作に跳ねる金髪にアイスブルーの瞳を持つ彼はガーディソード侯爵家、次男のギース・ガーディソード。

 腕足共に鍛えられた筋肉、顔立ちは目鼻立ちが整っていて悪くない。

 アステラティーア王国の近衛騎士団長である彼は白い月光草の模様の鎧を着たまま机に頭をくっつけて項垂れていた。


「何事だ」


 部屋にはアイスブルーの短髪に金色の糸目、服装は月光草の模様が刺繍された白いローブの人物が椅子に座って書類整理をしていた。彼はアステラティーア王国王国、ジール王子の補佐官及び宰相予定のアズール・フロークス。フロークス公爵の息子である。

 表情が動かず冷たい印象を受ける容姿に腹黒と噂される人は迷惑そうな声で言う。

 2人は幼い頃からの友人。そのためギースは突伏して一般的にだらしないと言われる格好で頼んでいた。


「ラムのプレゼントが見つからない、、、」


 元気なく呟く。


「ラム・ガーディソード侯爵令嬢のお土産か、、。アルマ・ガーディソード侯爵令嬢のは決まったのか?」


「アルマは綺麗な宝石や次期王妃と決まっているから、それに相応しい物なら大丈夫だ。そちらは注文してある。ラムは欲しがらないから、、」


「彼女は難題だろう。私の挨拶の贈り物ですら、滅多につけない。甘い物を渡した方が喜ぶ」


(青いネックレスは受け取ったがつけてない。保管してはあるだろうが)


 ギースは遠い目をする。


「うっ、、。形が残る物がいいのだ!!着けて欲しいし、一生大事にしてくれるから!!そろそろお嫁に行ってしまうかもしれない、、」


「ーー婚約者はいないだろう、ご令嬢にもお前にも」


 アズールは眉間に皺を寄せる。


「俺は後だ。ラムが決まるまでまとめるつもりはない。モテないし、どうでもよい」


(婚約は打診すれば縁組は可能だが、一度破談になった身。それよりラムが心配だ。男より女性の方が難しい。最悪、結婚しなくても問題はないし、なるべく野心がない女性という希望しかない。慕って下さる方なら誰でも大切にする)


「ーーどうでもいいのか」


「ああ」


「ーーバカはわからないな」


「俺、腹の探りあいは駄目だからバカは合ってる」


「ーーーはぁ。で?」


「いい店を知らないか。作ってくれるような」


「好みはわかるのか?」


「好みはわかる。お前の妹が着けてた髪飾りを気に入ってはいたが。あんな感じのやつが好みだ。ただお眼鏡に叶うような物を中々見つけられないだけで。重いのは嫌だというし、、」


(珍しくフロークス公爵令嬢の髪飾りを気に入ったのだ。オレンジ色の1級品の宝石が散りばめられた綺麗な品だった)


「ああ、あれか。あの店なら紹介してもいい。今なら間に合うだろう」


「な!?ここから近いのか!?探せなかったのに!」


「貴族相手に商売している店ではない。とある縁でそのまま付き合っている。頼めば嬉々として作ってくれるだろう」


「なるほど。見つからないか」


(有名店だと踏み、聞き込みをしたが見つからない訳だ。民間向けの店は探していない)


「ただ、行くなら急いだ方がよい。彼処の技術者は遠出や配達しているから捕まらないと終わりだ。今から行こう」


「何!?よし、すぐに行こう。仕事は?」


「お前がいると邪魔だ。片付けてから作業することにする」


「よし、行くか!」


 2人は兵士に言付けを頼みそのまま街へと出かける。



 ーーーーー市街地にてーーーーー


 

 王宮から町へ出ると、商店街が立ち並ぶ。服や装飾品店、食べ物関係店、薬関係、ギルド関係と方角がわけられていた。

 装飾品店は王宮から見て近い。北側を歩くと一つのレンガ積みの家に入る。看板名には『ダーラス』と書かれている。

 黒色のシックな木の扉を開けると


「いらっしゃいませ!何かお探しですか?」


 元気な可愛らしい声が店内に響く。

 その女性は30代ぐらいで長い金髪、可愛らしい丸いブルーの瞳、服装は動きやすい菫色の花柄のワンピースを着てレジにいた。

 売り場は窓から光が入り、赤茶色の暖かみがあるレンガと柔らかな木の天井の空間。照明はランタンの柔らかな明かりが店内を明るく照らす。

 右棚のブースにあるうさぎや花、剣や槍などの武器ストラップ達。

 その隣にぬいぐるみが置かれている棚がある。

 薔薇や蝶々で刺繍されたハンカチやバンダナはテーブルに置いてある。

 髪飾りや髪留め等の装飾品もあり、珍しくかんざしまである。その奥のテーブルに手広く広げられている装飾品は、花や動物の形、シックな四角や丸などの形を合わせた模様等、多種多様。


「雑貨屋か、、?」


 ギースが周囲を見渡すと山のような品物が多種多様に陳列されていた。


「ユリアさん、ムスはいますか?騎士団長のギースがオーダーを頼みたいと」


 アズールは迷わずユリアと呼ばれた女性に用件を伝える。


「あら。宰相様じゃない。隣は騎士団長さんね。今、ムスは買い物に行ってます。すぐ戻りますよ。お急ぎですか?」


「できれば」


 アズールが返事をする。


(技術者の名前はムスと言うと。品物を見ると丁寧だ。細かいところにまで拘るようだ。やはり近くで見ると違う)


「では、中にどうぞ。ペディロでよければ相談にのってくれますが」


「恐らく無理でしょう。難題過ぎます」


「え。そんなに、、?」


「ラム侯爵令嬢は好みはわかっても気に入らないと着けない。無理難題だろうが」

 

「う、、」


「ムス待ちの方が良さそうね。紙を持ってきますから、決まっていることだけ書いてもらえるかしら。紅茶をお出ししますので、こちらへ」


 2人は店を出て別の場所から家の中へ入る。靴を脇に揃えてから、玄関を通り抜け、2階へ。木の扉を開けると、レンガ積みの室内でこの部屋だけカーテンが開けられており、窓から光が入っている。照明はカンテラがあるが、今はまだ昼頃なためつけていない。

 テーブルが部屋の半分ほどを占めているぐらい大きく、ソファーが2つ左右におかれている。花瓶がテーブルの中央に置かれており、華やかさを出している。

 入口近くには上着をかける品物がおいてあり、荷物を置く荷物置きの箱がソファーに隠れて後ろ側にある。

 部屋の隅にある小ぶりな黒い箪笥。


「荷物はお好きに置いてください。ムスが来るまでおかけになってくつろいでください」


 ユリアはソファーに案内する。


「ギース、後は1人で大丈夫だろう。私は仕事があるから戻る。ユリアさん、ギースを任せます」


「あら。ゆっくりしていってもいいのよ?」


「時間がありませんので」


「すみません、私が無理を言いましたので。後は私1人で待たせて頂きます。お気遣いありがとうございます」


 ギースはユリアに頭を下げる。


「わかったわ。宰相様、お送りします」


「ありがとうございます」


 アズールはユリアと一緒に退室する。




ギースとムスの話。

アズールはギースの友達です。設定はラムが問題なしだった場合婚約者だったかもしれない相手です。

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