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精霊達

「コーグ、シェーラ呼んでくるね!!皆、ムスに張り付いたらコーグ怒ってボーンするからね!!」


 コーグは精霊達に宣言してから、飛び出していった。


「えーと、皆、とりあえず潰れない程度に椅子に座って」


 正方形の形に丸い黒い目、雪の結晶を周囲に出している、グラキという氷の精霊がささっとムスの左肩に乗る。身体ほど長い髪に幼く可愛らしい女の子の姿を水で作り出した形をした、ウィンディーネという水の精霊がムスの右の肩に乗る。


「特等席ー!」


「やったー!!」


 はしゃいでいる。


「あー、トニトは膝な、物欲しそうな目でみないでくれ、、」


 黒い丸い球体に目がついたぼやぼやした光のトニトがうるうると目を潤ませている。

 悲しそうな表情だった。


「いいのか!!」


 嬉しそうにムスの膝の上に乗る。

 鍬を持った小さいおじいさんの形をしたノームという土の精霊は、ムスの隣へ座る。


(皆、久しぶりだからはしゃいでいるなぁ)


「呼んできたー!!」

 

「きたーー!!」


 胴体はひまわりの花。可愛らしい羊の毛のようなもこもこしている髪の女の子が空を浮いている姿をしているルミニスという光の精霊。掌より少しだけ大きいので、回復してきたらしい。

 突撃してきたのは、シェーラだった。


「お話ー!」


「シェーラ、おいで。膝の上ね。ムスの左の椅子に座る。あまり縮まなくなるはず」


 ラムはシェーラを膝の上に座らせてムスの左側の椅子へ座る。

 できるだけ近くに。


「ーーー近すぎない?飲食できるような距離じゃないよ??」


 ムスの肩が触れるギリギリまでラムは肩を寄せていた。

 ムスは目をパチパチさせて、何度も瞬きをしてる。


(近い近い近い。侯爵様から怒られる、怒られる)


「シェーラが縮むから。なるべく近くにいないと。お茶は飲めるし、食事はギリギリ大丈夫な距離にいるよ。問題なし」


「ーーーいや、そういう問題じゃないと思うけど、、、。うーん、まぁ、いいかぁ」


 ムスはため息を吐く。

 

(俺、男性なんだけど、、ラムの中でどうなっているのだろう?)


「いいの、シェーラの健康のため」


 ラムはシェーラの頭を撫でている。


「シェーラ長く居たいから、異論なし!!」


 シェーラはにこにこと笑っている。


(精霊も気にしないのかー。いや、侯爵様が別の意味で心配していそう。どうすればいいのか)


「コーグもいつもの場所!」


 コーグはムスの頭の上に乗る。

 他の精霊達はムスの近くの椅子にバランスを整えて座ったり、浮いたりして側にいる。


(あー。もう気にしないことにしよう。皆、楽しそうだから)


「お菓子ー!!」


 ウィンディーネが嬉しそうに飛び回る。

 精霊達も頷いて、飛び跳ねている。


「あ。今日は持ってきてない。ごめんな、皆。まさか、こんなにいるとは思わなかったから」


(侯爵家に山のような精霊達がいるとは思ってないから。お菓子は事前に作らないと持ち歩いていないし、魔力球を入れる予定があるわけでもなかった)


「「「「今度作ってね!!白い球に魔力いれるから」」」」


「噂のお菓子楽しみ!」


「美味しいと評判!」


 精霊達がわいわいと嬉しそうに言い出す。


「えー、、と。空の魔力球は30ぐらいあって、、。光が10、他5個ぐらいかな」


「いれたら、食べれるから、入れるー!!」


「お茶会!!」


 ぴょんぴょんと精霊達が椅子の上で飛び跳ね、他の精霊達はムスの周りを飛び回る。


(これ、厨房借りないと駄目なパターンだ!)


「えーと、ラム、明日、厨房貸してもらっていい?どうしても食べたいみたいだから」


「精霊のご所望なら、すぐに貸してくれるよ。皆、ムスと仲が良いね」


「昔、皆でお茶会して楽しかった」


「森があっただろ、よく来てた」


「楽しかったが森は焼けた。皆、引っ越し」


「助けてくれたのはムス」


「「「「「「ねー」」」」」」


 ころころと転がり、トニトとウィンディーネがムスの肩でにこにこと寛いでいる。

 かなり好かれてるよう。


(王都近くの森が火事になってから、3年かぁ。気付いた時には消火は遅く、全て焼けてしまい森は消失。あの森があれば、皆と一緒にいれたのだけど。仕方ないことだけど、あの火事。突然燃えたと聞いてるし、何だったのだろうか。不審火で犯人は捕まっていない。不気味だ)


「今日のお茶会は私が入れたお茶とコックが作ったお菓子で我慢してね」


 ラムがそういうとメイドが丁度、山のようなティーセットとお菓子を3台ほど引いている最中だった。


「お茶ー!!」


 コーグは嬉しそうにムスの頭の上を転がる。


(コーグの重みが。めちゃくちゃはしゃいでる)


「私がいれるから、下がって。ムスも座ってて」


 ラムはメイド達に指示を出すと、一礼してメイド達は下がっていった。

 そして、手早く茶葉をティーポットに入れていって、蒸らしていく。

 シェーラはラムが立ったため、ラムの椅子に大人しく座っている。

 

「え?たくさんいるから、2人でした方がいいと思うが。時間かかるよ?」


 ムスが手伝おうとしたら、グラキとウィンディーネにしがみつかれて邪魔される。


「え?グラキ、ウィンディーネどうしたの?」


 ムスがグラキ、ウィンディーネが指し示す方角を見ると


「ラムのお茶ー!」


「お茶ー!!」


「ご褒美だー!!」


 精霊達が飛び跳ねている。


「あ、、はい」


 ムスは精霊達の様子を察して椅子に座った。 


「いれるから、並んでねー」


「「「「「はーい!!」」」」」


 ラムが次々に紅茶をいれて、精霊達が受け取り、椅子の周りに漂っている。精霊が触ったものは、精霊の力で空中に浮かせることができるため、空にカップが浮かんでいる。


「お菓子!」


「ムグムグ」


 嬉しそうに精霊達は食べている。


「ムス、食べて」


 グラキがお気に入りのクッキーを取り、差し出す。


「ありがとう」


 ムスは受け取り、食べる。バターたっぷり味にさくさくと口の中でくずれていく。

 とても美味しい。


「あー、美味しいー」


 甘い物が大好きなムスは笑顔。


「ムス、紅茶!」


「ありがとう」


 ウィンディーネから、紅茶を受け取り、飲む。

 香りが口に広がり、ミルクとほどよい甘みがさっぱりした味とあう。


「あー、ラム、本当に紅茶大好きだねー。とても美味しい」


「ありがとう。これで終わりだね」


 全員に入れ終わり、配り終えて席に戻る。


「ムス、作品!今、何作ってるの?」


「気になるー」


「みたーい」


「わくわく」


「えーと、今はね、ジール王子の指輪頼まれてるからあまり作ってなくて。さっき、フェニックスの刺繍完成したばかり。髪飾りは、こんどラムに作るから見れるよ」


「ふんふん。刺繍、みたいー!」


「さっき、執事に頼んで自室に飾ったよ。自室から取らないと見れない」


「取ってくるー!」


 シルフがにっこり笑って飛び出していく。


「お茶おいしー!!」


「シェーラ、寛ぐ寛ぐ」


 コーグとシェーラはにこにこと笑いながら、はしゃいでいた。


(精霊の楽園みたいな、、感じだ)


「そうだ!コーグ、精霊王に会うべき。一緒にいこ!」


 ぴょんぴょんとシェーラが飛び跳ねる。


「精霊王かぁー。ずっと会ってないなぁー。でも、会っても面白くないしー」


 コーグは紅茶を飲みながら、考えている。


「コーグ、何年会ってないの?」


 ムスがコーグに尋ねる。


「んーーー、300年ぐらいは会ってない」


(合わなすぎ。面白くないからって、合わなすぎだよ)


「コーグ、また来れるかわからないし、今度は尋ねる時間がないかもしれないから、いっておいで。挨拶だけして、帰ってくればいいよ」


「そう?じゃあ、挨拶だけするー。シェーラ、一緒にいこ!」


(嫌がってはない、と。面倒なんだな、コーグは)


「うん!」


 シェーラは飛び跳ねている。


「持ってきたー!!とっても綺麗だよーーー!!みんなーー!!」


 シルフが細工された額縁に入れられ、大切に持ってきた刺繍は七色に光っていた。

 シルフは他の精霊達に見えるように出す。


「「「「「きれー!!!」」」」」


 精霊達はぴょんぴょん跳ねながら、刺繍を覗き込む。


「満足ー!!」


 精霊達が嬉しそうにわいわいと楽しそうにムスに話す。


「他は何作ってる?」


「指輪とぬいぐるみとストラップかな」


「お揃いお揃い」


「アクセサリー欲しい欲しい」


「注文するー!」


「お代は協力で」


「いいよ。皆で丸いやつ?刺繍?」


「丸い石中に入ってるやつ。細かい花いっぱい」


「七色、七色!」


「七色糸ー!」


「わかった、わかったから。作るよ」


(また、依頼が増えてしまった)


「やったー!」


「わーい!」


 精霊達は喜び飛び跳ねている。

 暫くラムはお茶を飲みながら嬉しそうに精霊達を見ていたが、ふと膝の上のシェーラが縮んできたことに気づく。


「シェーラ、そろそろ帰る時間だよ」


 ラムが掌より徐々に小さくなってきているシェーラに優しくいう。


「ううぅー」


 シェーラは泣き始める。


「シェーラ、一緒にいこ!精霊王のところ!!大丈夫だよ!」


 コーグがシェーラの側に来て、飛び跳ねる。


「また、明日、くる!!ラム、いる?」


 しくしくと泣きながら、ラムをみる。

 

「いるよ。明後日は出かけなきゃいけない。明日はムスがお菓子を用意してくれるそうだよ」


「うん、うん。また、明日。コーグ、一緒にいこー」


「ムス、コーグ行ってくるよー」


「暗くなる前には帰れよ。いってらっしゃい」


 ムスはコーグに手を、ラムはシェーラに手を振って見送る。山のような精霊達はコーグが戻るまで2人を護るように帰ろうとせずに、お話を続けていた。


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