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皇女


「どうして、私が侯爵家だと?こんな場所に普通はいるはずないでしょう」


(!?え。侯爵??え、え)


「幼いころから魔力が多く魔法の才能があり、とても使い方が独特だと聞いています。魔法で乗り物を出す等、普通はできません」


(噂は聞いたことある。ガーディソード侯爵家は4人兄妹で全員戦闘が上手くて、モンスター討伐もよくいく。中でも長女は類稀なる魔力をもち、魔法師で聖女。1人で王宮に結界を張り、維持しているという噂がある。ラムはそれぐらいできるけど、今はーー)


「ラムが侯爵家かは置いといて。で、強行突破する?逃げるなら暗闇の魔法をコーグにお願いするけど。迫ってるから決めないと」


 ムスが割って入って、敵がいる方に銃を構える。


「どーすーるーのー?」


 コーグは頭の上で円形状に転がっている。


(敵をどうするか先)


「私はラスティー王国、王女のクローディア・エレキフォース。もし、ラム・ガーディソード侯爵令嬢でしたら、ガーディソード侯爵面会とアルーダス国王へ謁見を取り付けていただきたいのです」


 フードを外し、礼をするクローディア。


「えーーー!!え?王女様!?本物!?」


 ムスは目を丸くする。


(ちょ!?話が大きくなってきた!?普通の場所じゃ、守れない!?)


「嘘を言ってないから本物ー。足止めしとくねー」


 コーグは話がこじれそうだと察し、黒い煙を出して目眩ましし、時間を稼ぐ。


「姫様」


「いいの。ラムさん?どうですか?せめて、安全な場所まででもお願いします」


 ラムはじっーとディアを見ている。


「ちょ、コーグ、父さんに連絡。とりあえず、御息女が生きてるなら戦争とまるかも」


(まずは、父さんに知らせてから、しないと!皇女がいる、と)


 コーグはムスの頭の上でもそもそと動き、ペディロに連絡をいれた。


「ムス、それは甘いよ。止まらないと思うけど、事態は最悪からは脱したのは確か。私は連れてくのはいいけど、侯爵には自分で交渉してください。兄様は甘くないですよ」


「え?ラム?え?!」


(侯爵っていった!?ラム、本当に侯爵令嬢なの!?え?ええ!?)


 ムスは固まる。


「ムスー、ペディロに連絡はしたけど、後で手紙だって。で、どうしたの?ムスー」


 固まったムスの頭の上でコーグはぼよんぼよん跳ねる。

 コーグは優秀であり、すぐにペディロに連絡を取れたよう。


(しょ、何から、まずは皇女とラムが先に説明)


「その前に、ムスの父親は何者か?」


 アステラがムスに詰め寄る。


(なんか、説明すること増えた!!)


「ま、まって。パニック。まず、父親に手紙だす。メモ紙!次!父親は魔法師!以上!」


 ムスは1個1個、確認し始める。


(まずは、皇女が生きてて、現在一緒。他はラムが侯爵令嬢とだけメモ紙に書いて)


 胸にしまっているメモ紙と万年筆を取り出し、書く。

 父親は魔法師だとアステラに伝え、終了。


「面倒だから飛ぶよ。バース領まで。全て検問無視で。質問は空の上か侯爵家でお願いします」


(なんか、ラムがとんでもないこと言い出したよ!?)


「では!」


 ラムは頷く。


「フェニ。皆を家まで」


 そう、ラムが口に出した。

 すると、彼女の側から火が舞い上がる。

 

「え!?ラム、危ないよ!?」


 パニックになってた、ムスは慌ててメモ紙をしまい、ラムの手を引っ張って火から出そうとするが


「おや。珍しい。ほう、精霊付きか。しかも、古きものか」


 火の周りから声がしたと思ったら、ワイバーン並みの大きさの鳥。全身が燃えている火の鳥が現れた。

 ラムの周囲から火は消えており、側にいるのはフェニックスだけ。先ほどの異様な炎は消えてラムの側の崖に飛んでいる。


「あれ。炎消えた。ラム、大丈夫?後ろから声?わーーーーー!!フェニックスだあ!!綺麗!」


(憧れの七色の鳥!!実物はとても綺麗!!)


 ムスは声をした方を見ると聖獣であるフェニックスがおり、キラキラとした目でみていた。


「七色の羽!火を纏う身体、青い水晶の目、綺麗すぎるー!!スケッチしないとーー!!滅多にみれない、聖獣。どうしているか、わからないけど、少しその場にいてください!ちょ、ゴロツキ吹っ飛ばすから。もう、あっち方向に半分の魔力ブッパして倒す。スケッチの邪魔!他に入れないようにトラップしかけなきゃ!」


(このチャンスは逃してはいけない!!さっきの敵は魔力ブッパし、空間に閉じ込めればいい)


 スケッチブックを慌てて鞄から取り出し、万年筆を構える。


「ははは、主、ずいぶん変わった人を連れてきたな」


 フェニックスが笑う。


「トラップ仕掛けたよー。やったー!空飛べるー!」


 コーグはムスの頭の上で跳ねている。


「主、飛ぶのなら速く」


 ラムがフェニックスから促され、頷く。


「ムス、大丈夫だから乗って。他の二人も」


「わかりました、姫様」


「はい」


 2人は乗り込んだ。


「えーと、魔力」


 ムスはラムの声は聞こえていない。

 敵を倒してスケッチする気満々だ。


「ムス!はやく」


「てぃ!!」


「ぶっ!」


 コーグがムスの顔に張り付く。 


(息が吸えない。痛い!!)

 

「ムス、フェニックスに乗るよー!はやくはやく!

ムスが暴走したら、叩かないと現実に戻ってこないからね、ラム!こうしないといけない!」


 コーグは頭の上に戻ってぼよんぼよんと跳ね出す。


「うー、痛い」


 ムスは頬を擦る。


(ああ、乗るとか言ってたな)


「ムス、乗って!もう、来てるから!」


「あ、はい」


 ラムは慌ててムスを引っ張ってフェニックスにのせる。

 ラムの目には弓を構えて射る者が見えたからだ。


「捕まりなさい」


 フェニックスがラムを乗せた直後に空へ飛び立つ。

 射られた弓は燃やしながら、真っ直ぐにバース領へと向かうのだった。

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