滝
2人とコーグが訪れた場所は城の近く。城の裏手にある森の中。滝の流れる音が聴こえてきたと思ったら、急に視界がひらけて眼の前に高さ30メートル、幅1メートルはある滝が出てきた。
森の中にあるそれは、轟音と共に強い存在感を示している。
落ちる水。下に叩きつけられた水が、飛び跳ね、水の波紋が広がっていく。
水が側にあるため、周囲はひんやりとしている。
「滝ー!」
コーグは目をキラキラ輝かせて滝を見つめている。
「すごく大きいね。スケッチしとこうかな、、」
(涼し気な風がここまでくるし、水飛沫の音も迫力あって素晴らしい)
ムスはスケッチブックを開く。
「コーグ、近くでみる?飛べば近いし、ムスも浮かせようか?」
「水しぶき感じたい!近くいく!」
コーグは喜びを顕に嬉しそうな声を上げる。
「空からかあ。そっか。えーと、陣」
(近くで見れたら、嬉しいけど、魔法を使うには陣がいるから、集中して発動させないと)
「ムス、制御苦手なら空飛ぶのは維持費は払ってもらうけど、好きな場所に移動できないと思うよ?」
「うっ」
(だよなー。発動はできるけど、移動、好きな場所に飛び回る魔法の飛び回る部分は制御管轄。自分は最初に決めた場所にしかいけず、寄り道はできないし、留まるしか不可能)
図星をさされたムスは顔を引きつらせる。
「陣は指定された場所に飛んで留まるしかできないもの」
「ムスは魔法使いじゃないからねー。飛ぼ!飛ぼ!」
(コーグは一緒に行きたいらしく、目をキラキラさせている。断れない雰囲気。空を飛ぶの少し怖いのだけど)
「お願いします」
ムスは肩を落としてラムに素直にお願いする。
「穏やかな陽風、空へ花を舞い上がらせて。《風の精霊》(ウォームウインド)」
ラムは魔力だけをムスから貰い、魔法を発動させてラムとムスを浮かせる。
「いくよ」
「わ、う、うん」
ムスは身体が浮く感覚に驚きつつ、頷く。
(浮遊感こわっ。自分の魔力減ったのはわかるけど、制御はラムだから何が起こるかわからないし)
「わーい!いくよー!」
コーグは嬉しそうに声をかけて、ムスの頭の上から飛び出して、滝をめがけて飛んでいく。
(勝手に行っちゃった、、。ラム、2人分なのに、よく平気だなぁ)
ラムは魔法を維持させながら、コーグの後ろをついていく。
「うわぁー。すごい」
ムスは滝の水飛沫がかかるぐらいまで、近くに飛んでいた。
「迫力!滝ー!」
コーグは嬉しそうにくるくる回りながら、水飛沫を受けている。
「コーグ、あまり近くにいくと濡れちゃうよ」
(はしゃいでる。今まで我慢していた反動かな?)
「大丈夫!コーグ、すぐ乾くし風邪引かないから!中、どうなってるのかな?」
わくわくしながら、滝の中心部に顔を突っ込んだ。
「わぁーーー」
そんなことをすれば、流されるのは当たり前。強い水流によって、コーグは下に流される。
「コーグ!やばっ、助けないと」
(なんで、突っ込むの!?)
ムスが焦った声をあげる。
「いくよ!」
ラムはスピードをあげて、2人分の《風の精霊》(ウォームウインド)を操る。
「うわぁぁ。は、はや!」
ムスは魔法で飛び慣れていないため、変な声をあげる。
ボチャン
滝の下から変な音が聞こえた。何か下に落ちた間違いない音。
ラムは躊躇いもせずに滝の下の方へ飛び込む。
「ラム!水の中に入ったらーー、行っちゃった。俺は落ちないから追いかけられない」
ムスはラムが制御している魔法の流れを見るが、解除はできても維持はできなそうだった。魔力の流れを切ったら水にドボンと落ちるようになっていて、魔法が崩壊するようになっていた。
暫くすると、ラムがコーグを抱えて水の中から出る。
「コーグ!ラム、ありがとう。ほら、コーグ、考えなしに突っ込まないの!」
「がばばー。ありがとう、ラム。お水、飲み込んじゃった。流されちゃったよ」
コーグは口から水を吐き出して、ぶるぶる身体を揺らして水を飛ばす。
「あーーー!!ラムが濡れた!何してるの、コーグ!タオルで拭かなきゃ駄目だろ!」
「大丈夫だよ。気にしないで」
慌てたムスの剣幕にラムは首をふる。
「あ!ラム、ごめんね。乾かすよ!」
コーグが黒い煙を出して、ラムを包み込む。
すると、ラムの濡れた服が数分で乾ききった。
「コーグ、危険なことは駄目だからね!ラムに迷惑をかけないの」
「はーい。ムスの頭の上にいるー」
コーグがムスの頭の上に戻った瞬間。コーグ、ラム、ムスはいきなり白い光に包まれた。




