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1人の時間

 ムスは長引きそうなコーグとラムの遊びは置いておいて、花畑へ。

 すると、花畑はシロツメクサ、赤や黄色の薔薇、クロッカス、ベルガモット、リンドウ、スノーホワイト、月光草と様々な季節の花が咲き乱れていた。


「流石ラム。細かいとこまで綺麗。よーし、勝った方に王冠の代わりに花冠を渡そう!豪華にしようかなー。多分、消えちゃうだろうし」


 ここは現実の世界ではなく、ラムが作り出した魔法の空間。コーグのわがままに答えるための、魔法の幻想世界。時間が経てば消えるだろう。

 ムスはまずは、シロツメクサをメインに花冠を編む。


「花冠、好みもあるよなぁ。コーグはシンプル大好きだから、シロツメクサだけの花冠を作ろう。カラフルな花冠も作って2つ置けばいいね!」


 ムスは頷いて作業に取り掛かる。

 まずはシロツメクサの花を茎を長めに取り、材料を揃えながら横に並べる。次に最初の花の茎が切れる中間で縦にシロツメクサを結び支える。こうして、編み続け20分ほど経てばシロツメクサの花冠が2つ出来上がった。

 

「よし、これから華やかに飾り付けしよう」


 薔薇にクロッカス、リンドウ、月光草で飾り付け。

 赤や黄色、白や紫等、華やかな花冠が出来上がった。


「まだ、やってる」


 遠くで魔法の爆発音が聴こえるため、まだ遊んでいるのがわかる。

 

「まだまだ、作るか!よーし、スケッチからしよう。いい商品の見本になるかもしれない」


 ムスはポケットから、万年筆とスケッチブックを取り出して、花冠のデザインをスケッチする。シンプルな1つの花でできたもの、カラフルな花冠。さらに、魔法で耐久性を高め、長く持つように凍らせて作ることを織り込む。

 

「よし、作ろう!」


 ムスは練習とばかりに花冠を作り始める。そうして、時間は過ぎていくのだった。



ーーーーー数十分後ーーーーー



 コーグとラムはそれぞれ頷いて地面に落ちる。


「あ。おかえりー」


 ムスは花畑がある場所辺で花冠を作っていた。

 シロツメクサで作っていたようだが、飽きたのか間にクロッカスや薔薇まで刺して華やかになっていた。


「ただいまー。引き分けにして戻ってきたよー。それ、どうしたの?」


「優勝者の王冠のつもりで作ってたけど、なかなか来ないからさ。店で売れそうな花アクセサリーのスケッチや試しで作ってたら、10個ぐらいになっちゃった」


 ラムが下に視線を落とすと、確かに花冠が10個下に作られていた。

 ベースはシロツメクサで、クロッカスだけやラベンダー、薔薇、色とりどりの花冠が出来上がっている。

 ムスは万年筆にスケッチブックを持参していてそこにはラフ画が描かれている。


「コーグ、これ欲しい!貰っていい?」


 コーグはシロツメクサだけのシンプルな花冠を手に取る。


「いいよー。でも、消滅しちゃうかな?」


(シンプル好きなコーグはやっぱりそれかぁ)


「まあ、空間魔法だからね。場所を解除したらこれもなくなっちゃうけど」


「限定品かぁ、、ムスー」


 じーっとコーグがムスの目をみつめる。


(ものすごく欲しがってる、、。めっちゃ目がうるうるしてる、、)


「あー。わかったよ。シロツメクサ咲いてる草原で作ろうか?今はもう遅いかなぁ」


「咲いてたら作ってくれる?」


「春先はいつも忙しいけど、気晴らしの時にな」


「わーい!」


(可愛いもの強請るなぁ)


「ラムは?ラムはいらないの?」


「え?」


 ラムはコーグの言葉にきょとんと首をかしげる。


「ムスの装飾品はとっても綺麗でいいやつだよ?すごい綺麗。花冠も可愛いの作ってくれるよ?」


「でも、枯れちゃうから」


「いや?枯れないようにしちゃえばいいけど。氷魔法で《氷の魔法》(アイスクリスタル)使えば薄く膜張れるから、そのままの色でばっちり残るよ。維持費は20年ぐらいにするか?100年でもいい。魔力球売ってるし、維持も簡単だよ」


(20年より50年にしようかな?長い方がいいよね)


「え」


「商品にするつもりなの?」


「え?普通にあげるけど。試作品だし。でもさ、綺麗なままがよくない?つけるなら。花を飾るなら生花のままがいいけど」


(これで、うまくいったら花屋さんから花を仕入れて、飾りを作りたいなぁ。可愛いし、綺麗で素敵なものになる)


「コーグ、綺麗なまま保管!」


「あいよ。ラムは?気に入ったら普通にするけど」


「お金出すよ!魔工品だよ!」


「いや、込めるの2種類で実用的なやつ何もないし。魔工品でもただの装飾品にしかならないから、いいよ。サービス」


「サービス?」


「遊んでもらってるし。ほら、コーグ満足してボール投げ終わらせたみたいだし。俺じゃ無理。後は試作品に金取るとか駄目だよ。出来栄えやつけた心地の感想を聞かせて欲しいから手間賃で相殺。で?いる?」


「う」 


(もう一押しかな?)


「花、好きでしょ。だって、綺麗に咲いてる。これは好みの花ばかり。違う?」


「わかるの?」


「まあ、本物に遜色ないぐらい綺麗だから。魔法は力の入れ方でわりとあやふやになるとこはなる。細部まで綺麗なら、好きに決まってるよ。思いれあるってことだから」


「ーーじゃあ、あれ」


 ラムは奥に咲いているベルガモットと月光草を指す。


「あの2つ?白い花と赤い花ね。ブレスレットにする?流石にコーグみたいに頭の上にぽんは恥ずかしいでしょ?髪飾りにしてもいいけど」


「髪飾り、、」


 ラムは微笑む。


(嬉しそう。いい図案でも思い浮かべたのかな。作るときに聞こう)


「じゃあ、髪飾りにしようかー。ベルガモットは買うとして、月光草は祭りの時に確保しようか。花屋さんに予約入れとくよ」


「コーグ、全部持ってくね!」


 ムスが作った花冠を魔法で浮かせて、頭の上に全て乗せる。

 花冠だらけのコーグの頭。花冠が落ちてきそうで危ないのだが、本人は嬉しそうなので、ムスは指摘するのはやめた。


「で、移動するの?コーグ、何するつもり?」


「探検!キレーな場所、よくみたい!」


「ここからだと、もう少し先に滝があるよ」


「滝!コーグ、滝みたい!」 


 コーグの目が輝く。


「そっか。ラム、いこうか」


「ええ」


 コーグはムスの頭の上に、ラムとムスは並んで歩いていく。

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