ムスとラム
2人は事情聴取部屋から出た。
外に案内人は何故かおらず、周囲は2人とコーグだけだった。
「終了ー!スープパスタ!スープパスタ!」
コーグはラムの腕の中から飛び出し、ムスの頭の上に座る。
とてもスープパスタが楽しみらしく、嬉しそう。現金だなぁとムスは思っていた。
「コーグ、黒霧と呪いって関係あるの?」
ムスが頭の上に乗ったコーグに問いかける。
そして、出口に向かって2人は歩き出す。
「あるよー。黒霧は人を不幸にしようとする悪い感情の塊だから。普通に嫌がらせとか、少しいじわるしようとか、嫉妬ぐらいだと強いのは出ない。でもね、自分勝手に儲けようとか、人を売り捌くみたいに不幸が連鎖するのはね、たくさん出る。それに、不幸になった人からの恨みや悲しみがたくさんその人に向かうから、黒霧がさらに増える。塊になって呪いが完成したら、その人だけで収まらない場合がある。ムスとラムとユリ母さんとペディロはコーグが護る!けど、他は無理だよー。コーグは近くしか護れません」
「黒霧は呪いになる前の危険な状態なのか。呪われた物は返したことあるけど、そんなふうに呪いが作られるなんて、知らなかった」
(魔技師は祝福を付与するから、呪いの解除方法はわかっても作り方は知らない。恐ろしい。ただ、コーグは俺達を護ろうとしてくれてる、やっぱりいい奴だなぁ)
ムスはコーグを少しだけ撫でる。
「呪物を意図的に作る人は犯罪で牢屋行きだから、普通は作らないよ。偶然できたら、どうなるかしらないけど。昔は作ってた時があったらしいけど」
「昔?」
「戦があった時かな。優秀な人を呪って弱らせる戦略をラスティー王国がしていたらしいよ」
「うげっ。国絡み!?」
(うわぁー。見たくない。怖すぎ)
ムスは引きつった表情になる。
「今はしてないはずだけど、、。今の王女様は温厚らしいし、呪いは廃止されたはず。でも、ムスは呪物を見たことあるのでしょう?」
「ギルドから呪い解除の依頼はくるね。数は多くない。ほとんどは古いやつだけど、新しいのもあるから、、。やっぱり誰か作れる人いるのかな?」
(うーん。誰が作製しているのか。古いのは昔だとして、呪いだけ移せるのか。謎は深まるばかり)
「技術伝承してるかもしれないね。ごくごく僅かに」
「呪いはね、よくない。あれは魔法の負の異物だから。できてしまったもの。過程でできた悲しいもの。コーグは幸せがすき!ムスの魔工品がいい!皆、幸せ一番!」
ムスの頭の上でコーグは飛び跳ねる。
「コーグ、そうかぁー。やっぱり皆が幸せ一番だよなぁー」
(呪いより祝福の方が断然にいい)
ムスはコーグの頭を撫でる。
ムスはにこにこ笑っている。
光景は平和そのもので、コーグとムスが戯れているようにしかみえない。
「コーグ、呪いについて詳しいの?」
「それ以上はしらない。感覚でわかるだけ。呪いの消す方法はわかる。作り方もなんとなくわかる。ただ、コーグは呪い嫌い!だから、叩きのめす!」
コーグがシャキッとムスの頭の上でのびる。
(うんうん。呪いは全てなくなればいい)
「そうなの。もうすぐ出口だから、帰ったらスープパスタ作ろうね」
「やったー!」
コーグは嬉しそうな声をあげて、笑っている。
「なんで、案内人いないのかなぁ。まあ、帰っていいってことだから、大丈夫だろうけど」
2人で歩いてきたのに、すれ違うメイドはいても声をかけて案内してくれる人はいなかった。
風景が簡素な造りから綺羅びやかなものになってもだ。
「コーグがいるからだよ。トニトが言ってつけなかったみたい。2人の方が安全だから」
「そうなの?」
「メイドが武器を持っていたでしょ?ラムの言葉に不安を覚えたみたい」
「なるほど」
(王宮で何が起こっているのか。ジールが何とかするだろうけど、巻き込まれないように注意しよう)
「暫くはこないようにしたい」
「まぁ、、落ち着かないしね。こんな場所。スーツ着てないから視線が。めっちゃ痛い。雰囲気もトゲトゲしてて嫌いだ。こないようにしよう」
ラムとムスは互いに頷いた。
「でーぐーち!」
コーグが叫ぶともう、受け付けの場所に2人は着いていた。
流石にここまでくれば、人が疎らではあるが、いた。
ここのすぐ近くにある外に続く扉をくぐれば王宮からでられる。
2人は並んで外へ出た。




