作戦
ムス、ムスの頭の上にいるコーグ、ユリア、ラムは準備を整えて現地に向かっていた。
ユリアは買い物袋の中に大量のロープを入れて持ち歩き、ムスは戦闘する時のショルダーバッグに大量の弾丸を入れ、ラムは温かいようにとタイツを着せられていた。
現地は大通りから路地に入った場所で、少し薄暗い。人も疎らで、建物も大きさの割に目立たなかった。
「セイジさん!」
見回りを装っているらしく、赤いマント、無骨な銀光する肩当てと鎧、腰に騎士剣を帯剣した格好。顔を見えないように兜までつけて正装している聖騎士長が歩いていた。
「ムスですか。お待ちしておりました」
丁寧な口調で礼をするセイジ。
「目立ちすぎですよ。とりあえず、喫茶店に入りましょう」
「まぁ、バレたら道場破りすればいいだけだから、問題ないわ」
「大丈夫、出られなくすればいいだけ。戦闘するだけ」
「2人共、怖いから。当初の予定通りにいこうね。セイジさん、こっち」
(2人とも怖い。好戦的すぎでは?)
ムスが大通りに戻って小さなお店の喫茶店に入る。
1軒家のような大きさのレンガ積みの家で赤い屋根が特徴的。
ここはギルド所属者むけの喫茶店で武装していても驚かれることはない。
扉を開けると鈴がカランカランと鳴り響く。
「すいません、4人で。奥は空いてますか?」
「空いてますよ、どうぞ」
茶色の半袖半ズボンという動きやすい格好をした定員が案内する。
「お決まりでしたらお呼びください。ごゆっくりどうぞー」
広めの木のテーブルと木の椅子の席に案内された4人。
ムスがラムの隣に、ユリアはラムを挟むように隣に座り、セイジは空いてる席へすすむ。
「飲み物頼むけど、セイジさんは?他に食べたいのあれば言っていただけると。まだ、作戦まで1時間はあるし、食べる時間はあります」
ムスがメニューをテーブルの真ん中に広げる。文字の向きはセイジさん側に合わせていた。
「コーヒーで」
「母さんは?」
「紅茶」
「ラムは?」
「ムス、甘いのどれ?」
「えーとね、あまあまはちみつラテ」
「それで」
(甘いのしか聞かないのか)
「すいませんー!」
ムスが定員に注文を伝えると、暫くしてから全員分の飲み物が運ばれてきた。
「甘い、、」
ラムは幸せそうに温かいティーカップに入ったあまあまはちみつラテを飲み始める。
「ね!甘いよね!あー、美味しい。で、作戦だけど」
ムスがラムと同じものを飲んで、笑いながら急に真面目な表情になる。
「透明になって、俺とラムが潜入するのだけど、セイジさんはその鎧だと」
「狭い場所は無理そう。完璧な防御すぎます」
ラムがセイジの重装備をみて言う。
(完全にラムは戦闘モードだ)
「やり過ぎましたか」
「建物が狭そうですから。でも、セイジさんは来たほうが安心するだろうし、どーしよう」
「広い部屋に飛ばして、蹴散らして縛る。ユリアさんが縄で縛る。潜入は完璧」
(簡潔すぎる。しかも負けることは考えてない)
「母さんは魔法かけられないから、見えるけど撃退するつもりなの?人質は?後は取引き相手は?」
「ムスが私を捕まえたことにして、来たところで一網打尽。人質は仲間が移動や伝達する妙な動きをした人に、遠隔魔法つけて接触したやつに発動。鍵だけあけさせて解放」
「コーグ、攻撃得意!」
(ラムの魔法の使い方が平然と何個も重ねがけする気まんまん。しかもコーグも何かするつもりで、怖い)
「うわー。はい、セイジさんは広場に飛ばして、待機して人質を解放してからドンパチしましょう。俺は嘘が苦手だから、無理」
「そう。なら、飛ばすだけする。待機でいいの?」
「セイジさんなら、スキルもあるから大丈夫。むしろ、人質を護って貰った方がいいかもしれない。その間に叩き潰して確保の方がいいかも。最初は3人で広い部屋から探しつつ行動して、人質を見つけよう。もし、人質の場所が散らばっていたら、《空間魔法》(テレポート)でセイジさんの場所に集めれば安全だし」
「聖騎士は防御向き。ぴったり」
ラムは頷く。
「人質を護ることには異論はないが、遠距離二人で大丈夫ですか?」
「俺がラムをガードするよ。見つからないように移動するのは得意」
(ラムは近接がおそらく苦手で、剣は持ってたから魔法剣は使えるが上手くはないのまろう。ただし、全くできない分けではないからおそらく、その辺のごろつきには負けない)
「私も注意する。見つかったら、ユリアさんを呼ぶ」
「ええ!すぐにぶっ飛ばすわ!任せて!」
(1分もかからずに、きそう。しかも、コーグもぼよんぼよん跳ねてるから任せろって言ってる。傷つく前に相手を全滅させるな、この感じ)
「作戦はそのようにすることでいいのか?私としては心配ではあるが」
「危なくなったら、逃げます。大丈夫です」
「わかりました。最初は一緒ですから、護りましょう」
「お願いします。心強いです」
「よろしくお願いします」
ムスとラムが頭を下げて、話はまとまったのだった。




