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プレゼント


「お待たせ!」


 ムスは作業場からうさぎのストラップを取り出すと、すぐに客間に戻ってきた。

 潰さないように手の平に乗せたうさぎはつぶらな黒い目で手にコーグの形のマークに包まれた花束を持っている格好。上には鞄や財布につけられるように、キーホルダーになっている。脇には落とした時にわかるよう、鈴をつけた。

 ムスは満足のいく出来のうさぎのストラップをラムに見せる。


(気に入ってくれるといいなぁ)


 ムスはラムの反応を緊張してまつ。


「可愛いね」


 手のひらのうさぎをじっと見つめて、ラムが呟く。


「本当に!?よかった。あげるよ」


(うさぎ好きだったみたい。父さんに感謝)


 ムスは作品を褒められたことと、気に入った様子のラムをみて、表情を明るくする。


「え?」


 ラムがびっくりしている間にラムの手にムスはうさぎを載せた。


「え?ええ!?で、でも」


「いいから。悪夢、見てたんだろ?お守りだよ、お守り。悪夢よけ」 


「悪夢よけ、、って」


 ラムがうさぎを見つめて、急に慌てだす。


「ま、魔工品だよ、これ!?こんな高価なのもらえないよ」


 ムスが首を傾げる。


「力が弱いから四つ葉のクローバー並の祝福しかないよ。本格的な魔工品として造ってないし。悪夢よけぐらいにしかならない。店に売ってるアクセサリーの見本品だし、値段つかないやつだもん。あげる」


「値段つかないって、、、」


「店に出してるやつは全部これぐらいの加護はつけて出してるよ。身につけると“幸せが訪れる装飾品”としてね。他の店と比べられるから、ちょっとしたファッション+αみたいなやつで安く出してるから」


「けっこう、力あるような、、」


(やば。まあ、店の商品よりは効果は多めにつけているけど。強力なやつではないし、本格的な大規模魔法は込めてない。今度、力を込める時は注意しよう。ラムはなかなか鋭い)


 じーっとみているラムに苦笑しながら、ムスは続ける。


「もし、俺が本気で魔工品造るなら依頼者の値段にもよるけど、オーダーメイドでしか受けない。まず、刻むのは強力な防御魔法、認識阻害魔法、強度強化、回復魔法、追跡、相手に幻覚、目眩まし。他は場合にもよるけど、空間魔法、攻撃魔法はつけるが?」


 ラムはムスの回答に目を見開く。


「つ、つけすぎじゃない?」


「えーー?防御魔法だけじゃ解除されたら、その人どうなる?危険だろう?発動したら、阻害かけて、発動した魔法強化して、相手を戦闘不能にした方が安全だろ?魔工品は力がない人が持つのがほとんどだから」


(これは、自分のこだわり。高い魔工品を買ってくれたのに、怪我をさせる訳にはいかない)


「それは最もだけど、高くなったら買える人は限定されちゃうよ」


 ラムはそう言うと、ムスは首をふる。


「それは、宝石で造るから高価になる。はっきりいって、外側に見えないように小さな宝石や石を何個かいれても簡単に造れるよ。規格外とか失敗したやつとかかけた破片とか貰ってさ。仕入先に言えばそんな高くない。それに、石じゃなくてもいいし。糸でもガラスでも、人口物でも。石が効率よく魔力が定着するだけで、他に込められないわけじゃない。まあ、難しくなるから技術料が上がるけど。宝石より安いよ」


「そうなの?じゃあ、極端な話、土やモンスターの牙や骨なんかでもいいの?」

 

「いけるよ。でも、土は固めないと陣と印が崩れるから器と蓋がいる。後は土は一番効率悪いから収支マイナスになるからしないけど。モンスターの素材は痺れとか毒とか素材自体に特殊効果があるのは無理。魔法定着の阻害になって、思うような効果がでない。それ以外ならできる。要は何で造るかで値段はかなり変わるから気にしなくていいよ」


「へぇー。いいこときいた」


「まぁ、魔技師で糸とかガラスで造るやつは少ないだろうけど。やっぱり、魔工品は高級品のイメージが強いから。俺みたいに市民向けに魔工品を造って売るやつが何人いるか」


(俺は宝石以外でも魔工品を造る珍しい職人。他に1人知っているけど、やっぱり少ない)


「じゃあ、これは貰うね」  


 うさぎを大事そうにポケットにしまうラム。


「そうしてくれ」


 ラムが嬉しそうにうさぎをしまったことに安心して笑顔を向けるムス。


「ムス、妹が見つかったら私が依頼したら何か作ってくれる?」


 急にラムが顔をあげて、訪ねる。


「いいよ。でも、他に依頼があるからすぐには無理だけど」


「本当に?なら、骨でお揃いの髪留めほしい!結婚式につけるの。骨は軽くて丈夫だし、軽いし、綺麗だから。私も髪はもともと長いし」


「いいけど、、結婚式につけるなら、殺生系は縁起悪いよ?違うやつで作ろうか?」


「あ、、。なら違うのでもいいけど、重いのはいや。ゴテゴテきらい、、」


 暗い表情でラムが呟く。


「嫌いって、、。軽い素材ねぇ、、。木をベースに宝石でもつけようか?小さな宝石持ってくるぐらい稼ぎは悪くないだろ?」


(重いのとゴテゴテ嫌いみたい。シンプルで可愛らしいのが好き、と。後でメモしよう)


「木」


「檜を加工して、宝石ちりばめて、とか。いい香りもする。まあ、見目がよくて軽くすればいいんだろ?真珠辺りも軽いから、その辺狙えば比較的軽くなるし」


(オパール、、似合いそうだよなぁ。でも、ラピスラズリ、いや、可愛らしく、ローズクォーツとか?うーん、何でも似合いそう。花束にしたら、可愛いよなぁ)


 ムスはどんなものを作るかイメージを膨らませている。


「軽い?」


「金属よりはね。まあ、その時に決めようか。新しい新素材が出るかもしれない。鉱山で新種の宝石がでたり、ガラスもいい質、プラチナが安くなる確率だってある。軽いやつがいいなら軽量化するよ」


(ラムは綺麗な瞳をしているし、髪も明るめな色だから、透明感がある石や硝子が似合いそう。よし、使うのはその辺にしよう)


「軽い、奇麗、豪華!これなら、兄さん達も納得するはず、、!」


 ラムは目を輝かせる。

 ムスはラムの言葉に苦笑する。


「速く妹さんが見つかるように協力するから、無理は駄目だからな?そろそろご飯だろうし、大人しく座ってよう」


「うん!」


 ラムは紅茶がそろそろいい時間だとわかったので、ティーカップに注ぐ。

 ふわりといい香りが充満して、2人は紅茶を飲みながら朝ご飯の時間を待つのだった。



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