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「おはよう、ムス!」


 ユリアは明るいオレンジの花柄のワンピースをきて、ラムを毛布に包み2階から居間に降りてきた。


「おはよう、、って。え!?」


(母さん、何してるの!?)


 欠伸をして、よくユリアの荷物をみると、毛布に包まれたラムで目を丸くする。

 眠気は吹っ飛んでしまった。


「ムス、おはよう!パンケーキ忘れないでね!」


 ムクッと起きたコーグが、ムスの頭の上で左右に交互に伸びながら、震える。


「あ、うん。コーグのは朝に作るよ。作りそびれたら、時間みつけるから。それと、母さん、ラムをつれてどうするつもり?」


 頭の上にいるコーグを撫でて、疑問を聞く。


「わーい」


 コーグはにこにこと笑っている。


「今から朝食作るから客間に寝かせるの。近くにいないと危険よ!卑劣な攻撃したら、ぶっ飛ばさなきゃ!!」


 ラムをしっかり抱きしめて拳を作る。


「怖っ、、。多分、魔法師だと思うから母さん、物理で何とかならないよ」


「ええっ!?」


 ユリアが驚いて大きな声をあげる。


「う、、ん、、」


 ラムが身動ぎをする。


「あ。うるさかったか。母さん、寝かせてあげて。まだ、、残ってるから大丈夫だよ。太陽マークも花弁マークも月桂樹マークもある。大丈夫」


「そう?警戒はしておくわ。まだ、寝てていいからねー」


 ユリアは優しく声をかけながら客間に歩いていく。


「買い物いくかぁ。コーグはどうする?」


「ついてくー」


 頭の上でころころ転がっている。


「じゃあ、一緒にいこう」


 ムスはそのまま台所に移動する。


「母さん、後で台所を貸してね。コーグにホットケーキ作る約束したからさ。今から買い物に行くけど、何か買うものある?」


「ホットケーキ!わくわく」


 コーグはムスの頭の上で嬉しそうに跳ねている。


「わかったわ。買い物、多めに種類豊富にしてくれる?ラムちゃんにね、料理を教えてもらうことにしたの!バース領の郷土料理も。それに、4人分の消費だから、多めにね」


「うん。じゃあ、安いのを種類多めに買ってくるね。ホットケーキの材料と使いやすい食材多めにするよ。調味料も買い足すね!」


 ムスは頷いて鞄をとり、財布を金庫から持ってきて朝市へとコーグと一緒に出かける。





ーーーーーー市場にてーーーーーー




 威勢のいい声が市場の方から聞こえる。

 素朴なレンガ積みの建物が立ち並び、ガス灯の淡い光が舗装された石畳の通路を照らす王都。品の良い、でも過度な装飾はされてない落ち着いた街並みは住みやすく、居心地が良い。

 動きやすい半袖のシャツに、ズボンの軽装に着替えて目的の店へとムスは顔を出して会話する。


「砂糖と塩を500gぐらいで」


「はいよ」


 若い男性から品物を受け取ると同時にお金を渡す。

 次の店で安いお肉を、隣の店で野菜をと次々に手早く買い足していく。


「おばあちゃん、おはよう!レモングラスのハーブちょうだい!」


 仲良くしているおじいちゃんとおばあちゃんのお店にムスは顔を出す。


「ムスくん、おはよう。はいよ、300でいいよ」


「お魚はいいのか?」


「お魚は日持ちしないから、違う日にする。今日は近々、新しい料理にお母さんが挑戦するから、被害が少なく凡庸性がたかいものだけ買うつもり。ここに少しハーブ、置いてあるかなぁって思って」


「そうかい。今日は蜂蜜もあるが」


「蜂蜜もあるの!?それも!おじいちゃんが取ってきたやつでしょ?絶対に美味しいもん!甘くて美味しいに決まってる」


「ほら、800で。入れとくぞ」


「ありがとうー!」


 ムスはお金を渡して買い物袋に2つの品物をいれてもらう。


「蜂蜜ー!蜂蜜ー!」


 コーグはムスの頭の上で跳ねる。


「また、寄ってね」


「うん、おばあちゃん、おじいちゃんまたね!」


 ムスは元気よく手を振って、家へと急ぐ。


「蜂蜜ー!」


「コーグ、蜂蜜かけよう。パンケーキに蜂蜜は美味しいよ」


「うん!」


 ムスは小声でコーグに話しかけてから、家の扉をあける。


「ただいまー!」


「「おかえりなさい」」


 中から2人の返事の声がする。


「ムス、ラムちゃん、もう起きて居間にいるから」


 ユリアが大きな声でムスに話しかけている。


「本当に!?今からいくからまっててくれ!食材もたくさん買ってきたし、これですきな料理作れればいいけど」


 食材を抱えたまま客間にくる。

 ムスはティー食器達を傷つけないように脇に買い物袋をおいて食材を取り出す。

 卵、玉ねぎ、人参、鶏肉、羊肉、ホルモン、レモン、はちみつ、砂糖、塩、レモングラス、お米、小麦粉、牛乳を取り出した。


「わぁ、、いっぱいある」


「甘い物は買ってきたら怒られるからからやめた。ハーブも苦手だとなぁってそんなに。甘い物はジャムだらけだから」


「随分、買ってきたわね。明日は行かなくていい感じね」


 ユリアも客間にやってきた。


「甘い物、、ジャム!ブルーベリー、苺、みかんにレモンある?たっぷりいれたら美味しい。あま~い幸せが広がる」


「もちろんーー!ジャムはたくさん作って、山程かけなきゃ。母さん、ラムも甘い物好きだよ!!ほら、今すぐフルーツ買わなきゃ!」


(ラム、甘い物好きだ。俺と同じ)


 嬉しそうなラムの表情をみて、すかさず、ムスはユリアに畳み掛ける。


「お昼はパンケーキに、はちみつたっぷり

。とっても甘くておいしい」


 ラムはムスの言葉に頷く。

 二人が真剣にユリアの方をみる。


「ムス、貴方、本当に病気になるからやめなさい。甘いのは一日一回。お茶の時だけにしなさい」


「ぐ。ガードがかたい」


「兄さん達と同じこと言われた」


 2人はユリアに甘い物をたくさん摂取できる機会を阻まれる。


「健康が一番よ。長生きして甘い物、長ーく食べたいでしょう?だから、ほどほどにしなさい」


「はーい」


「わかりました」


 2人は頷く。


「この食材だと全部大丈夫。特に羊肉とレモングラスの香草焼きは好き。でも、よく見るとモンスター肉ないね。ウルフボアとかオーガとか。こっちは羊肉より高いの?」


 ユリアはモンスター肉ときいて固まる。


「あーー、母さんが捌けないから買ってこない。それに、安くないよ。こっちはモンスターがそこまで生息してないから」


(ラム、バリバリモンスター肉、捌けるのかぁ。いいとこのお嬢様ぽいけど、アクティブなのかな)


 ムスは意外に思いつつも事情を説明する。


「そうなの。バース領だと、そっちの方が安いからたくさんあるけど。特にウルフボアは毛皮はさらさらで売れるし、肉はもちもちでおいしいのに。その場で解体しちゃえば臭くないし、氷漬けして運べば後から捌ける」


「、、、ラム、もしかして野営バリバリできる?しかも、狩りしながら移動するのか?」


(今、その場って単語が聞こえた)  


 驚きながら、確認のために慎重にラムに話しかける。


「野営できるよ。王都に来る時は狩りよりは撃退しながら来るよ。一週間、馬車に揺られながら保存食だけの食事でも我慢できるけど、大抵モンスターに襲われるから。襲われた中で美味しいやつは保存して運ぶ。もったいないから、後で捌いて皆で食べるよ。だから、バース領では業者さんはモンスターがでたら中の人に狩るか逃げるか聞かれる。商人がいると、戦闘終了時に肉や毛皮が保存できて持ち運べる場合は、交渉が入る。お金も食事も豪華になって一石二鳥だよ」


「普通なのか、、、。うーん、バース領に徒歩で行くけど、馬車に乗ったことなかったからなぁ。そんなことになるのか。今度は馬車に乗るかな。戦闘に出れば食事代うくなら安全も速さもあるし、いいかも」


(絶対に普通のお嬢様じゃないな、ラム。戦闘慣れしすぎ。強いよ、やっぱり)


「徒歩だとモンスターに襲われない?」


 ラムは目を丸くする。


「遭遇しないように行った。普通に着いたら、門番の人が親切にしてくれてどんな道を通ったか聞かれた。もし、引っ越しなさるなら歓迎しますと名刺交換までしたし」


(敵意わかるから、俺は簡単だけど。他の人はおそらく、きつい。危機察知能力高いのは自分でもわかってる。経路が役に立てばいい)


「バース領でモンスターに合わないのは難しいから、すごい人がきたって思われたと思うよ。名刺は取っとくといい。おそらく、何かあれば好待遇で領主様に口利きしてくれるよ」

 

「え!?そ、そんなことなってるの!?」


(恐ろしいことになってる!?)


 ムスは目を丸くする。


「うん。門番で名前確認するでしょう?有能な人が次に来たら歓迎するよう良い宿と安くて美味しい食事に、割引券を渡すの。滞在時間が長ければ嬉しいから。何日か滞在するならば、有事の際に戦闘に協力してくれるか聞かれるよ。ムスの技量的に足止めに絶大効果。協力要請を受けてくれるなら、お金貰えるし」


「バース領、こわ、、。ラム、詳しいな」


「噂があるからね。領主様はそうして人を集めてるって」


「なるほど、、、。あ、忘れる前に。ラム、可愛いの好き?」


(早めにうさぎのストラップ渡しておこう。何かある前に)


 ムスは真剣にラムの方をみる。


「可愛いの?アクセサリーみたいなのは好きだよ」


 ラムは頷く。


「なら、よかった。持ってくるから待ってて。母さん、固まってないで荷物を冷蔵庫にいれて」


「はっ!あ、、あら。ごめんなさいね。直ぐに入れるわ!」


 やっと我に返ったユリアは荷物を持って台所の方へ向かう。

 ムスは昨日作ったストラップを作業場に取りに行く。



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