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ーーー夕食を終え、風呂にも入り、ムスは後は寝るだけなのに、普段着のまま仕事場にいたーーー


 

 部屋の中は金属を研磨するベルトが数台。その左側には布や綿、糸を使う作業スペース。そのすぐ後ろには水が張ってある深さがない箱と、少し大きく水が張ってあり、深さがある箱。さらに前方には大きな棚があり、魔法が込められた球が大量に収納され、あらゆる工具、裁縫箱や石のカットや加工につかう魔針、後は刺繍枠、設計図やスケッチに使う紙等がある仕事場。

 ムスは金属類の加工をする自分の席に座っている。

 机の上には魔針(持つ手がある、小さな針の道具)と、聖水を入れたコップ。机の真ん中にラムのやばいネックレスをおいている。

 ネックレスのデザインは格子状のサイコロの中に白い石が入っているアンティーク調。


「ムスー、どうしたの?」


 ムスの頭の上からコーグが身を乗り出す。


「んーー、これ、捨てたいぐらいやばいやつな気がして。呪い?封印?とりあえず、守護の陣が見える。中身を出さないように、毎日浄化しないと駄目みたいだし、、危険物な臭いがする」


「そんなにやばいの?」


「うん。父さんー、これ、やばくない?中身、なんとかできないかなぁ」


 ペディロはムスに腕を捕まれ、仕事場に連れてこられた。

 まだ、寝るつもりはなかったため、黒いシャツに黒いワイドパンツのままで、ムスが机に広げているネックレスをみる。


「ムス、人の物だろう。そこまで、世話を焼かなくても」


「妹さんが拐われたって、悪いことだよ!悪いことを呼び寄せる物だったら、これが原因になる。なんとかしなきゃ」


「はぁー。全く、、。少し見てもいいが」


「これがかけられてるよ!」


 ムスはさらさらとネックレスにかけられている魔法をみて、陣を写す。

 ムスが使ったのは魔技師の固有技能、技能名は〈見破り〉。物質にかけられた魔法や仕組みを見る技能。

 簡単に写し終わるとペディロに渡す。


「これはーー」


「やばそうだよね?」


(中身が出ないように強固な防御魔法、汚れないように浄化魔法を毎日、それでもよくない魔力が漏れてる。でも、何かを封じるようなみたことない模様によくわからない魔法の陣の絵柄がある)


「じーーー」


 ペディロの上からコーグも陣をみる。


「ムス、触って何ともないのか?」


「ないよ?どうして?」


「盗まれたらその人物にマークがかかるようになってる。触ったらつくようにもなってるが。ここの聖獣を現す*と宇宙を現す○のマークの中が真っ黒になってるだろう?盗難された場合、聖獣の一斉攻撃がくる」


「うぇ!?盗んでない、盗んでない。悪いことしてないから、聖獣は、勘弁!やめてくださいー。

 ん?聖獣は聖女と契約するだったよね。聖獣は力をかしてくれる別世界の生き物だったはず。って、ことは聖女の持ち物なの?ラムは聖女?」


(もしかして、契約聖獣いるのだろうか?聖獣に詳しくないから、判断ができない)


 ムスは考え込んでしまう。


「まぁ、見た限りマークがついてるかわからないが、、、。ラムさんが盗まれたと思ってない点と同じ家の敷地内にあるから、マークは発動してないと思う。ラムさんが聖女かは、聞いてみてもいいが」


「うーん。言わなかったってことは知られたくないのかなぁ。そっとしてた方がいいかな、、」


「聞かれたくないことの1つや2つはあるだろう」


 ペディロが神妙に頷く。


「じゃあ、聞かないでおいた方がいいか、、。で、聖獣どうしよう。一斉攻撃されるなら、下手にいじれない」


(せめて、この悪い空気を出す魔力だけでも何とかできれば、ましになりそう)


「聖獣が来たらコーグが説得するよ〜。前にあったことあるから、話せば大丈夫だよー」


 ムスの頭の上に飛び移り、ぴょこぴょこと動く。


「コーグー!ありがとう。これで、安心して作業できるよ!」


(うう、これで何か来てもコーグと一緒に説得できる。父さんもいるし、きっと大丈夫だ)


 頭の上にいるコーグを捕まえて、抱きしめる。


「えへへー。コーグ、長生きだもん。任せて」  


 ムスの腕の中で胸があるかわからない胸をはる。


「明日はコーグにご馳走あげなきゃ。パンケーキをやこう」


「わーい!やったー!」


 2人はほんわかした会話をしている。

 ムスはえらいえらい、すごいすごいとコーグを撫で回している。

 コーグもご機嫌で翼をパタパタと動かしている。


「ムス、どうするつもりだ?」


 ペディロは話を先に進めようとムスに声をかける。


「それはもちろん、中にあるやつに直接、祝福をいれて悪い感じを追い出す!幸い、穴があるから小さい石なら入れられる。ーーーなんか、やばいやつある?」


「そうだな、、。気になる力はあるがーー、下手に変な魔法は仕込まない方がいい。おそらく、これは封印だ。とてつもない、どうにもならない、力を封じ込めている。場所は、流石にわからないが」


「げっ」


 ムスは嫌そうな顔をする。


(封印は当時の力でモンスターを倒せなかったということ。破れたらそのモンスターと対峙しなければいけないため、危険である。つまり、失敗したらやばい)


「失敗したら、私がすぐに拘束するかブラックホールに閉じ込めよう」


「なら、コーグは防御する〜。ペディロが失敗したら、ブラックホール造る〜」


 ペディロは冷静に、コーグは呑気にムスの腕で寛ぎながらいう。


「2人共、お願い」


「一番は失敗しないことだ。魔法の陣は見えるな?傷つけないように中に入れるだけだ。変に傷つけなければ、大丈夫だ」


「はい。じゃあ」


 ムスは自分の魔針を持つ。針は1番細い2mm。

 そして、中に入れる物は小さな緑色の石、ペリドットを棚から取り出す。これは、加工する時の余りで不格好になった物。安く仕入れさせて貰ったのだ。


「ペリドットか、、」


「太陽の石だからね。光で悪いやつ逃げそうでしょう?ちょうど、ぴったり」


 ムスは笑いながら、石を緩衝材をしいた皿の上に乗せ、左手で先が柔らかい素材でできているピンセットを持ち、石を挟んで固定する。

 ムスは集中して魔力を魔針へ流す。

 魔針が魔力を帯びて、夜空を思い出す藍色に僅かに光る。

 ムスは石に対して躊躇いなく✕と祝福の印である太陽のマークを刻む。

 石が割れない限界まで祝福の印に魔力を流し込む。

 石が藍色の光を纏い始め、光が強くなっていく。

 ムスは一定の場所、光が石を覆い強すぎる光を放つ寸前で魔力を入れるのをやめた。


「ふぅ、、。これで、よし!」


 ピンセットで石を摘み、石の状態を確認。

 ひび割れもなく、淡い藍色の光を纏った状態で石の本来の輝きも損なわれてない。満足のいくできだった。

 ムスは何度も頷き、笑顔をみせる。


「2人共、いれるよー」


 ラムのネックレスにできた魔工品を入れようと近づける。

 その時、ネックレスからよくない魔力が溢れ出した。

 

 

 



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