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お使い


 ムスは肩で転がっているコーグをたまに見ながら、ギルドまで足を進める。

 ギルドは家が2軒繋がっているぐらい、大きな珍しいシンプルな木造建築の建物。

 ムスが中に入ると中は広々としていて、受け付けが広い。右側には掲示板が貼られていて、依頼が並んでいる。

 まだ、朝が早いので人はまばら。

 奥の方には2階に続く部屋があり、ギルド職員が利用する部屋がある。

 ムスは真っ直ぐに受け付けにいく。


「すいません、依頼を出したいのですが」


 筋肉ムキムキの背の高い40代ぐらいの男性は、自分の身長と同じくらいの大剣を背中に装備している。職員にしてはいかつい風貌。

 この人はここのギルドを統括しているマスター、ギルマスだ。

 運がいいとムスは思った。

 コーグはギルマスを見るなり、ムスの頭の上に移動して、ギルマスをみている。


「ムッキムキー」


 コーグはギルマスを見て変なことを言っているが、ギルマスは精霊がみえない。ムスは、そのまま会話を続けることにした。

 

「ムスじゃないか。素材か?」


「違いますー。素材は足りてますー。人探しを頼みたいの。人拐いされた子の」


「人探し?珍しいな。誰だ?」


「情報は名前はアルマ。年齢16。身長165cm。職業、拳闘士。金髪のショートカットに空色の瞳。軽装を好む活発な子。その辺の剣なら叩き折れる、魔法は回復魔法が使えるって内容だけど、心当たりあるなら、情報提供だけでいい。戦闘はだめ。人拐いの仲間らしい1人に、腕利きの大剣使いがいる。報酬は1.5cmほどの宝石で」


「ふむ。情報提供だけなら、その報酬は破格すぎないか?」


「まあ、有力な情報なら報酬を支払う感じで。いないなら、500ラータぐらいのお小遣い稼ぎしか支払わないで、してもらえると助かるかな」


「まあ、そういう感じにすれば情報は集まるだろう。小遣い稼ぎになるなら、ついでに教えてくれる人も多い。ガセは?」


「ガセは報酬なし。追加報酬は母さんの鉄槌とか?料理の失敗作とか?」


「ガセの場合は処分か。わかった。ははは。デマは集まらないだろうな。情報はギルド預かりにして、直接本人に聞く場合はこちらで日程調整することにしよう。その場合は手数料を貰う感じでいいか?」


「いいですー。有力な情報は先に知らせて貰っていい?」


「わかった。リーダーのユリアさんに知らせよう。毎日、顔を出してくれる時に言おう」


「前金いるよね?」


「1500ラータだ。依頼者は誰にする?チーム名か?個人名か?」


「あーー。うーん」


(しまった。考えてなかった。ラムの名前を出したほうがいいかなぁ)


「お前達の依頼じゃないのか?なら、チーム名にしておけ。チーム名だと依頼取り下げはチームの誰かでてきる。個人名だとその人しかできない。迷ったらそうしとけ」


 ギルマスはアドバイスをする。


「へー。じゃあ、チーム名で!」


「よし。後は前金と報酬代金か。建て替えしてもいいが」


「あ。それはね、じゃーん」


(まあ、試作品の余りだけど)


 ムスは鞄から可愛らしい青い鳥や花のかぎ針編み小物を出す。

 真ん中に小さな石が入っていて、そこに加護を入れている。


「試作品集パート1!まあ、ギルドに収めている加護と同じやつ。模様変えた」


(モンスターが嫌いな香りと弱い認識阻害魔法がかかってる試作品。お店に出すつもりはないが、使用には問題ない品物)


「金よりこれが欲しい人は多いだろう。報酬にこれか?」


「金かこれかどっちかで。試作品作り過ぎたし、レアだよ。全て1点物。店の正規品は可愛らしさと糸が違うし、一番いいのを売り出してるから。上にストラップや、金具つけてないから報酬につりあうと思う。50ぐらいあるからさ、はい!」


 かぎ針編みの可愛らしい色とりどりの小鳥や、冬の糸でもふもふしている鳥。花は小さかったり大きかったり、もこもこしていて花かわからなくなったりと様々だ。


「丸い球体になってるのもあるな」


「可愛いかなーって。効能はモンスター避けと認識阻害だよ。持続時間は3ヶ月ぐらいかな。最初に石入れちゃうから取り出すには糸を切るしかなくて。造ったものを壊すなら使ってもらった方がいい。どう?」


「充分だ。預かっておこう。お金も確かに貰った。明日から掲示板に貼っておく」


「お願いします」


「何かわかったら、もしくはギルドに人拐いの情報が入ったら教えよう。こちらも、速く犯人を捕まえたい。治安は維持しないと、な。証明書だ。取り下げの時はこれをもってこい」


 依頼料金が払えなくなった場合や、見つかった場合は依頼をキャンセルする必要がある。その手続きに証明書がいるのだ。


「はい。大切に仕舞います」


 ムスは鞄に証明書をしまう。


「ムス、遠出するときは寄ってくれよ。ついでに任せたい依頼があるときがあるから」


「はーい!じゃあ、ギルマスよろしく!」


 ムスは元気よく頷いて、ギルドを後にした。



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