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説明


 コーグは椅子に座って嬉しそうに弁当を頬張っている。中身はじゃがいもを蒸したものとベーコンをカリカリにや焼いたもの。念願のお弁当に翼をパタパタさせて、喜びを表現している。

 ムスは静かにご飯を食べ終わると、ティータイムをしていたペディロが顔をあげる。


「父さん、まずは、あの子、ラムっていう名前なのだけど。彼女に変な魔法かかっているかわかる?まず、それを一番先にみて欲しくて」


「変な魔法?どういうものか聞いたのか?」


「男性が触ると吹っ飛ぶ魔法らしい。そんなのがあるか疑問なんだけど、彼女、大魔法使えるぐらい魔法の制御も威力も強かった。だから、彼女が制御できないのもおかしいと疑問は残るけど、新種の魔法かもしれない。俺が見た感じ、変な感じもないし、魔法がかけられてる感じもない。ちなみに何故か俺は平気。彼女も驚いていたから、イレギュラーみたい」


(後で魔技師の技能〈見破り〉でしっかりみたけど、やはり変な感じはなかった。ネックレスの方がよっぽどやばかったし)


 父親が魔法師で強いのは知っているので、ムスは真っ先に相談した。


「ふむ。気になるな。先に見に行こう。何かあったら大変だ」


「ムス、手当て終わったわ。ほかほかに温めたら少し良くなったわよ〜」


 ユリアが寒くないように毛布で包んでラムを運んできた。


「母さん、ありがとう。よかった。少し、顔色良くなった」


(真っ青から少し赤みが戻ってきた。これなら、大丈夫そうだ)


「ええ。薬草も塗ったし、安静にしていれば傷口は治るわ。このまま寝かせておきましょう。ただ、ひどい怪我だから後が残るかもしれないわ」


 悲しそうにラムをみる。


「それは、、、。まだ若いのに傷が残ったら大変だろう。未婚の女性なら尚更、親御さんが悲しむ。残らないようにはできないのか?」


「どうかしらね。こればかりは運よ。でも、この子、他にも傷があるからあまり気にしない子みたいよ。髪もバッサリ適当に切ってしまっているから、失恋したのかも」


「ーー暫く家におこう」


「え。いいの?父さん」


(説得に時間がかかると思ったのに)


 父親からありえない言葉を聞いたので、ムスは驚く。


「家をとびだしてきたなら、それ相応の覚悟を持ってきたのだろう。もし、変な男につき纏われて、逃げてきたなら大変だ。匿おう。相手を叩きのめさなければならない」


(父さん、普段は温厚なのに犯罪者には厳しい。まだ、決まった訳じゃないけど)


 ムスは苦笑する。


「最近、人攫いも多いしこんな可愛い子を外に1人で歩かせたら何が起こるかわからないわ。私は賛成。ムス、あなたの部屋に運べばいいの?」


「うん!だけど、母さん少し待って。父さんにラムを少し見て欲しいから。母さん、この子の名前はラムって言うからね」


「ラムちゃんね。わかったわ。ペディロ、何かある?」


 ユリアはペディロの隣に腰を下ろす。


「ーーこれはーー」


 ペディロが毛布に包まれたラムをみる。

 すると、言葉を詰まらせてしまった。


「父さん?なんか、ある?」


「いや。ーー随分、魔力が多い。ムスと同等か?ムスも規格外の部類だから、魔法を使わせたら凄まじいだろう。才能だ。後はー、ああ。なるほど。魔力が暴走したみたいだ。心の傷か。完全に治ってないのだろう。ムスに効かないのは、、、。予想してもいいが、はっきりとはわからない」


「暴走?」


 ムスは首をかしげる。

 同じく弁当を食べ終わったコーグがムスの肩にのって、同じように首をかしげる。


「魔力が多すぎて感情が爆発した時に無意識に自分を護るために使ってしまう魔法のことだ。魔力のバランスが崩れた時になる。敵意も悪意も魔力もないに等しい。無意識化の現象に近い」


(だからわからなかったのか。意図的にかけた魔法じゃなければ、魔法の陣が浮かび上がらない。発動させる感じもないから、予備動作もない。わかるはずかない)


「解くのはかなり難しい。この魔力の量だと、私はチャレンジしてもいいが、解ける保証はない。心の傷なら、そのままに解けるまで待ったほうがいい。変に解くと身体を壊しかねない」


「そんなに、やばいの?」


「ああ。後はない。問題なしだ」


「で、俺が効かないのは?」


 ムスは気になるのでペディロを問い詰める。


「ーー強いて言うなら、それの影響か。または、魔力量が多いから効果が薄いかだろう」


 左手をペディロは指差す。

 ムスは何もない左手をみて、顔をしかめる。


「魔力量が多いからにしとくよ」


「ムス、起きるまでボヨンボヨンしてもいい?」


 コーグは話が終わった頃合いをみて聞く。


「やめとけって。怪奇現象になる」


(コーグ、見えてたら遊ぶつもりか。見えるのは珍しいから)


「見えてそうだもん!」


「なんで?」


「勘!」


 コーグはラムが気になるらしく、毛布の上に座る。


「お嬢さんは見えるのか?」


 ペディロが問いかける。


「うーん。それっぽいこと言ってたけど、気絶前のうわ言の可能性あるからわからない」


「じー」


 コーグはラムの顔面に張り付く。


「コーグ、やめろって。見えるかどうか、意識ある時に手を振ったり、跳ねたりアピールすればいいだろう。窒息する!」


 ムスはコーグを顔面から引き剥がす。


「むー。じゃあ、アピールする!」


「そうしとけ」


「私も注意深くみよう。ユリア、寝かしておいて大丈夫だ。栄養のつくような物はあるか?」


「ええ。シチューを作るわ。温めたらいつでもたべれるもの」


「それはいいな。そうしよう。で、ムス。何処で拾ってきた?説明しなさい」


「あ、はい」


(怒られるだろうなー)


 ムスは覚悟を決めて、ゆっくり話すことにした。



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