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帰宅


ーーー時刻は日が暮れて辺りが暗くなってきた頃ーーー



「ただいまー」


「ムスー!おつかい終わったー!」


 ムスが家の玄関で帰りを告げるのと、コーグが肩に落ちてくるのは同時だった。


「おかえりなさいー!」


 ユリアが返事をする。

 台所からじゃがいもと小麦粉の焼けるいい匂いが漂ってくる。


「ムスー、いっぱいもらったよー」


「ありがとう、コーグ。居間に行ってから聞くから、とりあえず家にあがろう」


「はーい!」


 コーグはムスの肩に乗りながら寛いでいる。

 ムスはとりあえず靴を脱いで中に上がって、コーグを連れたまま台所を抜けて居間に入る。

 ここには、真ん中に落ち着いた暖炉があった。上にパイプが繋がっていて、けむりを外にだす仕組みだ。

 中央にはテーブルがあり、椅子が4つ。寛げるように、赤茶色の落ち着いた色。壁も赤茶色の落ち着いた色。中が見える棚には、可愛らしい柄のティーポットにティーカップが何個かおいてある。


「コーグ、居間についたよ。何をたくさん貰ってきた?」


 コーグを自分の肩から掴んで、椅子に下ろす。


「あのね、水魔法、シャボン玉で水撒きできるって!10個もらった。失敗怖いし、魔力が渡すまで切れると困るから、多めにって。中に入れたらシルフの魔力、ちょこっと貰って何回も水撒きできるって。シルフが中に入る前に花入れちゃうと水撒き必要だから、渡すまでは魔力玉を中に入れておくと、少ししか消費しないから10年もつって。魔力の塊の虹玉くれた!後、ジールがはちみつと金平糖くれたの。

あとね、魔力くれた人がね、物が完成したら見てみたいし、ムスに会いたいって。花を石に入れられるなら是非、造って欲しいのあるって。戦闘に使わないし、守護もいらないから、ルミニスと一緒に散歩したいって」


 コーグはしまっていた魔力玉、水シャボン玉の魔力を込められた玉をテーブルにコロコロとだしていく。最後に魔力の虹玉を出す。そして、手には瓶詰めされたはちみつと金平糖を握っている。


「え。は、な、なんだそれーー!?」


(水撒きにシャボン玉って、、、ふわふわ飛ぶし、風に流されるから綺麗だけど上手く水撒きできるか不安だからたくさんはわかる。わかるが、10個!?多すぎだろ。虹玉はやばいくらい魔力が詰まってる。これは、戦闘用の予備だ。魔法師が魔力を取っておく話は聞いたことがある。虹玉を入れるのは簡単だし、シャボン玉も簡単だ。おそらく、水撒きは低威力の初級魔法で事足りるから、《水の魔法》(ウォーター)だろう。魔法の発動が陣で固定されてる。発動条件は花が水を欲しがったら、対象は花、範囲は芝生がみえるところまで、、、簡単に組むのやばすぎだろ)


 ムスはシャボン玉に目線を合わせた途端に、魔法の陣が見えた。つい癖で解読してしまったが、初級魔法にしては発動条件を組む方が面倒な仕組みになっている。つまり、戦闘ではまるっきり役に立たない魔法の組み方になっている。これは、普通の魔法師ならしない。


「これ、戦闘だけに魔法使ってる人じゃないな、、。日用品に魔法活用したり、発明したりする人の使い方だよ、、。おまけにルミニスかぁ」


(ルミニスね。ルミニスは光の精霊。可愛らしい羊の毛のようなもこもこしている髪の女の子で、身体はひまわり。ひまわりの上に乗っているような格好でうろうろしている。ルミニスは場にいるだけで周囲を護る力がある。だから、いるだけで魔力を消耗するため、綺麗な魔力がない場所では消耗する一方。魔力がなくなると精霊は消滅するため、ルミニスは精霊の種類の中で一番数が少ない。綺麗な魔力の塊の場所は年々、減っているため、外でお散歩もできないのだろう)


「コーグ、事実確認だけど、その人は精霊ポケットが欲しいってこと?ルミニスが入れるやつ?」


「うん、そう言ってたよ!ルミニスと一緒にお出かけしたいって。ピクニックしたいって」


「ピクニック、、」


(なんとまぁ、、。精霊と一緒にご飯食べて遊ぶとか、コーグと俺みたいだなぁ。コーグはいつも一緒にいる友達、相棒みたいな存在で、可愛いし、魔法の調整は手伝ってくれるし、家族みたいなもの。相手もそうなのかもしれない。ジールの婚約者はシルフが友達だと言っていたし、その人も仲が良いなら影響はありそう) 


 ムスは悩んでいる。


「ムスー、造ってあげようよ。僕みたいにムスにくっついて色んな物をみれないの悲しいよ。ルミニスがべったり人にくっついているの珍しいもん。ルミニスは安全な場所にいないと消滅の危機があるのに」 


 コーグはお願いお願いとムスに頭を下げている。


「あー。じゃあ、改造禁止つけて造るかぁ。変な魔法を仕込まれて改造魔工品にされたら、嫌だし。普通は戦闘する人には造らないけど、ルミニス可哀想だもんなぁ」


(改造禁止をつければ、魔工品に自分以外の魔技師が魔法をつけられなくすることが可能。俺は人と人が争う確率のある役職に魔工品を造るのは嫌だ。魔工品は不幸な事故を防ぐためにあるもの。争いの道具ではない。絶対に好戦的ではないと断定できる人にだけに俺は作りたいから、判断できない人には作りたくない)

 

 まだ、どうするかでムスが悩んでいると


「うん!その人は、自分の身は護れるから戦闘用はいらないって」


 コーグが必死に主張する。


「いらないのかぁ。魔技師に精霊と出歩けるポケットを依頼するってーー、他の魔技師が聞いたらひっくり返るぞ?」


(随分、コーグが強請るので、同じ精霊通し助けたいらしい)


 苦笑しながら話す。


「でも、ムスしか造れないもん。ルミニス、泣きながら電話越しにお願いお願い言ってたよ」


 コーグが泣きそうな顔になる。


「あー。もう、造るから。でも、本当に改造禁止はつけるし、まず、本人に会ってからな。やばそーな詐欺師やルミニスが弱ってたら、造らないで保護するから。ジールが間にいれば大丈夫だろう」 


(まあ、ジールが信頼して電話しているなら、万が一の事がない限りそんなことはない。約束が守れる人かだけみたい)


 泣きそうなコーグを撫でて落ち着かせる。


「本当!?造ってくれる?」 


「ルミニスがそんなに欲しいなら、人じゃなくルミニス本人にあげればいいだけだし、物は造るよ。ルミニスは攻撃的じゃない精霊だ。少しでも住みやすい場所があったほうが安全だと思うから」


「じゃあ、確実に物はルミニスにいくの?」


「どっちに転んでも、な。とりあえず、会ってからじゃないと物も選べないし、人となりもわからない。できれば精霊とも会いたい。相手も精霊が見えて話せるなら俺が見えて話せても言いふらすことはない。安全だから、わりと簡単に決まると思うよ。まあ、今は忙しいから駄目だけど」


「ムス、ありがとうー!!」


 コーグはムスに抱きついてもふもふしている。

 ムスはコーグが可愛いので、撫で回している。


「ムスー!そろそろご飯よー。カバン置いてきなさいなー。ペディロが待ってるわよー」


 ユリアの元気な声が響く。


「あ。やば。コーグ、いくぞー。報告して買ってきた物の処理をしてからな」


「うん!」


 コーグはムスの肩にのって、寛ぐ。


ーームスは作業場に行って、買ったものを整理し、糸を聖水へ浸して何をどうしたかを父親に伝えたのだったーー



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