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手芸店


ーーー王都にある数ある手芸店の中で糸を専門的に置いている『コールディ』という店に入るーーー


 中に入ると一面糸だらけだった。

 冬用のウールから、絹、綿と素材ごとに分けられ、さらに色毎に分けられている。最後には太さでわけられているため、糸まみれの店だった。ここは種類が豊富なため、よく貴族の娘等も買いに来る品質も色の種類も申し分ない素敵な店である。


「ティーダルさん、こんばんは」


 ムスは迷子になりそうな店内をまっすぐ歩を進めていく。やがて、会計をする場所を見つけると真っ直ぐに進み、40代ぐらいの落ち着いた色のベストを来た強面の店主に挨拶をする。


「こんばんは、ムス。なにか入り用かい?」


「はい!七色の絹糸の光沢入りと空色の絹糸を探してます。七色の絹糸は結婚指輪の中にレース編みして、花弁にしたいので、レース糸から。空色の絹糸はベルベットに刺繍するので、刺繍糸から。色はジール王子の婚約者の目の色と同じ色を」


「祝い品に使うのかい。めでたいね。今、持ってくるから待ってなさい。たくさん糸を持ってくるからテーブルに座っているといい」


 会計の場所をあけて、糸をとりに行ってくれる。ムスはこの店の常連なため、近くにあるテーブルに言われた通りに座る。



ーーー数分後ーーー

 


「こんなもんかね。七色の絹糸は複数あるし、号数があるからね。とりあえず、20かな。空色の絹の刺繍糸は時期王女になられる方の色だからね、入り用になりそうだから複数用意してあるよ。5種類あるから、一番合う色を選ぶといい」


 糸をずらりとテーブルに広げてくれる。


(まずは空色の刺繍糸はベルベットと兼ね合わせがあるけど、明るい空色に近い色がいいかな。光が入ったようにしたいから、、、これにしよう)


 染色にほんの少しだけ差異が出るため、この中で一番薄い色を選ぶ。後は濃淡もつけたいため、次に濃い色、一番濃い色を選ぶ。


「空色の絹糸はこれで。それぞれ2束お願いします。んー、七色の絹糸はやっぱり難しいですね」


 七色の絹糸で光沢ありは光でキラキラ光る。基本色はレッド、オレンジ、イエロー、グリーン、ブルー、インディゴ、パープルで構成されている。それぞれの色が多め、少なめな糸を意図的に作り出してあり、やはり光沢にも差異がある。

 つまり、種類があり過ぎるので中々、決められないのだ。


「まずは、光沢をメインにするか、色をメインにするか決めてはどうですか?」


「光沢は控えめがいいと思います。派手よりも可愛らしく、品の良いものを選ぶので。逆にガチャガチャしたのは嫌いだと。拳闘士なので」


「五月蝿くないのがよいのだね。派手なのは引っ込めて、違う糸をもってこよう。まっててくれ」


「お願いします」


 ティーダルは糸を取りに席を外す。


「うーん、どうしようかな。外側は空色だから、ブルーとインディゴを多くするか、イエローもいいだろうし、オレンジ、、うぁぁ。決められない、、。光沢はやっぱり控えめがよいけど、花にするなら、下側が濃い色の方がきれいだから、パープルがよいと思うが外側がレッドだとあまり濃すぎたら、目に痛くなる。でも、明るい子らしいから、暖色が外側の方がいいのでは?ドレスは明るいオレンジとかピンクとかすきだといっていた。えー、えー。寒色だと痛くないけど、淋しいかな。落ち着きすぎかな。指輪は緑だからイエローに隣接した方が引き立つし、あー。いや編み方をかえて花弁を寒色、暖色交互にする、、?うー」


「ムス、悩みすぎだよ」


 いつの間にか戻ってきたティーダルは苦笑しながら糸を並べる。


「実は20gのレース糸販売を始めたから、こうゆう色が変わる糸は早めに徐々に変わるよ。花弁の位置調整ならムスはできるだろう?少ないgの糸を複数、買うかい?」


「な、な、新色じゃないですか!!夢のような糸が。あー、迷う迷う迷う」


 頭を抱え込む。


「とりあえず、20gのも持ってこようか?決まったところだけ、言ってみなさい。希望にそう物を持ってこよう」


「レッド、パープルは少なめ、インディゴは普通、他は多めか普通で悩んでます。花弁にするので、中央はグリーンの宝石なので、イエロー、グリーンかブルーを多めにするか。後はオレンジも多めにするかで悩んでます」


「まず、何を編むつもりかい?花と言っても色々あるだろう?」


「バラを。最初の立ち上がりはパープルにします」


「バラ、、なら、明るめの色の方が奇麗になるかな。レッドがチラチラと見える編み方になるだろう?オレンジの花弁とミックスになると奇麗だと思うよ。イエローも少し見えていいかもね。逆にグリーン、ブルーは少なめ、オレンジ、イエローが多め、レッドは普通をすすめるよ。祝い品だからね、明るい方がいいと思うよ」


「確かに、暖色をメインにするなら、レッドは普通でいいかもしれません。あまり目に痛くなければいいのかも。ティーダルさんのおすすめを信頼しますね。では、それでお願いします。あ、20gの糸は全て普通の量で一つ頂きたいです。簡単な花を編んで色をみたいので」


「では、何個かもってくるよ。色合いが気に入ったやつを買ってくといい」


 ティーダルはまた糸を取りに行く。


「あまり、目に痛くなく淡い感じがいいかな。新作は編んで色合い見本を作ろう」


「これが希望にそう糸の種類だね。何号で編むつもりかい?」


 ティーダルが持ってきた色は染色の違いだった。淡い七色から濃い七色まで。色の糸の長さは指定しているので、色の変化の違いはない。


(ーーこの淡い二番目が一番、レッドがしつこくなく、淡いレッドだ。光沢も程よいし、イエローが綺麗。暖色は淡いに対して寒色ははっきりした濃いめなのがいい)


「2号にします。これを2つで」


「ありがとうございます。そちらで用意するよ。ムス、20gの方は割引するから、完成した品物を少しの期間、飾らせて頂いてもいいかい?」


「編みはしますが、今は別の仕事が忙しいので時間がかかりますよ?糸が新作ではなくなると思います。3ヶ月間は手を付けられないぐらい厳しいです」


(糸の割引はありがたいけど、安請け合いしたら怒られる。間に合わない) 


 申し訳なさそうに、ティーダルに断りをいれる。


「構いませんよ。何人かに声をかけていますし、お店を訪れる方で貴方が編むのをお待ちになっている人がいます。楽しみにしている方がいるので、できたらぜひ」


「そうですか?時間がかかってもいいのでしたら、できたら持ってきますよ」


「お願いしますね。他には何かありますか?」


「ないですね。会計で」 


「わかりました。全てで3800ラータです。スタンプも押しますよ。糸を用意しますので、お待ち下さい」


「はい」


 ムスはバッグからお金とカードを出す。

 スタンプカードが5つ押されて返される。

 会計が終わると、ティーダルが糸をお盆の上に置いて運びに戻ってくる。

 糸は見本品ではない、新品なので袋に入っておりつやつや輝いていて綺麗だ。


「こちらです。刺繍糸3つ、七色光沢絹糸2つ、20gの七色光沢絹糸です」


「ありがとうございます」


 バッグから買い物袋(自分で編んだバッグ)を取り出して、糸を中に入れる。


「またのご利用をお待ちしております」


「はい!ティーダルさん、またきますー!」


 元気に返事をしてムスは店を後にした。


 



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