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お人好し魔技師は少女を放っておけない  作者: 綴螺
精霊と星霊と聖獣の約束
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結界2


「ーー魔法かな」


 アルマはアステラの位置まで下がる。

 アルマは殴った感触がなかったため睨見つける。


「違う。最初から人じゃないよ。ただの、、呪の塊。追い払うか、消すか。消滅させなきゃ駄目だよ。ムス、どう?」


 コーグがぴょこぴょこと耳を動かす。


「ーー私を見つけたのはあなた?」


 星霊であるヴァーゴは金色の小さな子供の姿をしていた。声は幼い。

 今、ヴァーゴはムスにしか聞こえない声で話す。


「そう。俺はムス」


「ーー見つけてくれてありがとう。魔力球に私をあなたは移せる?移せるなら移して。結界は修復したけど止まらないから壊して」


「え?ーーーな、縫い付けたのに増殖してる?移せるけど、待って。呪が攻撃しないようにしないと」


「そう。待ってる」


 ヴァーゴは頷いてムスの行動を見守ることにした。


(見極める必要がある。これは何?みなきゃ)


 ムスが〈見破り〉の技能でみると〈祝福〉で隔離しているため、綻びはなく、ただ呪が増幅していた。結界も魔法も問題ないが、呪に黒い霧が力を与えている。このままだと破壊されそうなため、本体は別にあるようだ。  


「ーーいや、これ、悪意?修復はしたけど、止まらない。増幅、消滅、呪の本体ここじゃない。ヴァーゴは無事。今、話してるけど、れって。自分は魔力球に入るって、、」


 黒い煙が周囲に現れる。

 そして、それから武器、剣、槍、弓、火、水、氷と魔法や武器が襲ってくる。

 アーマラやアステラ、アルマが相殺し、ラムも風で切り払っている。

 ラムは人型が消えてか本体を探そうとしたが、見当たらない。なら、


「照らせ、黒きもの、邪なものよ、立ち去れ〈聖なる炎〉(フェニックス)」


 ラムは聖女の力である聖獣から力を借りて浄化を使う。


「ヴァーゴ、こっち。魔力球、俺持ってるから。結界は今、掘る」


(ヴァーゴは移したほうがいい。ヴァーゴが無事なら結界はもう一度同じ物を用意すれば解決する。2つは壊さないだろう)


 ムスは凄まじい速さで魔力球に模様を描いていく。鎖、丸、円、全て描き終わりヴァーゴに合図を送る。


「わかった」


 ヴァーゴは剣から出て魔力球に移る。


「聖なる光、か」


 ヴァーゴが呟く。

 ラムの浄化により、黒い煙が小さく弱まった。

 その間にも、魔法や武器が四方から降り注ぐ。人の形をしている者はいつの間にかいなくなっていた。


「ーー移した。結界は完璧なのに、止まらないならーー。剣が壊れる前に、結界で弾けないなら、下に移すか」


 ムスは地面をみる。


(剣は残したほうがいい。間に合うかもしれない)


「ムス、剣から動かす気か!?」


 ヴァーゴがギョッとした顔でこちらを見る。


「後で戻せばいい」


「あはははは!お姉ちゃん、規格外な人を連れてきたねぇー。普通、できないよ、それ」


(考えるより剣の模様を写す。魔法の陣は下に補強は上に、複雑な模様が重なり鎖、丸、杖と描ききればいける)


 ムスは結界の模様を地面に模写し始める。

 正確に速く、尋常ではないスピードで地面に結界の模様が描かれていく。


「速い、、」


「ヴァーゴ、剣が壊れるより速く完成しそうだ。間に合いそうだ、、」


「そちらの問題は片付いたか」


「抜けて大丈夫?」


「私にお任せを。ラム様、どうぞムスの方へお向かいくだい」


「私が変わろう」


 ヴァーゴは魔力球を持って、ラムに駆け寄る。


「お願いします」 


「ムス、結界は魔法でしょう。私が書くよ。他のわからないのは無理だから」


「え?いいの!?なら、お願い。魔針は使い方、わかる?」


「道具に流して定着させればいい?針はわからないけど刻めばいいなら、魔法で凹ませるよ」


「模様があればいいから、色付でもいいからよろしく。魔法の陣はそれで機能するから」


「色付けぐらいなら、簡単にでできる」


(助かる。ラムは万能)


 ラムは結界と呼ばれる魔法の陣を書く。

 最初に円を、守るべきものを全て中にいれ、二重に鎖を書く。最後に月光草の模様をいれて、魔法を強化。


「これで全部!」


(急げ、星霊達の姿を描いて後は発動のみ!)


 ムスが声を上げると、剣の側に刻まれた模様が山のようにあった。

 ラムはムスが描いた下の模様をみた。太陽、星、精霊まではマークでわかるが、他の鎖や線は横に縦に無数に入っており、全くわからなかった。


「移すーー!」


 ムスが針を刺すとふわりと、淡い黄色の光が溢れ出す。

 

「ーー!」

 

 神殿内が振動する。

 

「あー。なるほどなー。これ、壊れるまで収まらない系か。なら、こっち壊していいよ」


(追尾か。なら返す時間が足りないからこれで正解だ)


 パキン

 

 床に大きく亀裂か入り、模様が壊れる。

 ただ、従来の結界には支障がない。結界を一時的に2重にしただけだからだった。


「これか」


 ムスはすかさず魔針を刺して呪の源を繋ぎ止める。

 黒い煙が出ているが関係ない。

 

「ーー帰れ」


 ムスがそう言葉を発すると、黒い煙は溶けるような音をたてながら、なくなっていった。


「ーー終わり?」


「消えた、みたい」


(気配と煙はなくなったけど、これで終わり?あっけない。あんなにしつこい呪なら何かありそう)


「ふむ。気配はない、が」


「安全を確認しよう。アーマラ、いこう」


「そうしよう」


 アーマラとアステラは安全を確認するため、部屋を警戒しながら見回りをするため離れる。


「ヴァーゴと私は構えたままにするね。うーん、でも終わりだと思うけど。どうかな?ムス?」


 アルマがムスの隣にいく。


「ーーー、呪いは消えたけど。うーん、何か」


「何か?」


「変な、感じが、、」


(違和感しかない)


 ムスがそう呟くのと同時に風を切るような音がする。

 

「アルマ!」


 ラムは誰よりも早くその音の異変に気づいた。


「お姉ちゃん!?」


 押されたアルマが振り返る。

 ザクッとラムの腹部が切れていた。


「ーーっ」


「ラム!?」


 ムスは慌てて崩れ落ちるラムを抱える。


(先に攻撃!?嫌な感じはこれか!しまった)


「コーグ、怒る!!」


 コーグは追跡する精霊魔法で攻撃した相手の足を掴み引っ張った。


「ーーこれは、これは。精霊がいましたか」


 低い人を小馬鹿にしているような声が響く。

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