結界1
薄暗い通路の中、金属製の重厚な扉が現れた。
ヴァーゴが魔法で鍵を出して、鍵を回し扉をあける。
ゆっくりと扉がゴゴゴっと、空いていき魔法の陣が壁、地面にびっしりと書き込まれていた。その中央に剣がさしてあった。
(ーーー剣から黒いモヤが出ている。攻撃されている。魔法の陣と祝福、結界、何重もの文字と模様。後は星霊は、どこだ?)
ムスは〈見破り〉の技能を使い剣に意識を集中させていると、一つの魔法の陣にひびが入り消滅。予備の魔法の陣が出現していた。
「ーーいや、壊れかけてる」
(これ以上の破壊は危険)
ムスが入った瞬間にそう呟き
(殺気!?)
「ヴァーゴさん、右!!いる!」
「そこ!」
ムスの声とアルマが飛び出すのは同時。
ガキンっと音が響く。
(刃物の音)
「仕留め損ねた!」
アルマは直ぐに後ろに下がって臨戦態勢。
エプロンは投げ捨て、ラムの隣へ。
「空へ舞い上がれ、風よ、全て、吹きとばせ《風の魔法》(ハリケーン)!」
ラムは、神殿の壁側に向かって広範囲に魔法を叩き込む。
柱がぐらりとゆれ、まともに立つこともできないぐらいな強風か吹き荒れる。風という生易しいものではなく、嵐だった。
(ラムは即座に攻撃不能にさせて時間稼ぎしている。判断が速い)
「ムス、修復」
コーグがムスの頭の上で飛び跳ねる。
「ヴァーゴさん、大丈夫ですよね!?」
「ああ、助かった。2人共よくわかったな。今、舞い上がったのは4人か」
大剣を構える。
「殺気あった」
(反応速度は練習しているから助かったようなもの)
「敵意あったから。俺、修復に入るからよろしく」
ムスは剣の前まで近づき魔針を剣の中央に突き刺す。修復開始の合図のためだった。
(もたもたしていると壊される)
もう一本魔針を取り出す。それに気づいた黒い霧がムスに向かって襲いかかろうとする。
(修復させたくないらしい。これは本格的にやらないと。結界の補強、修正、強化が壊れてる)
「ーーー、かなり危険。コーグ、防御だけ。後は周囲よろしく」
「コーグバリアー!ムス、ファイトー!」
コーグは叫ぶと薄い防御膜をムスに張り、耳をぴょこぴょこと動かして警戒している。
「わかった。近づかせない」
アステラが構える。
「前衛が3人、分担はそれぞれでよいですかな?」
「オッケー、アーマラ!」
「承知した」
「もうそろそろ、落ちるよ」
ラムが言うと嵐がピタッと止まり、床に4人は叩きつけられた。
(ーー攻撃している魔力はこれ。同じ人は)
「呪はーー、あの人!」
ムスは魔力を探す。
「コーグ、呪きらい!」
(呪の集中力を途切れさせるか、媒介を壊したほうが攻撃が止む)
ムスが叫ぶとコーグが黒い弾がラムがおかしいと思った人に向かう。
その人がコーグの魔法を黒い煙のような鞭で払う。
「ーー!!呪術師!?身体を、心を、纏う強き光、そのまま纏い盾となれ《光の精霊》(ガードマインド)」
ラムは即決で精神異常耐性を6人につける。
「ラム、防御頼む!!〈祝福〉」
ムスは魔針を空に刺す。
指した箇所から模様が浮かび上がる。
自分の魔力で上から祝福のマークであるユリのような白い花の花弁と月桂樹の葉が6人を囲む。
「ーー判断がいい。かなりの腕の魔技師か。呪術師としては不足なし」
黒いローブを被った人は男性だった。
煙は姿を変え、鞭を剣を弓を魔法を生成する。
(うわー。目をつけられたか)
「ムス!?」
「呪術師は達が悪いから、攻撃は全て避けるか払ってくれ。俺、3つ同時しかできない。魔針修理に出してて3本しかないから。流石に呪返しは時間がかかる」
(防御はラムに任せて、後は補強に力を回そう。修正。強化を練り直し、補強をなぞり書きし、星霊の力を呼び戻す。魔力をゆっくり流して)
ムスは結界の修理に集中する。
「私が払う。柔らかな風、変化自在に動き回れ《風の精霊》(ウインド)」
ラムは《風の精霊》(ウインド)を操って攻撃を払う。
「お姉ちゃん、防御は任せた。呪術師は私がとどめをさす」
「私は、剣士の相手を」
アーマラは槍を構えて走る。
なぜなら、他に魔法使いと弓矢がいるからだ。
「私は守る」
アステラは剣を構え、ラムとムスの場所に。
「ヴァーゴさん、星霊はわかるよね?起こして。邪魔な呪は隔離した。後は修復するけど、、意識がないときついから」
ムスは息を吐いて、ヴァーゴを呼ぶ。
そして、ムスは〈祝福〉を維持しながら、ぶつぶつと言いながら針を縫うような動作している。
「わかった。星霊、ヴァーゴ、、いるなら、力あるなら、返事を」
ヴァーゴが剣に向かって呼びかける。
少しだけ剣が光ったのをムスは見逃さずに、そこに向かう呪を一瞬で隔離。その後、結界に足りないのを付け加え、補強、修繕を自動に。他は崩れたのを修正。次々と魔針を動かしていく。
「書き換えか。凄まじい力だ。お前、魔力どうなっている?自分に呪返しまでかけて」
「ここをこうして、、」
(ヴァーゴに攻撃されないように、身代わりの魔法の陣を描く)
「無理か。なら」
「そこ!!」
アルマが飛び出して蹴りをいれた後に〈骨砕き〉を構えて鳩尾にいれて、吹き飛ばした。
アルマは直ぐに魔法使いにも殴りかかり、叩きつけたが、姿が消えた。