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生花店


ーーーー王都の商店街、花を売っている店にてーーー



「こんにちはー!店長いますか?」 


 元気よく挨拶しながら店に入る。


「あら、ムスくんじゃない。今すぐ呼んでくるわね」


 黄緑色のシンプルなワンピースを来た、穏やかな40代ぐらいの女性が奥に引っ込む。

 ムスは待つ間に店内を見回す。

 赤色のガーベラ、白のユリ、黄色のフリージア、可愛らしい赤い実をつけるさくらんぼ。青い金魚草まで様々な花。奥にはぐにょぐにょ曲がっている枝のような木がある。他には押し花、ドライフラワーも展示されている。


「ムス、何か仕入れて欲しいのかい?」


 40代ぐらいの腕まくりをした白いTシャツと作業ズボンをはいた優しそうな男性が奥から出てきた。


「マグさん!よかった、いてくれて。見てほしいのがあって、、花の種と土を貰ったのだけどわからなくて。依頼品に入れてほしいって言われたけど、咲いたまま長持ちできるのか聞きたいです。土には加護がかかっていると聞いたのだけど」


 鞄から花と土を取り出して見せる。


「ほう。よく見せてもらっていいかな」


「どうぞ」


 マグと呼ばれた男性は一つ一つ種をとり、眺めていく。土も手に取り、触って感触を確かめるようにこねたりしている。


「ーーふむ。ムス、まず花の種はひまわり、品種改良された背丈が小さいもの。もう一つがベルガモット。赤い花をさかせる。もう一つは、かすみ草だね。花はカラフルかもしれない。他にも種があるが、この三種類だね。土には魔法がかけられている。丈夫に、元気に、増えて育つように普通の土と混ぜて使うものだ。混ぜると苔のように、花が根付いた場所以外は芝生が覆い茂ようになる。花が咲いている時間を長持ちさせることは土の効果でできるだろう」


 ムスに花の種と土を返す。


「育てるのは難しいですか?」


「比較的強い花ではあるから、難しくはない。だが、たくさん咲かせたり、咲くタイミングを見極めるとなると厳しい。注意したいのが、芝生だけはしっかり手入れしないと均一に揃えられない。芝生は最初は弱いから、手間をかけないと。他の誰かというなら、相当な知識がある者に任せるしかないよ」


(これは、素人は無理そう。変なものは出したくない)


 ムスはマグの説明を聞いて、早々に自分で育てるのを諦めた。 


(いつも、花関係はマグさんに頼んでいるし、腕も良くて良心的な値段。任せたほうが良さそう)


「マグさん、育てるのを任せても大丈夫ですか?草原の中にある花畑イメージで、育てた花を土ごとそのまま石の中にいれる予定なんです。維持費は払いますので。むしろ、土も買わないといけないと思います」 


(土代や温度管理がかかりそう。たしか、かすみ草とベルガモットは咲く季節違う。まあ、ジールに請求するからいっか)


 立替する金額は払えるのでムスは気楽に考えている。


「よし、私の方で他の花と一緒に面倒をみよう。請求は引き取る時に正確な値段を言う。おそらく、一つに付き一ヶ月300ラータぐらいだ。植え替えは花が蕾の状態の方がいいかもしれない。咲く時期を総て揃えた状態なら、咲く花の色もわかるし、花畑をイメージして植え替えしやすいだろう。その時期になったら、連絡をする。植え替えをしたあとは魔法で水やりを?」


「ありがとうございます。お願いします!あ、入れた後は魔法で水やりするしかないですね。そっちは依頼して別な場所から追加でもらいます。温度管理とかありますか?」


(うわー、水やり抜けてた。水魔法もらってこないと。コーグにお使い頼もう)


「あまり冷たくも熱くもない、、5度ぐらいがいいだろうか。凍らないような温度で熱湯でなければ大丈夫だ」


「わかりました。その温度にぴったり合わせますね」


「よろしく頼む。それだと長持ちするだろう。因みに、珍しい依頼だが依頼人は花が好きなのかね?」


「うーん、依頼人の一緒に暮らす子?が花が好きだからかな。本人のことは聞かなかったけど、おそらく好きだと思いますが」


(仲の良い精霊は気に入った人にべったりくっつく。本人が好きでないなら花は持ってこないだろう)


 少し考えながら、ジールの婚約者の様子を浮かべる。

 走り回ってモンスターをなぎ倒す様子しか浮かばなかったが、可愛らしい物が好きだという事実は知っているので、花も好きだろうと結論に落ち着く。嫌いはないだろうと。


「そうかい。渡す時に押し花を2つサービスしよう。ムス、その子達の好みに加工して渡すといい」


「いいのですか?」


「石の中にいれてまで花を持ち歩きたいほど好きな子に渡すなら私も嬉しいよ」


「わかりました!ありがたく頂いて加工しますね」


(これは、後でジールに聞いて加工しよう。アクセサリーがいいかな。シルフだからネックレスがいいかも)


 ムスはマグさんに頷く。

 マグは預かる土と種の一覧をしっかりとメモをして、ムスにメモを渡し、自分用にメモを残す。


「ありがとうございます。よろしくお願いします」


 ムスは丁寧に頭を下げて、店を出る。




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