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ギルド職員(教育担当)...のはず。  作者: コロモタニ
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鬼ごっこ

「ハァ、ハァ...。くそっ!まさかもう追いついてくるなんて...!」

「ほら、ロベルト。もっと本気で逃げないとあっという間に捕まるぞー」

「くそっ!こうなったら...!」


そうボヤくと振り向き様に背中に背負ってた大剣を構え、イケルに相対しようとし...


「はい。ロベルト捕まえたー」


ロベルト振り向き、柄に手を掛けたと同時に彼の左肩に手が添えられた。


「マジかよ...」


「じゃ、他の奴らを捕まえに行くからロベルトは元の広場に戻っといてくれよな」


そう言うとイケルはこの先を逃げているエリシアの方へと走っていった。

なぜ、割りと本気でロベルトが逃げていたかのか。時を少しだけ遡ると...


「ーー鬼ごっこをしよう」


「「「「...は??」」」」


おいおい。そりゃ、ひでーぜ。冗談なんか3割ぐらいのさじ加減しか入ってないのに、最初から打ち合わせでもしていたかのようなそのリアクション...。

完璧か!


「なに、俺も冗談で言ったつもりはないぞ(7割りぐらいは)。ちゃんと意図もある」


「どういった意図なんですか?」


フィリップスが挙手をしながら質問してくる。うーん。結局、敬語のままで落ち着きそうだな。


「まー。それはやってからのお楽しみって事で。ただし、これは本気でやらないと意味が無いぞ!って事で、君たちが本気になれる様に...。」


「「「「...様に??」」」」


「俺に捕まらなかったら、君たちをいきなりEランク冒険者として貰えるように取り計らってやろう!!」


「おーーー!!マジかよ!イケルさん!」


「まぁな。どうだ?少しはやる気になったか?」


「もちろん!ぜってー、逃げきってやる!」


ロベルトが異様に気合いが入ってるな。お?意外とエリシアも気合い入ってるっぽいな。他の2人は...別にどちらでも...って感じかな?


「ルールは簡単!君たち全員の姿が見えなくなってから5分間、俺はこの場を動かない。その後、さらに5分間君たちを追う。トータル10分間、俺の追跡から逃れれば君たちの勝ち。誰か一人でも捕まらなければそれでオッケー。何か質問は?...よし。では...スタート!」


そして、今に至る。


「...くっ!なんて速さなんですか...!」


横目で後ろを警戒しながら走っていると、動物が走ってると思う程のスピードで建物の陰から陰へと移動する人影。死角となる場所からの奇襲に警戒しつつも、走る速度を上げるエリシア。


ーガシッー


「きゃっ!」


「走るときはちゃんと前を観ておかないと危ないぞ?」


彼女の両肩をしっかりと抑えにこやかにしているイケルが目の前に。


「...なぜっーー」


「あー、反省会はまた後でな。って事で、エリシアも最初の広場に戻っといてくれ」


そう告げると、広場方面へと消えて行くイケル


「エリシア"も"ということは、最低でもロベルトは捕まったんですね...これでC級...」


「.........」


「なー、なー。フィリップス。こんなところで何してるんだ?」


「今、イケル先生と鬼ごっこしてて、こうやって様子を...って、うわーーー!!!」


「おっとと。偵察者(スカウト)は、いつでも冷静でいなきゃだぜ?」


少し背の高い木の枝に片ひざ立ちの様な格好で、最初の広場を監視していたフィリップス。

そこへ、いつの間にかすぐ横にいたイケルに声を掛けられ驚き、落ちそうになった所を手首を捕まれ助けられた。


「いったいどうやって!?」


「まー、まー。反省会は後で。とりあえず広場へ降りようぜ」


最初のスタート位置、集合場所だった広場にやって来たイケルとフィリップス。

すでにロベルトは体育座りをしながら、落胆ムード全開の様子。

そこへ、ちょうどエリシアが正面から歩いて来ると、一瞬驚いた顔をしたものの、直ぐにいつもの凛とした姿に戻る。


「さて、残るはレベッカだけだが...。みんなはどこにレベッカが居るか分かるか?おっと、純粋に分かるか?という意味だぞ」


ーフルフルー


全員、一切の迷い無く首を横へ振った。


「よし、じゃあ残り1分ほどしか無いしみんなで迎えに行くか!」


「お言葉ですがイケル。私たちはあなたの速度に付いていけません」


「安心しろ、エリシア。すぐそこだから」


そう言うと、イケルは歩きだし広場を出てすぐの路地へと入って行き、それに付いて行くと正面に何やら杖のような物が立て掛けられていた。

なるほど。ここに隠れていたのかと得心していた面々は、そのまま通り過ぎ行くイケルの背中を慌てて追った。


「はい、レベッカ捕まえたー」


「うそー。まさかバレてるとは思わなかった...」


「後ろの3人は騙されてたみたいだったけどな。まあ、俺相手には通用しなかったな!」


「まさか、本当に5分以内に全員捕まえちゃうなんて...先生は凄いですね!」


「まぁな。たが、君たちも実戦と経験を積めばこれぐらいは出きるようになるぞ!さて、では反省会をするから一度スタート地点に戻ろうか」


凄く落ち込んだ様子のロベルト。すでにメモを取り出して何やら書いているエリシア。ほとんど前髪で見えないが目を輝かせているフィリップス。悔しそうだが、少し楽しげな表情のレベッカ。

4人ともそれぞれの思いを心に秘めながら集合場所の広場へと向かって行った。

今回はちょっと短めとなりました汗


次回は鬼ごっこの反省会。

イケルの意図と、なぜすぐに捕まえれたかなど解説会となりますm(_ _)m

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