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確認は大事

書き溜めがあるうちは毎日投稿しようと思います。大してないけど。

 気がつくと、さっきまでの草原じゃなくて石造りの建物が並ぶ、ザ・ファンタジーな街の中に立ってた。ここがさっきおねえさんが言ってた第一の街なのかな。


 「うおー!すごーい!超リアル!」


 月並みな感想しか出てこないけど、もうホントにそれしか言えないね!

 大声を出したからか、周りが「なんだこいつ」みたいな目を向けてくるけど、全く気にならない。このときのわたしは、初めてのフルダイブ型VRゲームにただただ圧倒されていたね。VRスゴイ。


 「さてと、まずはさっき頑張って設定した内容を確認しよう!天使のおねえさんからも確認は大事ってチュートリアルで言われたしね!」


 ただ、こっちが何もわからずモンスターと戦っている最中にそういうことを言ってくるのはどうかと思うけどね!情報を何も確認せずに正面からぶつかるからそんなに苦戦することになるんですよって言われたけど、確認の仕方をその時はまだ教えてくれてなかったよね。お茶目さんなのかな。


 「えーっと、ステータスは………こうかな?うん。そうみたいだね。」


 チュートリアルのときに、ステータス画面を呼び出すやり方は聞いてたけど、実際にやってみるのは初めてだね。チュートリアルのときはそんな時間なかったし、思ってたよりハードだった。呼び出し方は、「ステータス画面よ出ろ〜」って念じればいいんだって。出ないときは声に出せって言ってた。さて、肝心のステータスはっと。



プレイヤーネーム:アヤ 種族:ヒューマーLv2(1UP) ジョブ:見習い従魔士Lv2(1UP)


HP:22/22(1UP) MP:22/22(1UP) 

STR:6 VIT:6 INT:6 MND:6 DEX:6 AGI:6 LUK:11


スキル:従魔法Lv3(2UP) 使役Lv2(1UP) 杖Lv2(1UP) 料理Lv1 錬金Lv1 調合Lv1 剣Lv1 火魔法Lv1 水魔法Lv1 土魔法Lv1 風魔法Lv1 光魔法Lv1 闇魔法Lv1 幸運Lv1


スキルポイント:2(2UP)


装備:旅人の杖 旅人の服


持ち物:初心者用ポーション×5 携帯食×10 簡易調合セット×1 簡易料理セット×1 簡易錬金セット×1 従魔用携帯食×5


所持金:5,000R(ルーン)


空腹度:0%


従魔1/1:クローディア(リトルキャット)



 うむうむ。ステータスは自分でいじったからなんとなくわかってたけど、改めて見ると1つだけ不思議なところがあるね。まず、種族レベルと職業レベルが上ってるのは問題なし。チュートリアルで1レベル上がるようになってたみたいだからね。そのときにアップしたHPとMPも大丈夫。HPとMPは1UPってなってるけど、それぞれ2上がってるね。最初にステータスポイント振ったときも1ポイントでHPとMPは2上がってたし、たぶんそういうものなんだろうね。


 スキルポイントも、レベルアップでもらえたよ。おねえさんによると、1レベルアップすると2固定でもらえるみたいだね。レベルアップ以外でも、もらえることはあるみたい。


 問題なのは、スキルの上がり方だね。杖(見習い従魔士初期スキル)が1レベル上がったのは、杖を使って取得した魔法を全部試したせいだからOK。魔法が多いのは、取れる魔法全部取っただけだしね。ただ、1回しか使ってない従魔法がなんでLv3になってるんだろね?使役はクロちゃんゲットしたからだろうし。うーむ、謎。まあ、わかんないものは考えても仕方ないし、クロちゃんのステータスでも見ようっと。


 ステータス画面でクロちゃんの名前が書いてあるところを押すと、クロちゃんのステータス画面に切り替わった。わかりやすくていいね。



ネーム:クローディア 種族:リトルキャット☆Lv5 親:アヤ 状態:睡眠


HP:12/12 MP:24/24 

STR:2 VIT:2 INT:6 MND:4 DEX:6 AGI:6 LUK:16


スキル:解体 採取 気配察知 闇魔法 気配遮断 夜目 少食 幸運EX


装備:なし



 あわわわわ…………知らないスキルがいっぱい…………。それに種族の横の星マークって一体何だろうね。うーん?わかんないことだらけで困るけど、まあそのうち分かる人にでも聞けばいいよね!ちなみに、当のクロちゃんはさっきからわたしの頭の上で、だらけきった格好をして寝てる。猫だし夜行性なのかな。夜目が効くみたいだし。でも野生はすでに死んだもよう。チュートリアルで出てきた時点で眠そうだったしね。しかしなぜ頭の上で?


 とりあえずわかんないことは置いといて、街の探索をしようかな!街の外はクロちゃんが起きてからにしようっと。いま、自分がいるのは、大きく開けた広場の真ん中にある噴水のそば。近くの看板に【中央広場】って書いてある。そこから4方向に向かって大きな道が伸びていて、その先には立派な街の外壁と門があるね。壁がどこもだいたいおんなじくらい離れてるように見えるから、ここが名前の通りこの街の中心部になるのかな。


 えーっと、いま時間は14:56か〜。このゲームの開始は12:00だったから、アバター作ったりするのに3時間近くかかってた計算になるね。ちなみに、ゲームの中では時間が現実の4倍の速さになるらしいよ。だから、現実ではまだ1時間も経ってないんだね。技術的なことはわかんないけど、すごく革新的ってCM打ってた。それはいいとして、この時間で太陽があの位置だから、こっちの大通りが南かな。とりあえず、まずは大通りを順にみていこう!


 そうやって大通りを(たぶん)南下していくと、右手にひときわ大きな建物が見えてきた。剣と杖が交差した看板がかかってて、【冒険者ギルド】って名前が出てるね。


 「おおー!これがギルドかー。話には聞いてたけど、すごく立派だね。」


 チュートリアルのときに、それぞれの街には必ず冒険者ギルドがあるから、一度は寄ったほうがいいっておねえさんに言われていたのだ。これだけ大きな街だから探すのは苦労しそうだなーって思ってただけに幸先いいね!


 西部劇の酒場みたいな作りをしたドアを開けて中へ入ると、中はそれなりに混み合ってた。ちょくちょく同じデザインの服を着た人がいるけど、あの人達が職員さんかな。


 「いらっしゃいませ。ようこそ【冒険者ギルド ワンダル支部】へ。どのようなご用件でしょうか」


 しばらく入口のそばで中の様子を眺めていたら、肩より短いくらいの金髪をしたクールな雰囲気の女性職員さんに声をかけられた。丁度いいから色々聞いてみようかな。


 「こんにちは!ここは何ができるのかな?行ってみるといいよって言われただけで、わたしは何も知らないんだよね。」

 「ああ、異界の旅人の方でしたか。それでは案内しますのでこちらへどうぞ。」


 おおっ、どうやら案内してくれるらしいね!やった!ただ異界の旅人っていうのが何なのかはさっぱりだけど。


 その後、職員さんにしてもらった説明をまとめると、こんな感じだった。


1.冒険者ギルドは登録制。登録は無料で、犯罪者でもない限り誰でも登録できる。


2.冒険者ギルドでは、ギルドに出された依頼を受けることができる。依頼を達成すると、報酬がもらえる。依頼の達成率や達成件数などによって冒険者ランクは上下する。


3.冒険者のランクはF.E.D.C.B.A.Sの7段階。上げるためには依頼の達成率、達成件数の他にギルドが課す試練に合格する必要がある。ランクによって、受注できる依頼や利用できる施設などに制限がある。


4.異界の旅人はどうやらゲームのプレイヤーのこと。今日から来るって教会に神託があったらしい。


5.ワンダルはこの町の名前。初めて知った。


 依頼の達成率と達成件数を重視してるのは、力はあってもいい加減な性格の人間を高ランクにしないためって言ってた。冒険者ランクは、その人に対するギルドのお墨付きとなるから、いい加減な人間を高ランクにするとギルドそのものの信用に関わるんだって。


 そんな感じの説明を聞いたあと、わたしは、ギルド登録の手続きをするために受付に並んでる。ギルドに登録すると、登録証が身分証として使えるらしいからね!


 「次の方〜どうぞ〜」

 「はいはーい!おねがいします!」


 やっとわたしの番だね。受付係さんは、なんかだいぶ疲れてるみたいで、声にあまり力がない。大変な仕事なのかな。


 「こちらに〜名前と種族とジョブをおねがいしま〜す」

 「はーい。おねえさんなんかだいぶぐったりしてるね。」

 「そうなんですよ〜。今日昼過ぎくらいから異界の旅人の方々がたくさん来て〜さっきまでほぼひっきりなしに対応してたので〜もうクタクタです〜」

 「へぇー大変だったんだね……よしできた。」

 「ホントですよ〜。じゃあこっちの札持って3番カウンターへどうぞ〜」


 言われたとおりに、「2」と大きく書かれた木の札を持って3番カウンターへと向かった。札がだいぶボロボロになってるから、これまでもずっと使ってきたものであることがわかるね。超リアル。


 カウンターに札を出すと、天秤のような形の、金属製の何かの片側にわたしの名前が書かれたカードが置かれた。なにこれ?


 「こちらのカードが乗った反対側へ自身の手を置いてください。魔法により個人の登録をします。」


 はえ〜。そんな事ができるんだね。言われたとおりに手を置くと、天秤(仮)が淡く光って、わたしの手からカードの方へ光の塊が移動していった。光がカードの中に入ると同時に、天秤の光も消えたね。現実ではまず見ない光景にわたしが見惚れていると、


 「ではこれで冒険者登録完了となります。カードの再発行には手数料がかかりますので、なくさないように保管してください。依頼を受ける場合は、あちらの掲示板に依頼表がありますので、そちらからお選びください。」


 と係の人にカードを渡された。おっと、とりあえずカードはアイテムボックスに入れとこーっと。そしたらなくさないでしょ。たぶん。アイテムボックスはプレイヤーが持ってる能力で、アイテムを99種類×99個異空間に持つことができるものらしいね。100個以上1種類のものを持つと、100個目からは2種類目としてカウントされるんだって。


 さてと、せっかく登録したから、依頼をみていこうかな!掲示板を見てみると、いろいろな依頼が貼ってあった。えーっとなになに………ウルフの討伐からホーンラビットの肉を納品に、逃げたペットの捜索、部屋の片付けや街のゴミ拾いまで様々だね。とりあえず、期限のついてないウルフの討伐を受けてみようかな。今は倒せなくてもそのうちレベルが上がれば倒せるようになるだろうしね!


 そうと決まれば早速受けよう!あれ、どう受ければいいのかな。聞いてなかった………。


 「どうかされましたか」


 掲示板を見ながらしばらく悩んでると、ここを案内してくれた職員さんが声をかけてくれた。助かるね!


 「依頼ってどう受ければいいのかな?」

 「依頼書を依頼受付カウンターへお持ちください。常設の依頼は依頼書に触れれば依頼を受けることができます。また、依頼の完了時は依頼報告カウンターへお越しください」

 「ありがとう!」


 なんと依頼報告のやり方まで教えてくれるとは………有能!とりあえず持ってけばいいみたいだね。


 依頼表をカウンターに持っていこうとして触れると、目の前にウィンドウが現れた。


 

ウルフ討伐(常設)RANK:F

依頼内容:ウルフを5頭討伐せよ

期限設定:なし

依頼を受けますか?「はい」「いいえ」



 「ん?」


 いきなり現れたウィンドウには驚いたけど、そういえば常設の依頼は触れるだけでいいって言ってたね。よし!「はい」を押してっと。


 ウィンドウの「はい」の部分を押すと、ウィンドウに大きく「受注済」と文字が現れ、しばらくするとウィンドウが消えた。どうやらこれで問題なく受注できたみたいだね。


 よーし!じゃあ街の探索を続けながら、街の外に出る準備をしようかな!クロちゃんはまだまだ起きる気配ないし、ゆっくりで大丈夫だと思うけど。


 ギルドの外に出ると、わたしは武器屋を探すことにした。スキルもせっかく取ったし、剣がほしいね!できれば刀がいいけどあるかな。西洋ファンタジーな世界だしなさそうなんだよね。とりあえず大通りを進んでいけば、そのうち武器屋が見つかるんじゃないかな。探すぞー!


 そう意気込んだ割に、武器屋はあっさりと見つかった。冒険者ギルドのすぐ近くに大きめの建物があって、剣が描かれた看板に武器屋と書かれてた。まあそりゃあ、ギルドの近くが使いやすくていいよね。


 中に入ると、壁いっぱいにかけられた剣や槍、弓に杖などが目に入る。初期ジョブの武器は全部あるんじゃないかな。そんな武器を眺めながら奥へ進むと、いかつい顔のおじいさんがカウンターに座ってた。おお、雰囲気あるね。


 「客か?何が使える?」

 「剣と杖!杖はあるから、剣が見たいな!」

 「ならそっちの壁側にあるやつから選びな。初心者用だ。」


 ぶっきらぼうではあるけど、一応商売人ではあるんだね。わたしの知り合いは、初対面でも気に入らなければ、来店と同時に店から追い出すよ。それに比べれば、すごく理性的。


 言われたとおりに、壁側の箱に入れられた剣を見てみる。商品を手に持つと説明が出るみたいだね。



名称:旅人の剣

レア度:F 品質:1 耐久値:200

効果:攻撃力+3

属性:なし

重量:2

金額:1,000R



 うーん。パッと見であまりいい剣はないっぽいね。もちろん刀もナシ。初心者用って言ってたし、こんなもんなのかな。壁にかかっている剣は耐久値と攻撃力が高いけど、その分重くて値段も高いね。それに、そこまでいい剣には見えないんだよね。


 実はわたしの所持金5,000Rは、ジョブポイントのボーナスで増やしてある金額で、もともとは1,000Rだったから、ここの武器はそれだけで初期の金額を全部使うかオーバーする計算になっちゃうんだよね。なのにこのなまくら揃い………うーむ、まあこんなにいっぱい剣を見る機会ってそうそうないし、もう少しだけ探してみようかなー。


 その後も、いいのないかなーって初心者用以外の剣も見てみた結果、1つだけ気づいたことがあったよ。それは、たぶんこの店にある剣を打ったのは、おおよそ5人の人物かなってこと。剣の品質傾向と、そこから見える打ち方の癖、一部の剣に彫ってある銘から、おそらく師匠格の人物が1人、弟子が4人って感じだね。初心者用の箱に入ってた剣は、弟子のうち特に未熟な1人が打ったものっぽい。たまに5人の誰でもない人のも入ってるっぽいけどね〜。まあでもそれなら………


 「よーし!これとこれにきーめたっ!おじさーん、お勘定―」

 「おう、2,000Rだ。こいつは単純な興味なんだが、お前さんなんでその2本を選んだ」

 「だってこれおそろいだからね!いっしょに使ってあげないとって思って」

 「ほーう!分かんのかい。大したもんだ。まあ存分に使ってやってくれや」

 「はーい!ありがとー!」


 わたしが選んだ剣は、2振りで一対になってる剣だね。商品説明は他と変わんないんだけどね。おじさんは大したもんだって言ってたけど、ちゃんと見れば誰でもわかるとおもうけどなー。まあ、言われたとおり、きっちり使い倒そうかな!


 その後、ポーション等のアイテムを買うところを教えてもらって、武器屋をあとにした。おじさん優しいね。


 武器屋を出たところで、現在時刻16時43分!そろそろクロちゃんも起きそうな感じだし、急いで準備して街の外へ行ってみようかな!


補足

クローディア:アヤのことは下僕、兼ベッドと思っている。

武器屋の店主:ぶっきらぼうだが人はいい。

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