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第1話 私と部長の茶番劇

「なるべく多くの生徒に伝えるにはどうすればいいと思う?」


早朝です。

私は今、部室にいます。朝練の真っ最中です。


「おーい秋菜、聞いてるかー?」


っと言っても我が部は朝練なんてまずありません。

昨日の夜、突然部長から「明日朝練七時半集合!」ってメールが来たんです。

いきなりですよ、コノヤロー。


「おーい……」


ううっ、何でこんな早く出てこなければいけないんでしょうか。

1時間早く来るのがどれだけしんどいか分かっていないのでしょうか。

朝の5分でもかなり貴重なのに、1時間ですよ!?12倍ですよ!?

モーニングタイム返せコノヤロー。


「おい!」


「なんだよコノヤロー」


「何だと?コノヤロウ」


「……いえ!!なんでもございません!!」


しまった………いちおう(・・・・)先輩なんだから気をつけないと……


この茶髪で無造作ヘアの先輩は、二年生の稲葉(いなば)先輩。この部の部長さんです。

以上です。この先輩の紹介はこれぐらいでいいや。


「ったく、ちゃんと聞いとけよ?」


先輩は机に頬杖をつきながらため息をついた。


「あのー、他の先輩の姿が見えないのですが……」」


「ああ、あいつらな。2人とも新聞配達のバイトで来れないってよ」


絶対サボりですよね!?てかもうとっくに終わってますよね!?



………私もそうすればよかったなぁ。


そんな私の胸中など知りもせず稲葉先輩が言う。


「本題に戻るぞ。たくさんの生徒に伝えるにはどういう方法があるか」


「えーっと、掲示板にポスター貼るとかどうですか?」


「めんどくさいし面白くないな」


おいこら。


私はにらみを利かせた視線を向けるけど、当然のごとく先輩は気づかない。


ん?まてまて、もっと簡単なやり方があるじゃないですか。


「そうです!放送部に頼んで昼休みに放送してもらうんですよ」


「いやそれは………、まてよ?それだ!!」


稲葉先輩は立ち上がり、不敵な笑みを浮かべて声高らかに宣言した。


「放送室を襲撃するぞ!」



なぜそうなる……。







そして昼休み、空腹でお腹と背中がくっ付きそうな私は部室に呼び出されていた。


「お腹空きましたよぅ……」


「少しぐらい我慢しろ」


「ところで、他の先輩方の姿が………」


「2人なら急にお腹が痛くなったって言って保健室いったぞ。まったく運が悪いやつらだ」


………逃げたんですね?そうですよね?


稲葉先輩はごそごそと黒いバッグから二丁の銃を取り出すと、ゴトリと重く鈍い音を立てて机の上に置いた。その傍には被り物が同じく二つ。


あらー、なんだか本格的になってきましたよ…。


「って、これいったいどこから持ってきたんですか!?」


「4時間目が体育の授業だったからな。いきつけのおもちゃ屋まで走っていって借りてきたんだ。売り物だから傷つけるなよ?」


ごめんなさい。突っ込みどころが多すぎて私には無理です。


だからというか、重要な部分だけを質問。


「これ、危なくないですか??」


「安心しろ、玉は入ってない。そろそろ時間だから準備しとけ」


そう言うと稲葉先輩は被り物を頭につけ、銃を手にした。私もそれに見習う。

そして普段通り、スピーカーからお昼の音楽が流れてきた。流す曲は放送部の人たちが決めているけれど、今日は最近流行した平和を望む歌詞の曲だった。今から犯罪まがいのことをする私たちには完全にミスマッチだ。


「よし、行くぞ!」


「はいー」


「ククッ、見てろよ放送部。あの時の恨み今から晴らしにいってやるぜ」


呟く部長。私は稲葉先輩がどうか目的を履き違えないようにと祈るばかりだった。






私は勢いよく放送室の扉を開けて銃を構えた。


「手をあげろー。うごくなー」


部員たちは驚愕の表情で固まったまま私達を見ている。


そりゃあセーラー服に馬の被り物をして銃を構えてたら、ですよねぇ。


「フッ、残念だったな。たった今からここは我々が占拠する!」


隣に立つしろくまの被り物が言った。

青いネクタイの、先輩と同学年の男子が一歩前に出る。


「その声は……稲葉!キサマァ!」


いきなりばれてるしっ……!


部員たちも稲葉先輩を知っているのか固かった表情が緩む。

というのもつかの間、先輩がビービー弾を地面に乱射した。部員たちは悲鳴を上げて、次々に部屋を飛び出していく。


玉入ってるしっ……!


「フハハハッ、我々の勝利だ!」


愉悦に浸る先輩を尻目にためいきをついて、奥へと進む。


「はいはい、さっさと終わらせて昼飯食べますよー」


「わかってるって」


稲葉先輩もだるそうにしながら近づき、流れている音楽のボリュームを下げ、マイクのスイッチを入れた。

そしてまさにテロリストの如く放送を開始した。




『諸君、我々はたった今放送室を占拠したボランティア部だ。お前たちに危害は加えないから安心してくれ。実は頼みがあってこの放送をしている。

二年三組の笹原の家の猫が子どもを産んだ。五匹生まれたんだがあと二匹がどうしても貰い手が見つからないんだ。飼いたいやつは二年三組の笹原か、我がボランティア部まで来てくれ!

色は白と……何色だっけな……………そう、茶色のしまだそうだ。ちなみにめちゃくちゃかわいいぞ!以上だ』





稲葉先輩がマイクのスイッチを切った。ふうっと一息つくと私のほうを見て言った。


「よし、任務完了だ。これで飼い主は見つかる。笹原も貰い手も俺達も喜ぶ。みんなまとめてハッピーエンドだ!」


「稲葉せんぱ〜い、猫の色ぐらい覚えておいてくださいよー」


「分かってるって!」


分かってなかったでしょうに……。


それにしても声で分かる。先輩はしろくまの被り物の中で満足げに笑っているのだろう。

しかし先輩は気づいてないのだろうか。この放送を聴いた教職員方が駆けつけてきて、私達はもうすぐバッドエンドとなることに……。




いかがでしたでしょうか。あくまでライトに書いていきます。

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