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ウサギ印の暗殺屋~短編集~  作者: 三ツ葉きあ
『ウサギ印の暗殺屋~13日の金曜日~』後
30/34

初詣(BL風味SS)




「ハッピーニューイヤー!」


 街はカウントダウンに湧き、所々で花火が上がり、微かに鐘の音が聞こえてくる。一年で一番、世界が賑わう瞬間。

 年越し。


 日本では一年で最も神社に人が集まる日でもある。神社では、参拝客の邪魔にならない位置に、出店も並んでいる。




「じゅーんー。あけましておめでとー!」

「泰騎。泥酔者は、神社には立ち入り禁止だ」

「え、そんな酔っとらんって」


 潤に指摘された途端、真顔になる泰騎。


「……そうか」


 大きな神社では人がごった返しているので、町外れにある小さな神社へやって来た。と言っても、ここは東京の中心部。それなりに人は居る。男女のカップルが多い中、泰騎と潤はふたり並んで、賽銭箱へ小銭を入れた。

 そして、人の流れにそって、足早に()けた。


「でも、潤が初詣に一緒に来てくれるとは思わんかったわー。人混みも寒いんも苦手じゃろ?」

「まぁ、誘われれば……」


 潤は自分の吐く白い息を眺めながら、呟いた。

 神社の隅で配られている甘酒を貰い、白い湯気を見詰める。微かに甘い香りが、鼻腔をくすぐった。冷えきった顔には、温かい湯気が少し、しみる。

 潤は甘酒を一口飲み下し、そういえば、と泰騎へ顔を向けた。


「明けましておめでとう」


 泰騎は、息より白い歯を見せて笑った。


「今年もよろしく!」




 神社を出ると人は(まば)らで。「(はよ)う帰って、お笑い番組観ようで!」と、泰騎が手を伸ばす。

 潤は、泰騎の手は温かいな、と思いながら街灯に照らされた道を歩いた。



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