表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ウサギ印の暗殺屋~短編集~  作者: 三ツ葉きあ
『ウサギ印の暗殺屋~13日の金曜日~』後
27/34

十一月二十二日(空中父子のSS)




「ただいまー」


 帰宅を知らせるが、返事はない。だが、玄関に靴はある。

 空中(そらなか)(けい)は、白衣を脱ぎながら室内を見回した。

 壁にある時計の針は、頂点から僅かに長針がずれた状態だ。

 白衣を椅子の背凭(もた)れへ乗せる。スマートフォンを操作しながら、扉の更に向こうの、奥の部屋へと向かった。

 

 


「今度は何を作ってるの?」


 義息子に問われ、謙冴は顔を上げた。今日は休日だ。いつもはオールバックになっている髪が、下ろされている。

 景は、髪を下ろした方が若く見えるのにな、と思ったが、口には出さなかった。


 謙冴が作っているものは――形から察するに、テーブルだ。天板の一部分が四角く(くぼ)んでいる。その窪みは、一般的なトレーの大きさに思える。


「もうお昼だよ。何が食べたい? 蕎麦でも食べに行く? っていうか、今日は蕎麦を打たないんだね」


 景の言葉に、謙冴は腰を伸ばし、工具を作業台へ置く。

 掃除機で木屑(きくず)を吸い取り、初めて口を開いた。


「景は、何が食べたいんだ?」

「今日は回転寿司記念日だから、キャンペーンをやってるみたいなんだよね。スマホにクーポン来てた」


 つまり、本音では回転寿司屋へ行きたいらしい。

 反対する理由もないので、謙冴は頷いた。


「あ、回らない寿司でもいいよ」


 もう、“回転寿司の日”とは関係のない方向へ向かっているが、景の発言に、謙冴は再度頷いた。


 この流れも、景の思惑通り。謙冴を寿司の気分にさせておいて、人の多い回転寿司より、落ち着ける寿司屋を提案。となると、人混みを嫌う謙冴は、回らない寿司屋を選ぶ。

 謙冴は謙冴で、そんな景の考えを理解している。


 というわけで、空中父子の本日の昼食は、寿司に決まった。

 

 

 



11月22日は、大工の日です!

私の実家の家業が大工でしてね。

日曜大工が趣味の、謙冴を書くしかないな! と思い至った次第でございます。


因みに謙冴が造っているのは、子どもが飲み物を溢しても大丈夫なテーブルです。

4月に出産予定の、甥の子ども用。

休みが少ないから、半年前から取り掛かっています(笑)



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ