恵未先輩がいっぱい(GL風味SS)
ある晴れた昼下がり。今日は休日だ。予定は、特にない。
折角なので出掛けようと、街へ繰り出した。目的は定まっていないが、歩きながら考えるとしよう――等と考えながら向かう先は、大抵、ペットショップだ。
何故なら、私はもふもふが大好きだからだ。
飼うことは出来ないが、見ているだけで癒される。犬猫は勿論、小動物も大好きだ。
チワワやトイプードルが並んでいる中、一際私の目を引くのは、ポメラニアンだ。
もふもふだ。
毛玉だ。
たまらない。
触りたい気持ちが募るが、飼えないのに触るのは気が引ける。そして、情が移ると困る。
猫のコーナーもひと通り見終わり、小動物のコーナーへと進んだ。
ここは、パラダイスだと思う。
「はぁあ……恵未先輩に、そっくりだ……」
どこを見ても、愛らしいハムスターが犇めいている。
この、ひまわりを頬袋に蓄えている様子は、まさに恵未先輩そのものだ。
なんて可愛らしいんだ。
私は、クッキーを口いっぱいに頬張っている恵未先輩の姿を思い出しながら、ハムスターのケージに張り付いた。
あああぁぁぁあぁ……愛くるしい。
私の胸も苦しい。
恵未先輩恵未先輩恵未先輩恵未先輩恵未先輩……。
「あのぉー……」
「!?」
振り向くと、表情が少々引き攣っている店員が居た。
「申し訳ありません。ハムスターたちが怯えるので、もう少し離れてご覧いただけますか?」
「あ、す、すみません……あまりに可愛いもので、つい……」
私が頭を下げると、女性店員はにっこり笑って「可愛いですよね。ゆっくりご覧下さい」と言って去っていった。
無理に売り付けようとしないところは、有り難い。
だが、購入しないのに入り浸るのは迷惑だろうな……。
私は、後ろ髪を引かれる思いでペットショップから出た。
リスも見たかったな……。
私は、ペットショップの梯子を決めた。
祐稀の、ある休日の様子でした。
あ、女性店員さんと祐稀は、恋愛に発展しません(笑)




