勇者募集中
とある店の壁に、こんな貼り紙がしてあった。
『勇者募集中 君のその手で世界を救おう!
魔王を倒すため、勇者を募集しています。
経歴、年齢、性別は問いません。どんな人も大歓迎!ただし、弱い人、腕に自信のない人はお控えください。
☆手厚い保証付き
☆成功すれば報酬も!
☆参加してみるだけでもOK!気軽にご連絡ください!
詳しくは0×0-12×9-××72まで」
店を物色していた若い男の二人組が、その張り紙の前で立ち止まった。
へぇーと声を出し、興味津々でそのポスターを眺める。
「報酬ありだって。すげえな、最近は豪華なんだな。」
電話してみよっかな、とつんつん頭の男が言う。メガネの男はつんつん男の頭を小突いた。
「やめとけ。そんなかんじで今までたくさんの勇者が旅に出てるが、どれもことごとく玉砕だってさ。出てきたときはあんなに勇んでた騎士たちも、今じゃすっかりやる気なしだ。」
「えー、マジかよ。てっきりどっかの奴が倒してるかと思ったのに。まだ倒れてないんだな。
やっぱり魔王は最強だなー。」
つんつん男はやっぱりそうだよなーとうなずく。メガネの男は訳知り顔で話をつづけた。
「駄目じゃなかったら、こんなところに張り紙なんかしてないさ。
なんでも、僕が聞いた話によると、相手の氷属性の魔法と虫の召喚に全員やられちゃったらしいよ。」
つんつん男は目を見開いた。
「え!マジかー、そりゃ誰もやりたがらなくなるわ・・・俺もやめとこ。っつーか魔王のくせに虫召喚とか、せこいことすんだなー。」
つんつん男はそれっきり興味を失ったのか、またほかの棚を見に行った。
眼鏡の男はしばらく貼り紙をじっと見つめていたが、やがてふいと目をそらし
「ま、いいか。別に僕が行ってやらなくても、いずれどっかの酔狂なやつが行くだろう。」
とつぶやいて、つんつん男の後を追った。
その日の夜のこと。
昼間つんつん男とメガネの男が来ていた店の貼り紙の前で、店員ががっくりとうなだれていた。
「あー、今日も売れなかった。
どうしよう、この大量の在庫・・・半分ぐらいしか放出できてないよ・・・
はー、胃が痛い・・・」
店員の手には、ゲームソフトの箱が握られていた。貼り紙の下のかごにも、同じパッケージのソフトが山のように積まれている。
そのゲームの名は、『青の魔王』。大人気RPGシリーズ『魔王』の最新作にもかかわらず、頻発するフリーズと多種多様なバグにより、クソゲーの烙印を押されてしまったゲームである。
前に投稿した「異世界転生したバカ息子の母です」が100アクセスを達成しました。ありがとうございます。
これからもちょっとずつですが短編と詩、そしてもしかしたら連載もするかもしれません。
今はまだちょっと難易度が高いですが、ゆくゆくは・・・と夢を抱いております。
読んでいただいてありがとうございます。自信作です。
面白かったら評価ください(あつかましいのは承知の上です。)




