第6話 消し飛ばしてもニートがいい
「まさか家に入れなくなっていたとはねぇ」
ハゲ一の家でくつろぐ。圭吾は今すぐにでもこの村を出て行きたかった。何故ならハゲしかいないからだ。
「じゃあ俺たちはここら辺で村を出ようと思います!目標は魔王なので!!」
(この後面倒臭いこと頼まれても嫌だしな)
「えぇ!!なんでですか!!ちょっと待ってください!!もっとゆっくりして下さい!!出来れば私の娘と結婚してくれてもいいですよ!!」
「お断りします」
そうして圭吾達は逃げるようにハゲ一の家から出ていく。そして、圭吾達は次の村を目指すための出口まで行く。
「この村から出るの少し名残惜しいですね」
サナはそう言ったが、圭吾は全くもって思わない。
「よし!行こう!」
圭吾はもうすぐ出ていきたいようだ。
「次の目的地はパンツ村ですね、パンツ村に行くには」
「ちょちょちょ!なになに!?パンツ村!?名前ふざけ過ぎだろ!!」
「パンツ村に行くにはスライムの森改を通らないとらしいです」
「おい!!ネタがねぇの!?なんだスライムの森改って!!初めに通ったスライムの森に改付けただけだろ!!」
そしてスライムの森改へと入ろうとするが、スライムの森改から何かが出てくる。そう、それはゾンビだった。
「きゃーーーー!!」
サナはゾンビを見て叫ぶ。
「ゾンビじゃねぇかよ!!」
圭吾も驚く。
「きゃーーーー!!こわぁい!!」
カエダマも怖がる。キモイ。ただただキモイ。
「殺っていいか?」
レイはやる気満々だ。
「だから怖ぇよ!!」
レイはゾンビを殴り飛ばす。本当に怖い。
ゾンビはまた立ち上がる。
「そりゃそうだよな!ゾンビだもんな!」
「なぜ立つ?」
レイはまた殴り飛ばす。
しかしまたゾンビは立ち上がろうとしている。立ち上がろうとしているゾンビの頭の上にレイは座る。
「立つな」
「何やってんだよ!!こえぇよ!!」
ゾンビはレイのケツに押されて立てない。
「いやいやちょっと退いてくれません?」
ゾンビが喋った。そんなことある筈ない。
「殴られたとこ痛いし、立てないし、別に俺攻撃してないよね?ただ歩いてただけで殴るってある?酷くない?だから早く立ちたいんだけど?」
確かにゾンビは1回も襲い掛かってきていない。
「すぐどいてやれ!!」
レイは渋々退いた。
「いやいやおかしいよね?俺は何もしてないんだよ?なんで殴った?裁判沙汰だよ?ねぇ、ちょっと何とか言ったらどうなの?」
クレーマーのように喋っている。
「本当に申し訳ない」
(なんで俺が謝らなきゃいけない)
「殺っていいか?」
「駄目に決まってんだろ!!」
まだレイには殺る気があるようだ。勘弁して欲しい。
「簡単に許して貰えるとは思ってないよね?」
「あぁ」
(面倒臭いのきたよ!!くそぉ!!)
「じゃあ俺の言うことを聞いてもらおうか」
ゾンビは話し始めた。
「殺っていいか?」
「いいよ」
圭吾もついに折れた。レイはゾンビを殴り飛ばす。そしてその隙に森の奥へと進もうとする。しかしゾンビは後ろから追いかけてくる。
「なにやってんの!!あんたらちょっと待て!!ふざけんな!!俺の言うこと聞け!!」
「おい!ぷにぷに!どうにかしてくれ!!」
「お、出番か!!」
そう言ってぷにぷにはゾンビに向けて尻を突き出す。
「おい…まさか」
圭吾達の顔が青ざめる。
「ぶりっ」
オナラだ。最悪だ。汚い。
ゾンビにクリーンヒットした。しかしゾンビは倒れなかった。
「え!効いてない!」
「効くわけないだろ!!ゾンビだから腐ってるんだわ!」
圭吾達は避難が遅れ、その場に倒れた。そしてゾンビに捕まった。
「じゃあ俺の話を聞け」
ゾンビは話し出す。捕まったからしょうがなく言うことを聞くことになってしまったのだ。
「俺からお前らに頼みがある。それは俺を無事墓場まで連れて行って欲しい」
「嫌だ」
「おい!!嫌じゃないの!!引き受けるの!!」
「大丈夫です!圭吾さんは勇者なので!!」
「おぉ!そうか!それは頼もしい!」
サナが勝手に引き受けてしまった。墓場はハゲが沢山いる街から外れた所にあるようだ。そこに行くまでには長いトンネルを通らないと行けないようだ。
圭吾達は早速ハゲ達の街へと戻る。
「おぉ!戻って来てくれたのですね!では早速私の娘のハゲ美と結婚式をあげましょうって…ぎゃぁぁぁぁぁ!!ゾンビぃ!!」
そりゃ驚くのも無理はない。ゾンビだから。
村人全員が家の中へと逃げて行ってしまった。
「恥ずかしがり屋ばっかりだな」
「ちげぇわ!!お前が怖いんだよ!!」
そしてトンネル入口までやって来た。
「なんか怖いですね」
トンネルは真っ暗だった。サナが怖がるのも無理はない。
「こわぁい!!」
「きもっ」
「ひどっ!」
カエダマがオカマ口調で怖がるも、圭吾に罵られる。そしてトンネルの奥から何かが出てくる。カタカタと音をたてている。
「おい!なんだなんだ!」
(もう次から次へと面倒臭い!!)
そして目の前までやって来た。そいつはゾンビを見た瞬間驚く。
「おぉぉい!!俺だよ!俺!!」
カタカタと物凄い音を立てる。そいつは骸骨だった。
「おいおい!こいつってスカルソルジャーじゃねぇの?」
圭吾は驚く。
「おぉ!!ホネちゃん!!お久ぁ!!」
「そのままのあだ名!!」
ゾンビの知り合いのようだ。
「お久お久!!腐敗肉!!」
「すげぇあだ名!!可哀想だろ!!」
ホネはゾンビの肩を叩く。
そしてゾンビもホネの体を叩く。
「今日もカッコイイねぇ!ホネちゃん!」
ゾンビはホネを褒める。挨拶の様なものだろう。
「ありがとう!!腐敗肉!!腐敗肉は今日も臭いねぇ!!」
「だからひどい!!」
「ありがとおおおおおお!!」
「おぉい!!」
ゾンビは罵られていることを分かってないようだ。いやもう喜んでいる。
「いやぁちょっと待ってねぇ!!」
そう言って、ホネは消臭剤を取り出し、体にかけ始める。
「腐った匂いがつく」
「どこまで酷いんだよ!!」
「ありがとおおおおおお!!」
「お前馬鹿だあああ!!」
本当にこいつらは知り合いなのか疑う程だ。
「で、腐敗肉は何しにここにきたの?」
「おい!!だからその呼び方やめろ!!」
圭吾が何回言ってもやめる気はないようだ。
「うん!そろそろお墓に戻ろうと思って!」
「え、駄目だよ」
「ふぇ?」
ホネは急に真顔で否定する。それを聞いた圭吾とゾンビは変な声を漏らす。
「駄目に決まってるでしょ?戻るって言うなら容赦しない…」
どういうことだ。ここにいる全員が全くついていけない。そしてホネは剣を取り出す。
「全員ここで皆殺しだァァ!!」
「なんでそうなるううううう!?」
そしてホネはゾンビを斬った。
「ぎゃぁぁぁぁぁ!!こ、こ、こ、こ、ここまでか…く、くそ…な、ぜ…あ、あんまりだ…く、くっ…かっ!!きっ!!くっ!!けっ!!こっ!!」
「くだらねぇええええええ!!!てかやられるなら早くやられろよ!!」
「ゾンビさん!!!」
サナは叫ぶ。ゾンビがやられたからだ。
ゾンビは倒れた。しかしすぐ立ち上がる。
「いやぁ俺ゾンビだから死なないわ」
「だよな」
「な、なんだってえええええ!!!」
ホネはめちゃくちゃ驚いた。
「いや当たり前だから!!」
「ホネちゃん…俺は悲しいよ…でもそっちがその気なら!!ごめんね!!」
ゾンビはホネに襲いかかった。
「ぐあああああああああああ!!!!ま、まさか…ま、ま、ま、ま、まり、りんご、ごりら、らっぱああああああ!!」
「しりとりいいいいいいい!?」
ホネは倒れた。しかしすぐ立ち上がる。
「くだらねえぇぇえええええ!!!スカルソルジャーだからなぁぁぁ!!」
「俺に任せて」
(もうめんどい…俺がやろう)
「おらこいこい!!勇者さんよおおおお!!」
圭吾は一瞬でホネの目の前まで移動する。
「デコピン!!!」
ホネの額を圭吾は思い切りデコピンする。ホネは物凄い速さで後ろへ吹っ飛んでいく。
「いやデコピン強すぎ!!!!!」
圭吾は[骨]、[1トレッド]を手に入れた。
「いやいや金、全然貰えねぇじゃん!!もっと高くしてあげろよ!!」
「ホネちゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
ゾンビは膝から崩れ落ちる。そして地面を何回も叩く。
「いやいやどうした…ちょっと待て、お前今殺されそうだったよね!?そんな落ち込む!?」
そして圭吾達はトンネルを進んでいく。
少しの間トンネルを進む。まさに真っ暗だった。しかしトンネルの奥から何かの叫ぶ声が沢山する。そして暗闇がうじゃうじゃと動く。
「おいおい…まさか…」
圭吾が青ざめる。圭吾は勇者スキルで暗闇の奥が見えたのだ。
「えぇどうしたんですか!圭吾さん!!」
サナは圭吾の顔を見て戸惑った。見えていないからだ。
「来る…やばいやばいやばいやばい」
「一体何が来るんだ?」
レイも身構える。
暗闇から何かが飛んでくる。
「大量のコウモリが飛んでくるぞおおおおおおおおお!!!」
暗闇から出てきたのは物凄い量のコウモリだった。
「あれはコウモリデスケドです!!」
「なんだその名前ェェェ!!ひとまずしゃがめぇぇえええ!!」
みんなが一斉にしゃがむ。
しかし圭吾は立っていた。
「何をしてるのおおお!?圭吾おおお!!」
カエダマは叫ぶ。
「俺がやらなきゃだろ!!」
コウモリは近づいてくる。
「コウモリデスケドは剣では斬れません!!」
「いやそれ早く言ってぇぇえええ!!」
圭吾は剣を構えていた。圭吾は思い切りしゃがむ。コウモリが後ろへと飛んでいく。
「あぶねえええええ!!」
「また来るぞ!!」
ぷにぷには後ろへと向くと答える。コウモリは旋回して戻ってきていた。
「おいおい!!どうすんだ!!」
「俺に任せろ」
ぷにぷにが前に出る。
「何やってんだよ!お前技ねぇだろ!!」
圭吾が叫ぶ。ぷにぷには圭吾を見て笑う。
「俺が出す粘液の玉によって1匹残らず動けなくしてやるよ!!俺に任せろ!!」
ぷにぷにはスライム状の玉を作り出す。
「お、おお!」
(何故だろう…かっこよく見えた)
「いくぞコウモリ!!おらあああああ!!」
ぷにぷには次々にスライム玉を投げた。しかしそのスライム玉は全て違う方向へとんでいった。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!」
「馬鹿やろおおおおおおおおおおお!!」
ぷにぷにはコウモリ達に飲み込まれる。
圭吾は少しざまあみろと思ってしまった。
しかし放っておく訳にはいかない。
「どうすればいい!!」
「コウモリデスケドは光を嫌うという特性があると聞いた事があります!!」
圭吾はサナに頷いて手を前に出す。
「光でろおおおおおおお!!くそぉ!!出るわけねぇよな!!!」
ピカーン。眩い光が出される。
「出た」
「はい、出ましたね」
「ピューピュー!!!!!!」
コウモリは一斉に飛んで逃げていく。
コウモリを撃退した。
「いやあけっな!!!」
「てかなんでこんな簡単にスキル使えるねん!!チートじゃん!!てかもうなんでもできるじゃん!!エールプティオー!!」
「おいおい!!それは最上級爆発魔法だろ!?出来るわけないじゃん!!しかも詠唱してないしさぁ!!」
ぷにぷには笑う。しかし圭吾の手からは赤い光が出てくる。
「は?ちょっと待て」
「え、俺も出来ると思ってないんだけど…ちょっと止め方知らない」
「やばいやばい!!」
ゾンビは足を鳴らして焦る。みんながみんな一斉に圭吾の後ろへと隠れる。そして圭吾の手は物凄く光り出す。まさにもう見れない程だ。そして一斉に放たれる。眩い光で誰もが目をつぶる。
「ーーっ…どうなった…」
圭吾は目を開ける。目の前には物凄い光景は広がっていた。トンネルの中にいたはずなのに広い何もない荒野が広がっていた。
「なんじゃこりゃァァァァァァァ!!!」
圭吾は驚く。全く出来ると思っていない。というか、 これが出来たのだからもうなんでも出来るだろう。しかしここで問題が起きる。
「俺の…俺の墓…」
「消えたな」
「うん、消えた」
「どんまい」
圭吾の魔法は強力でトンネルと墓場を吹き飛ばしてしまった。ぷにぷに、レイ、カエダマが励ました。
「あぁ…あぁーごめん!!」
ニコッと笑って圭吾は謝る。
「じゃあなゾンビ!ここで俺たちは!」
「いやぁ!!ちょっと待て!!逃げるなぁ!!どうしてくれるんだ!!」
「いや悪かったって!!」
ゾンビは圭吾の肩を持って何回も揺らす。
「くせえええええええええええ!!」
「あっ、ごめっ」
「臭いのはありがと!!でも許さんぞ!!」
「いやありがとうはおかしいって!!」
ゾンビは圭吾を睨みつける。
「許して欲しければ俺を仲間に入れろ!!」
ゾンビは帰る場所がない。だから仲間になるしかないのだ。
「嫌だ!!」
「えっ!?なんで!!ねぇ!なんでなんで!」
「嫌だ嫌だ!!」
「ちょっと待って!え!?いやもう1回言うよ?俺を仲間にしろ!!」
「嫌!!」
断固拒否する。
「ん?え?ちょっ…いや俺の墓壊したよね?分かった!!分かった!!もう1回聞くよ!?」
「嫌だ!!」
「えぇ!?まだ言ってない!!言ってないよぉ!?ねぇ!!最後のチャンスね!?チャンスだからね!!俺を…」
「嫌!!」
まだ言っていないのに。
「だめ!!」
「嫌!!」
「だーめ!!」
「嫌だ!!」
この争いがしばらく続く。
「バテーム!!」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ゾンビはチリとなって消えていく。圭吾は浄化魔法を使ったのだ。ゾンビは消えていった。
「よし…まぁこれでいい」
「酷いな」
「あぁクズだ」
「ひどすぎ」
ぷにぷに、レイ、カエダマは圭吾を罵倒する。
「いやしょうがねぇだろ!!」
「圭吾さん…ゾンビさんも連れていけば良かったのに…」
「いやこれでいいんだ…墓に戻るよりも、俺たちと来るよりも、成仏するのが1番なんだよ」
(何とか誤魔化さないと…嫌われる…まぁ嫌われたら嫌われたでニート生活に戻ってやるけど)
サナは圭吾を見つめる。
「凄いです!圭吾さんは!」
「え?」
やはりサナは単純なのだろう。そこがいいのだが。
「じゃあ次の村へと行くぞ!!」
圭吾達はスライムの森改へと戻るのだった。