第2話 最強でもニートがいい
久しぶりの更新です!明日はMultipleを更新したいと思います!
次の朝、圭吾は快眠だった。あったかい布団にベッド、最高の気分だった。
「はぁ〜二度寝しよーッと!!ニート生活最高!!」
圭吾は二度寝をしようとしていた。しかしその途端自分の部屋に勢いよく誰かが入ってくる。
「圭吾さん!!ご飯ですよ!!」
ニート生活に慣れた圭吾には二度寝は当たり前だったが起こされてしまった。
(あぁー眠い!!眠すぎる!!駄目だ!!)
「じゃあちょっと悪いんだけど朝ごはんを俺の部屋まで持ってきてくれるかな?」
流石にやりすぎかと思ったが、この場からは動きたくなかった。あとなんとなく急いでる雰囲気を出せば大丈夫だろうと思った。
「えっと…わ、分かりました…でも私は圭吾さんと一緒にご飯食べたいです…」
サナはもじもじしながら答える。サナは圭吾の事を気に入っているようだ。
(くぅ〜!!俺だって出来るもんなら一緒に食べたいさ!!でも体がベッドから動こうとしてくれないんだ!!早く今にでも二度寝したいんだ!!)
「うん…俺も一緒に食べたい!だけど昼の時でいいか?」
「はい!!分かりました!!じゃあ美味しいお店紹介しますね!!」
サナは顔を一気に明るくして笑った。しかし圭吾は耳を疑った。いま完全にサナは店と言った。ということは外食ということだろう。
(おいおいおい!!!待て待て待て!!外食なんて聞いてない!!生粋のニートにはカップラーメンで充分だよ!!寝させてくれ!!でもしょうがない…)
「うん…分かったよ…楽しみにしてる」
サナは部屋の外へと出ていった。
圭吾はため息をついた。
(はぁ…しょうがない…外食に行くまでには二度寝は済ませて置くか…まずは朝ごはんだ)
次期に朝ごはんが圭吾の元に届いた。朝ごはんのメニューはパーンーの上にジャームーをのせたものだった。現実世界でいうジャムパンだ。圭吾はパーンーを3枚食べて、すぐに二度寝をする体制に入る。しかしまた圭吾の部屋のドアは開く。
(次はなんだ!!寝させてくれ!)
入ってきたのは、またサナだった。
「あぁサナか…どうしたんだ?」
「忘れてたの…」
サナは息を荒くしている。急いで階段を上がってきたのだろう。
「何を?」
早く話を終わらせて寝たい圭吾。
「今すぐ役所に行きましょう!」
「えっ!?今すぐ!?」
(おいおいおい!!!二度寝は!?二度寝の時間は!?)
圭吾はしょうがないので行くことにした。サナに見られていては二度寝も出来ないし、圭吾がニートと分かった瞬間にこの家を追い出されてしまうだろう。服は着替えてあったのでシンプルソードと少しのトレッドを持ち、準備を済ませて家を出た。役所は少し遠いがそんなに時間はかからない場所にあった。しかしもう二度寝の時間はないだろう。
「で…役所になんの用があるの?」
「それがですね!圭吾さんは勇者カードというものを持っていますか?」
「いや持ってないけど 、それがどうしたの?」
(聞いただけで分かる…関わっちゃいけない奴!!)
「そのカードを持っている人は魔王を倒す権利を貰えるのです!!」
「えぇ、えぇ!?えぇぇぇぇぇ!!!!」
(いつ俺が魔王倒すって言ったんだ!?そんなんニート生活が台無しだ!!)
「早速確かめに行きましょう!!」
「え?確かめる?」
「はい!!確かめるんです!来た人を役所に連れていくのはここの国民の義務なんです!勇者が死んだ今!誰かが勇者にならないといけない!だからそれを確かめるんです!」
「じゃあまだ勇者と決まった訳ではないんだね…はぁ良かった…」
圭吾は最後に心の声が漏れてしまっていた。
「良かった?なんでですか?」
(やべっ心の声が漏れてた!!)
「いや〜俺じゃ魔王は倒せないよ!だって魔物の王だよ?」
「いや!でも私の目に狂いは無いです!!きっと魔王を倒す勇者なんです!圭吾さんは!!」
(お願いだ!!神様!どうかどうか勇者だけは!!勇者だけは!!辞めてください!ニートっていう奴はないんですか?それがいいんですけど?)
ガサガサッ
近くから草が動く音が聞こえた。敵かは分からないが誰かがいるのは間違えない。その時草むらから1本の矢が飛んでくる。矢というより羽だ。その鋭い羽はサナの方に飛んでいく。
「危ない!!」
圭吾はサナを守り、シンプルソードで羽を弾き返した。
「 出てこい!!どうせ鳥女だろ!!ハーピーなんだろ!!」
羽を飛ばしてくるということは鳥ということ、鳥と言ったら鳥女のハーピーだろう。ハーピーは上半身が女性で、下半身が鳥の形をしている化け物だ。
「残念!!鳥男だ」
草むらから出てきたのは鳥男だった。
「どっちでもいいわ!!めんどくせェ!!」
「私はLv.60だ」
「自分でLv.を言うな!!あとまた60かよ!!」
「もういいか?先急いでんだ!」
圭吾はサナの手を取り、前へと歩き出す。しかし鳥男は圭吾の前へと立ちはだかる。
「なぜ行く?私がいるだろう?」
「だからめんどくさい!先行きます!」
鳥男を置いていき、圭吾は先へと歩き出す。圭吾はさっさと済ませて家へと帰りたいのだ。
「お、おい!ちょちょちょ、ちょっと…ちょと待て待て!!えっ…おぃ…おい!普通はこういうのは戦うやつだろ?な、なぁ!考えてみろよ!」
先に向かって歩いている圭吾の隣で飛びながら圭吾に話しかけている。しかし圭吾は全く聞いていないようだ。
「この野郎!!何もしねェーなら!!こっちからするまでェ!!!」
鳥男は羽を広げて、圭吾に無数の羽をとばした。
「めんどくせェ!!バードが!!」
圭吾は羽を全部跳ね返した後、鳥男を綺麗に斬った。
「ぎゃあァァァァァァァァ!!辞めてェェ!!まだノーカン!ノーカン!ノーーーカァァァァァァァン!!!!」
鳥男は血を出しその場へと倒れた。一撃だ。鳥男は<鋭い羽>と<1000トレッド>を落とした。圭吾は羽を胸ポケットに入れ、トレッドは袋へと入れた。そしてまた前へと歩き出す。次第に役所らしき建物の影が見えてくる。ヨーロッパにでもありそうな建物で、無駄に豪華である。
「それでは中に入りましょう!」
「あぁ!」
(やっと着いた!早く終わらせて帰ろう!)
中に入ると赤いカーペットが敷かれていて、真ん中にでかいシャンデリアがどっしりと構えていて、全体的に上品な感じである。しかし周りにいる奴らは汗臭そうなおっさんばかり、しかしちらほら女性の方もいる。役場は完全にうるさい酒場みたいな感じだ。この雰囲気は圭吾が1番得意ではないものである。圭吾はどんどんと奥へと進んでいく。
「兄ちゃん新入りか?」
「可愛いねェちゃんもいるじゃねェーか!」
「こっち来て一緒に飲もうや!」
「があァァッハハハハハッ」
汗臭そうなおっさんの声を無視して奥へと進んでいく。そうすると一番奥に受付みたいな場所を見つける。
「あそこで確かめます!行きましょう!」
「あぁ…」
(あぁ…もう死にそう…息苦しくてたまらない…)
「すいません!」
受付の場所で声をかける。奥から返事が聞こえ、受付嬢が出てきた。金髪でおとなしい顔つきだ。
「はい!何でしょう?」
「えっと勇者カードの確認を…」
「はい!!分かりました!!少々お待ちください」
受付嬢は近くにあるパソコンのキーボードをすごい速さで打ち始めた。そして少しすると圭吾の近くにあった機械が光り出す。
「ではそこにある場所に手をかざして下さい」
「はい…分かりました…」
圭吾は受付嬢に言われるままその機械へと手をかける。その機械に触れて少しすると、物凄い光が役場内を照らす。それはその機械から出ている光だった。受付嬢はパソコンを見て口を手で抑えとてつもない顔で驚いている。
(おい…まさか…やめろよ…このパターンは…)
「勇者さま…」
受付嬢がポツリと声を漏らす。それを聞いた瞬間に圭吾の顔は撃沈の顔へと変わる。役場内にいた人達は圭吾の周りに寄って釘付けになっていた。そして一瞬静かになり、その後大きい歓声が役場内に響き渡る。
「おおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
「勇者さまァァァァ!!!」
「まさか!!マジかよ!!」
「大スクープ!!勇者現る!!!」
圭吾は周りの人に度揚げされている。圭吾はもう希望を無くし、絶望していた。これで完全にニート生活からはおさらばだろう。しかしまだ諦めてはいけない。
「えっと…手違いじゃないかな…俺、そんなに強くないし…」
「やっぱり私の目に狂いは無かったんですよ!!凄い!!本当に凄い!!」
サナのこの言葉で完全に言い訳が効かなくなる。
「で…でも…」
言い訳の言葉を必死に探すがなかなか出てこない。
「今弱いとおっしゃってましたけどその胸ポケットにあるのは鋭い羽ではありませんか?あの魔物は確かLv.60ですよ!?」
「おぉ!!すげェ!!あの魔物倒したのかよ!!本当にすげー!!」
もう完全に勇者でない理由が見当たらなくなってしまった。ここで圭吾は挑発に乗らずあの鳥男を無視しておけば良かったと改めて思う。
「しかも見えください!!この結果を!!」
受付嬢が手をかざした時の結果を圭吾に渡す。そこに書いてあるものは目を疑う物だらけだった。Lv.MAXで、全てのステータスもMAXだった。これは言ってしまえば無敵で最強だった。なんで自分がと思ってももう遅い、完全に人々に勇者と称えられてしまった。
「少し待っていて下さい!」
受付嬢は後ろへと走っていく。待ってやらずに今すぐ逃げ出したかったが、ここで逃げたら捕えられてしまう。どうにかニート生活を見つけ出すことだけを考えていた。
「すいません!お待たせしました勇者さま!これをどうぞ!」
受付嬢が持ってきたのは<1000000トレッド>と<ブレイブソード>と<ブレイブアーマー>だった。完全に勇者装備だ。しかしトレッドがこれだけあれば生活には困らないだろう。ここから圭吾はどうやってニート生活を送っていくのか楽しみである。肩を落としながら圭吾は外に出る。
「じゃあ行くか…」
( もうお昼か…めんどくさいけどしょうがない…約束は守らないと)
「はい!ご飯ですね!!」
サナはニッコリして歩き出す。そして圭吾達は馬車を使い、食事処まで行くことにした。
「着きましたね!ここは安くて美味しくて量がある私のお気に入りの食事処です!」
食事処は役場よりは大きくないがとても大きく、これもまたヨーロッパの雰囲気を醸し出している。中に入ると少し薄暗いが、外から出てくる陽の光がとても店内をよく照らしてくれている。店内はとても綺麗でお洒落だ。ここが安いものを出すなんて考えられない。圭吾は席に着くまでに周りの人のざわめきを感じ取っていた。もう勇者が誕生した事が広がっているようだ。流石に情報拡散が早すぎる。圭吾は席につくとメニューを隅々まで見通した。そして驚くのだ。一番高い料理でも1000トレッドだからだ。
「本当に安いな…凄い」
「私も初めてここに来た時はビックリしました!!」
その中でも目に止まったのは「カーラーアーゲーセット」である。完全に唐揚げセットだろう。しかもその値段が400トレッドという脅威の安さ、驚きを隠しきれない。圭吾はそのままそれを頼んだ。サナは「パースーター」を頼んでいた。パースーターは種類が選べるようだ。サナはミートーを選んでいた。ということはミートパスタだろう。これも400トレッドである。待っていると料理が運ばれてきた。その大きさに腰を抜かしそうになった。唐揚げセットの方は唐揚げがピラミッドのように積まれていて、ご飯の量がお茶碗をはみ出している。逆にこれで400トレッドは何か疑ってしまう。
「凄い…想像の遥か上だよ…」
(これは来てよかったかもな…最高だ!!)
「あ!私のも来ました!」
サナのミートパスタも運ばれてきた。ミートパスタの方も完全に3人前くらいある。絶対食べきらないだろう。しかし唐揚げセットもミートパスタもとても美味しそうだ。唾液が溢れ出してくる。
「じゃあ頂きます…」
「はい!頂きます!」
唐揚げを1口頂く。電撃が体に走った。
美味すぎるのだ。こんな美味いもの食べたことがない。ご飯も1口頂く。ご飯もまた今まで食べた白飯の中で1番の美味さだった。
「最高だよ!!」
「気に入ってもらえて嬉しいです!」
サナは圭吾が気に入っているのを見てとても嬉しく笑っている。その後も圭吾はどんどんと口に入れていく。そしてあっという間に食べ終わってしまった。お腹にあれが全部入ったのは少しビックリした。しかしサナのは少し余っている。やっぱり女の子にはこの量はきついようだ。
「大丈夫?」
「あっと…えっと…お腹いっぱいです…ごめんなさい…食べられるようだったら食べてもらえます?」
「あぁ!大丈夫だよ」
そう言ってサナのミートパスタも全て残さず食べてしまった。
「あぁ!美味かった!」
「はい!美味しかったです!」
「じゃあ帰るか!」
「はい!」
圭吾はその場に立ち、お会計へと歩き出す。
「お会計は全部合わせて800トレッドになりまーす」
「はい…分かりました」
圭吾は自分の袋から800トレッドを取り出す。
「ちょっと待ってください!私の分はちゃんと払います!払わせてください!」
「あぁ大丈夫だよ!いっぱいあるし」
「でも!」
「ここを紹介してもらったのと家の2階に住ませて貰っているお礼だと思ってほしい!だから俺に払わせてくれ!いいかな?」
(俺もこのくらいはしないといけないな…)
「わ、わかりました…ありがとうございます」
そうしてその店を後にした。帰りの馬車ではこんな話をしていた。
「俺は実は言うと勇者になるの少し嫌なんだ…」
(絶対に嫌なんだ!!本当はニートだから!!)
「何でですか?そんな強いのに!」
「勇者になったらサナと別れないとだろう?それはやだな」
(これは本心だけど!これ以外にニートがいいからじゃぁぁ!!これで家を出なくて住むかな?)
「ほ、本当ですか!嬉しいです!」
サナは恥ずかしくなり顔を赤らめる。好意を持っている相手からそんなことを言われたら恥ずかしくなるのが普通だろう。
「じゃあ!それなら私も着いていきます!だったら大丈夫ですよね?」
「えっ!?あ、あぁそうだな…でも危ないよ?」
(最悪な展開だ!!まさに最悪!)
「危なくても大丈夫です!!」
「あぁそうか…あははは…まず家に帰ろうか…」
(もう駄目だ…せっかくのニート生活!!おさらば)
「そうですね!」
こうして圭吾とサナの冒険が決定した。