第1話 異世界転生してもニートがいい
少しシリアス要素がありバトルが白熱するMultipleに比べギャグ的要素の詰まった異世界系の話を作りました。是非見てください。
「あぁ〜あ眠ィ…」
薄暗い部屋の中で1人の男が頭をかきながら目を覚ます。この男はどこにでもいるような普通人間、23歳の林圭吾だ。こいつは毎日自宅警備の仕事をしているいわゆるニートだ。人生を諦めたクズ人間だ。そんな圭吾は親の金で生活している生粋のクズだった。圭吾のモットーは働かず生きていくというものだった。
「OK!時間ばっちし!!コミケレッツゴー!!」
圭吾はカーテンをちらっと明け光が出た瞬間吸血鬼の様に嫌な顔をしてカーテンを閉める。今日圭吾は初めてのコミケデビューなのだ。圭吾はあまり外に出ないやつだがコミケだけは別だ。だから圭吾はテンションがいつもの倍に膨れ上がっていた。
「良し!!準備万端!!飯はあっちで食べるかな…」
圭吾はコミケに行く準備が出来ると物凄い勢いで階段を降りていき思い切り外へと飛び出していく。圭吾の母、林加奈は久しぶりに圭吾が外に出ていくのをみて驚いている。
「あんな元気あるなら仕事してほしいものだわ…」
母は圭吾に呆れた声を漏らした。
圭吾はどんどん駅まで走っていく。内心ドキドキしまくっていたが何故か今は体が軽かった。
「うふふふふふふふふっっうふふふふふふっっ」
完全に今圭吾の顔を見た人は圭吾のことを犯罪者だと思うくらいとても気持ち悪い顔をしている。それほど圭吾のテンションは高かった。そして駅へとついた。しかし普段圭吾は外に出ることはないので電車の乗り方を知らなかった。券売機の前であたふたしているとうしろで待っている人から
「おい!!おっせぇーよ!!ふざけんな!!早くしろ!!」
と怒鳴られたが今はそんなこと気にしていないなぜなら自分は人生の中で今1番楽しいのだから。しかしこの状況を何とかしないとコミケにたどり着くことさえできない。
「アァァ!!もう!!!分からない!!!」
「大丈夫ですか?」
ふと可愛い声が耳に入ってきた。声がする横を見るとそこには黒髪で目が透き通っている可愛い女性が立っていた。
(かわいい!!可愛すぎる!!何なんだよ完全にコミケ最高!!)
まだコミケにも行っていないのに全てコミケがあるお陰だと思っている。その女性は優しく圭吾に券の買い方を教えてくれた。
「あ…あっ…あと…えと…おりがとう」
(やばい!!女の人と喋るの中学ぶりでありがとうをかんでしまった!!)
圭吾は緊張しすぎて完全に変態だ。そして圭吾の高校生活は地獄だったということが分かる。
「はい!どういたしまして!では!」
そう言ってその女性は行ってしまった。圭吾はその女性を見ながらぼーっとしていたがふと我に帰った。コミケに行く電車は4番線だった。圭吾が4番線へと向かって行くと次第に人の量は2倍、3倍と増えていった。普段外に出ないニートにとっては人混みが嫌いだった。何故人がたくさん行くコミケに行こうと思ったのは不思議だが圭吾はとても人混みが好きではなかった。
(あぁぁぁぁ…やばいやばい…人多すぎだろぉぉ…)
どんどん人が多くなって4番線に着くともうそこは人が多すぎて身動きが取れないほどになっていた。圭吾の心臓は動機が激しくなり息がしづらくなってくる。
(やばい…やばい…やばい…やばい…おかしくなる…あぁぁぁぁ…)
圭吾は完全にパニック状態に陥ってしまった。もう自分が息をしているのかどうか分からない。完全にコミケに何故行こうとしたのか今後悔した。
(もうだめだ…耐えられない…やばい…やばい…やばい…あぁ…あぁ…あぁ…あぁ…)
圭吾はふらふらしながら近くにいる人をはねのけて走り出す。完全にこの状態に耐えられなくなってしまったのだ。そして電車が来るのアナウンスがなった。
「電車が参ります。ご注意ください。危ないので黄色の線までお下がり下さい。」
パニックっで圭吾にはもうそのアナウンスは聞こえていなかった。圭吾はどんどん人をはねのけて走っていく。もう自分が何処を走っているのか分かっていない。そして4番線に電車が入ってくる。それと同時に圭吾は足を踏み外す。そこはもう地では無かった。電車はもう目の前まで迫っていた。
(おい…電車…最悪だ…死んだ…)
完全に死んだそう思った。少し時間の流れが遅くなっているような気がした。周りを見るとみんな驚いた顔をしていた。そしてその人混みの中にはさっき自分を助けてくれた女性の姿もあった。
(あの人もコミケ目当てだったんだ…あーあ…恋もできず死んでいく…)
その瞬間電車に圭吾は轢かれた。
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「う、うーん…なんだ…俺死んで無いのか…」
圭吾は目を擦りながら周りを見るがいまいち良く見えないしかしひとつ分かることは自分が生きている事だ。死ななくて良かったと思いながら下に違和感を感じる。
「あれ…なんだ…芝生?おかしいな…」
地面の感触は完全に芝生だった。駅だったらとても硬い地面に決まっているがここは駅では無いのかと疑問を持ち始める。次第に周りが見えるようになってきた。
「なんか眩しいな…おかしいな…」
圭吾は眩しくてしっかりと目を開けることが出来ない。しかし手を当て影にして周りを見ると驚きの顔へと変わる。
「おい…ここ…どこ…」
周りを見るととても綺麗な青空の中とても眩しい太陽、とても爽やかな風が吹いていてとても空気が美味しい。自分は真緑の芝生の上へと横になっていた。
「う~ん…天国か…い〜ね〜......」
「って!そんな訳あるかァァァア!!!!!!なんだよこれ!!天国なわけねェーだろ!!俺はどっちかというと地獄だろ!!」
親不孝の働かないニートは地獄に行ってもおかしくないだろう。しかしそんなことは今はどうでもいい事だが圭吾は一瞬で自分の今の状況を理解した。
「そうだな…異世界転生…最高じゃねェェェェーか!!!!新たなニート生活始まるぅぅぅ!!」
手を上に上げながら異世界転生を喜んだ。今圭吾が1番気になっているのは自分がどのような姿、顔に変わっているのかだ。圭吾の初めの目的は自分の姿を確認することへと決定した。
「まずはどこかの街で自分の姿を見て…寝る場所確保しなければニートの生活が始まらん…」
圭吾は近くに落ちていた木の棒を持ってブンブン振りながら周りを見渡す。そうすると奥にでかい街がうっすらと確認できた。
「おぉ!!さっそく街発見!!運がいい!!」
そうして圭吾はその街へと歩き出していく。数分歩いただけで圭吾は疲れたと言って近くの岩に座り休んでいた。そうすると1つの生物が近づいてきた。
「うぎゃっ!うぎゃっ!なんだお前は!!旅人か?殺してやる!!」
そいつはでかいオークだった。
「おぉ…でかいな…めんどくさい…でもここに来てお金がないんじゃ何も買えやしない…小遣い稼ぎでもしとくか…」
そう言って面倒くさがりながらもお金ほしさに立ち上がり木の棒を持つ。
「おいおい!!その棒で勝つのか!?ふざけんなよ!!そんなんで俺様に勝てるかよ!!うぎゃっうぎゃっ」
「火よでろ」
ボウっ
「えっ…」
オークが驚きの声を漏らす
「でた…」
圭吾が木を振るとそこからどでかい火の玉が飛び出した。ダメ元で木を振ってみたがこんな強い攻撃が出るとは圭吾も予想していなかった。
「アッチぃぃぃぃ!!!おい!!ふざけんな!!アチっアチっアチィィィ!!!出番もっとくれよォォォォォ!!」
オークは丸焦げになって消えた。オークの所にはお金らしき物と武器が落ちていた。
<シンプルソード>と<1000トレッド>を圭吾は手に入れた。シンプルソードを後ろへと背負いまたそこから歩き出す。
「ちょっと待ってそこの人!!」
振り返るとそこには女性が立っていた。ショートカットで白い髪の17ぐらいの女の子だ。結構例のものも存在している。
「どうした?」
完全にかっこつけながら答える。
「あの今の見たんです!!物凄い強いですね!あのオークいつもここらへんに出没してみんなを悩ませていたんです!!本当にありがとうございます!!」
「ふ~ん…そんなに強いのあのオーク?」
「はい!Lv.60です」
「Lv.60……ハァ!?Lv.60!?嘘でしょ!?ほんとに!?俺簡単に倒しちゃったけど!!あんなのザコ敵だと思ったけど!?」
「ザコ敵とは…本当にお強い方なのですね!!名前聞いてもよろしいですか?」
「俺の名前は林圭吾だ!よろしく!そっちは?」
「林圭吾さん…変わった名前ですね…私はサナと申します!それで少しの気持ちなのですが私の家でお礼をさせて下さい!!」
(お礼!?いーねー…いいものをお待ちしておりますぞ…)
そうして圭吾は近くの街へと入っていく。
<始まりの街>と書かれた看板の入口まで着いた。
「始まりの街か………おい!!!!何で始まりの街周辺にLv.60の敵がいるんだよ!!おかしいだろ!!ゲームだったらクソゲー確定だよ!!」
「すみません…最近勇者が魔王に倒されてしまい…勇者がいなくなった今魔王軍はどこにでも出没して金品や食料を奪っていくのです…」
「そういうことか…勇者さん使えんなー」
「じゃあさっそく入りますか!」
「じゃあ家まで案内してくれよ!」
そうして圭吾たちは街へと入っていく。そうしてサナの家まで着いた。しかしサナの家の前にたくさんの敵がウヨウヨしていた。
「おい!!よこせよ!!金品!食料!全て俺たちのものだァ!」
「ごめんなさい…ないのです…ごめんなさい…」
今サナの家はゴブリンの三兄弟に襲われていた。サナの母が必死にゴブリン達に頭を下げている。
「お母さん…どうしよう…圭吾さん…助けて下さい…お願いします…どうか母を!!」
サナは圭吾を見て涙目になりながら一生懸命お願いする。
(えっ!?…おいおい待て待て…この流れ戦わないとだめなの!?あまり動きたくないんだけど…めんどくせェ…でもな…ここで倒さないと本当のクズだな…)
「分かった…助ける…」
圭吾はサナを見てにっこりと笑い背中にささっているシンプルソードを抜きゴブリンたちに近づいていく。
「ねーねーお兄さんたち…何してんの?」
「はぁ!?誰だお前?話しかけてくんじゃねーよ!気持ち悪いんだよ!!」
「はぁ?」
プツン…完全に怒りを抑えることができなくなり物凄い速さでシンプルソードを握りゴブリンに斬り掛かる。そして1体目は簡単に粉々にしてしまった。
「おい!!弟よ!!お前ふざけんなァ!!」
「馬鹿にするからだろ!?」
「そんなに馬鹿にされるのが嫌なのか?ばーかばーか!!お前のかーちゃんでーべーそー!!」
「もっと真面目に馬鹿にしろよォォォォォォ!!!」
2体目もシンプルソードで簡単に粉々にしてしまった。
「良くも…良くも弟たちを…お前ェェェ…」
「1番お前が年上か…いい戦いになりそうだな…」
「嫌ぁぁぁぁぁぁ!!!逃げろォォォォ!!弟がやられたァァァァ!!!」
最後のゴブリンは後ろを向いて一目散に走って逃げていく。
「はぁ!?あいつ1番上だよな?一目散に逃げたぞ!?兄さんやめちまえよ!!」
そうして圭吾はゴブリン三兄弟に勝利した。戦利品は50トレッドだけだった。
「ありがとうございます…私はカナと申します。サナから今全て聞きました…とてもお強いのですね…ぜひ上がって下さい」
カナもサナと同じ白髪でとてもサナと似ていた。圭吾はそうしてサナの家へと入って行った。圭吾は中のリビングの様な所のソファーに座って待っているとカナがおぼんを持って入ってきた。とてもいい匂いがした。
「おぉ!!ご飯か!!凄い美味しそうな匂い!!」
「はい!その通りです。カーニーという甲殻類を茹でた食べ物です。結構高級食材なのですよ」
圭吾はヨダレを拭きながらか食べ始める。圭吾は蟹を食べたことが無かったのでカーニーの味が蟹の味と似ていることもわからなかったがとても美味しかった。
「美味い…美味すぎる…なんだこの奥から来る甘み…」
圭吾はそうしてカーニーを全て平らげていった。
「あぁー食った…所でカナさん相談なんだけど…ここらへんに泊まることのできる宿ってないかな…」
「えぇ!?そんなこと言わずにここに泊まればいいと思います!!」
横からサナが声を出す。
「それはカナさんにも悪いと思うし…急にこんな人が泊まると色々面倒なことがあると思うし…」
(キタキタキタキタ!!!完全にニート生活まっしぐらァァァァ!!このまま否定してくれサナさん!!)
「そうですね…圭吾さんも急に知らない人の家に泊まるなんて嫌ですものね…」
サナは圭吾に納得し始めている。
(おいおい!!頑張ってサナさん!!引き止めて!!引き止めて!!引き止めてェェ!!少し訂正しておくか…)
「いや…でも嫌なわけでは無いよ…全然平気なら泊めては欲しいけど…」
「そうですか!?じゃあ泊まってください!!是非!!いいよねお母さん?」
「うん!是非!」
サナは顔を赤くしながら喜ぶ。カナもまた喜んで圭吾を泊めることを許可してくれた。
「じゃあ…そうさせて貰おうかな…」
(キタキタキタキタァァァァ!!神ィィィィィィ!!!)
そうして圭吾はサナとカナの家の2階へと住むことが決まった。