表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
90/144

玉置誠二 その9

人物紹介

カイル・ベルセック:デルリカの異母姉弟。絶対勇者という称号を持っている。

―玉置誠二 その9―


さて、ヒッチコック伯爵との熱い友情を確認したところで教室にもどろうかな。

そう思ったが、岩のゴーレムが動き出すのが見えた。


「おお、ついでなんでライバルの性能を確認しましょうよ。」

ヒッチコック伯爵はニヤリとして頷く。

「そうであるな。お手並み拝見と行くか。」


ゴゴゴと不思議な音を立てながら岩ゴーレムは歩き出し、ブン、ブンと棒を振った。

別の岩ゴーレムは岩を投げる。


うん、大したことないな。

俺は伯爵に申し訳ない気持ちで謝った。

「すいません、見る必要もないレベルでしたね。」

「まあ確認は大事であろう。昔は巨大ゴーレムが出ると恐ろしかったもなのだが。時代が変わるという事であろう。残酷であるな。」


俺は頷いた。

たしかに槍を持って突撃する先にアレがいたら絶望するしかないかもな。


まあ、今は魔法も手に入れたから怖くないけど。

見るものをみたので教室に戻るか。


俺たちは今後の事を話し合いながら教室に戻った。





学園が終わったあと、ヒッチコック伯爵もビグニー家にやってきた。

ヒッチコック伯爵に一子相伝の権利を使うとナガミーチさんに報告をしたら、だったら一緒に来ればいいと誘われたのだ。


帰り着くと、俺たちは熱く巨大ロボに情熱を燃やしたいことを語った。

すると、意外な答えが返ってきた。


「巨大ロボットなら、初期設計まではしたんですけど挫折した事があるんです。ですから実現してくれるなら楽しみです。」


ヒッチコック伯爵が驚いて聞き返す。

「ナガミーチさんが挫折したのか?では難しいのだろうか。」


するとカラカラ笑われた。

「いえいえ、当時、試作品を作っていたら旦那様が勝手にいじって壊してしまったのです。それ以来研究室に入らないモノは作らないことにしたんですよ。技術的には全方位で解決していますよ。」


そういうと空間収納から、一冊のノートを出してきた。

「素材、関節機構、駆動用回路、魔道動力、操縦システム、コントロール用OSは、一応考案はして有ります。50%以上は少女型を作るのと同じ理屈です。あ、巨大ロボット作るならそのノートあげますので使ってください。」


受け取ってみてみると、合体変形機構まで構想に入っている。

さすがナガミーチさんだ、すでにほぼ完成されている。

とくにコントロールのOSは芸術的だった。


「このノートはありがたく使わせていただきます。」


いきなり研究が進んだ。

そして今日も普通に魔法の授業が始まった。


ヒッチコック伯爵は、超初歩状態なので今の授業にはついてこれないから、遊びに来ていたデルリカさんの弟のカイル君が手伝ってくれた。さすが勇者、助かった。


授業が一区切りついたところで、カイル君がナガミーチさんに言いにくそうに告げる。

「ナガミーチさん、あの、ヒッチコック伯爵なのですが…どうも魔力が低い体質のようで最小限の魔法しか使えそうにありません。」


それを聞いて、ヒッチコック伯爵は俺に頭を下げる。

「友よすまん。大事な一子相伝の権利を使ってくれたのに、われには素質がないようだ、なんと詫びればいいのやら。」

俺は慌てた。

「頭を上げてください。そんな気にしないでください。」


すると、当たり前のように授業の場にいたデルリカ様がパチンと扇子を閉じた。

「魔力が少ないなど気にする事はございませんわ。少なくてもナガミーチよりは魔力的素質はあるようですもの。」


その言葉に驚いて全員がデルリカ様を見た。

俺は、無意識に声を荒げてしまう。

「それはないんじゃないですか?この大魔道師が魔力的素質がない?ナガミーチさんの指導でビレーヌ様だってたった一ヶ月で超一流になれましたし、ナガミーチさんの実績だって桁外れじゃないですか。」


デルリカさんはクスリと笑う。

「ではこのなかで、ナガミーチの大魔法を見たことがある人はいるんですの?ナガミーチはいつも道具を使うか、大天使様にお願いをすることばかりです。魔力が足りないので自力では浮遊魔法ですら出来ませんのよ。」


衝撃を受けた。

嘘でしょ。


するとナガミーチさんがデルリカさんの言葉を引き取る。

「だから僕はゴーレムを作ったんです。僕自身の魔力よりも、魔法の知識や技能でどうにかなる分野ですから。そのあと魔力の補助をしてもらうために精霊魔法を思いつき、人工精霊を作りました。で、ゴーレムと人工精霊を一つにしたのがインテリジェンス・アーツのゴーレムなわけです。」


そこでカイル君が驚きつつ口を開く。

「でもナガミーチさんは僕らと一緒に何度も魔物と戦ったじゃないですか。」


するとデルリカさんがクスリと笑った。

「カイル、良く思い出してごらんなさい。ナガミーチの閃光音響弾やショットガンはナガミーチの作った魔法道具でしたが、魔法の直接行使ではありませんよね。それに転移魔法などをするときは、大抵は抱えたマリーにやってもらってましたし。ナガミーチはいつも自分以外の力を使っていましたよ。」


そこでカイル君はハっとした顔になる。


そのカイル君にナガミーチさんは優しく肩を叩いた。

「僕はカイル君の足元にも及ばない才能です。でも工夫をして今までやってきました。最近はやっと上級魔法も使えるようになりましたけど、それはフレンツ公国を利用して700もの人口精霊を手に入れてからです。つまり最近なんですよ、自分で強い魔法が使えるようになったのは。」


俺もヒッチコック伯爵も開いた口が閉じられなかった。

つまり、ナガミーチさんは魔道師の才能的にはこの中で一番下って事か。


驚く俺たちにデルリカ様は、本当に誇らしそうに微笑む。


「どうです、ウチのナガミーチは尊敬できるでしょ。才能のなさなんかに負けない、努力と工夫の人なのですよ。でもそんな事を全くグチりもせず、ただ楽しそうに努力していたから、だれもナガミーチが才能の無さに苦しんでることなんて気づけなかったのです。凄いでしょ、ワタクシのお兄ちゃんは。」


ふふんと胸を張って自慢げだ。


ヒッチコック伯爵は、先ほどの絶望的な表情が嘘のように目を輝かせている。

「そうであるな。まずは出来ることをすればいいのである。気長にコツコツと出来ないことができるように努力を続ければいいのである。簡単なことである。」


俺も笑顔が出てしまった。

「そうですよ伯爵。俺たちはナガミーチさんよりも才能は有るんです。ここで絶望するのは贅沢と言うものです。」


「そうであるな。弱気な事を言ってすまなかった。上り詰めようぞ。」

「はい、巨大ゴーレムを作りましょう。」


そのあと、みなで少し雑談した後にヒッチコック伯爵とカイル君は帰宅していった。


さて俺も寝ようかな。

そうおもって自分の小屋でゴロリとした。

今日は、心が震えるようなお話を聞けたな。

ワンド子はいつもの位置に座ると、ジッと俺を見つめる。

そこで、ちょっと疑問がわいた。


「ワンド子ちゃんはさ、いつパンツ子動画とかみていたの?いつも俺と一緒に居るけど、そんな動画を見ていたのに気づかなかったよ。」


するとニコリと返してきた。

「今も見ていましたよ。私はマルチタスクなのでセイジー君を見守りながら、脳内では動画漁りや、面白いトピックスやマンガをチェックをしています。」


なにその羨ましい機能。

「ねえ、なんか面白そうなのがあったら俺も見たいんだけど、どうやったら見れるのか分かる?」


「<携帯念話>の上位スキル<スマート念話>を利用すれば見ることが出来ます。なんでしたらお父さんに頼んで、もっと高機能な<魔道PC>か<魔道タブレット>を入れてもらえば、もっとスムーズに探せると思います。」


ナガミーチさん、完全に日本のWEB環境を再現しにかかってるな。

もう時間が遅いけどいいか、今すぐ頼みに行ってみようかな。


小屋を出て、ノックして研究室に入る。

すると、ナガミーチさんはノートPCで仕事をしていた。

「あのナガミーチさん、相談があるのですが…」


するとナガミーチさんはコッチに振り返る。

「はい、どしました?」


デルリカさんとマリーちゃんがベッドに座って俺を見ていた。

無言の圧力で『遅い時間に来るなよ』と言われてるのが分かる。


でも、俺は好奇心を満たすために、おして通る。

「あの、魔道のWEBネットワークがあると聞きました、それを利用したいので<魔道PC>か<魔道タブレット>をもらえないかとなーというお願いなのですが。」


するとデルリカさんが立ち上がる。

「ナガミーチ、そういえば斧江(デルリカの持つインテリジェンス・アーツ)も同じ様な事を言っていましたが、魔道WEBネットワークとは何ですの?」


ナガミーチさんは自分の<魔道タブレット>を起動させて見せてくれた。


「魔道WEBネットワークは、登録した人が使える情報のサロンみたいなものです。今は実験の為に人工精霊にだけ実装しているですよ。」

「ナガミーチ、ワタクシにもそれを使わせてください。」

「はいはい」


ナガミーチさんは精霊魔法「ハッキングちゃん」という空間命令魔法を起動し、デルリカさんと俺に<スマート念話>と<魔道タブレット><魔道PC>をインストールしてくれた。


デルリカさんはナガミーチさんの椅子に無理やり一緒に座り、<魔道PC>の使い方を教えてもらいはじめる。

「ナガミーチ、この『ぶらうざー』というのを起動させればよろしいんですの?」

「そうですよ、そんで見たいサイトを指定すればそこにいけますので、ユックリ見てください。」

「ナガミーチ、字がうまく打てません」

「慣れてください。こればっかりは訓練ですよ。」


邪魔をしては悪いので、俺はこのまま退散することにした。

「ナガミーチさん、ありがとうございました。」


小屋に戻ると、さっそく<魔道タブレット>を起動して魔道ネットワークに接続してみた。

すると検索サイトが現れる。


なんか久しぶりのWEBはワクワクするな。

そしてスグに『動画 巨大ゴーレム』で検索してみる。

39件もヒットあり。


すぐにそれを再生してみた。

動画では、あのウスノロの岩ゴーレムが騎馬や歩兵に無双しているものだった。

大きな木を引っこ抜いて、それをホウキのように左右に振りながら人を蹂躙している。

デカくて硬くてパワーのある岩ゴーレムは、軽々と兵士達を駆逐していく。

今までは、最大の虎の子といえる兵器だったのだろう。


まずはあの岩ゴーレムに勝たないとな。

気を引き締めなおした。


あらためてナガミーチさんがくれた大型ゴーレム設計のノートを見る。

そこで、ひとつ改めてメチャクチャ感心した箇所がある。


ナガミーチさんは大型ゴーレムもメイド形態でデザインしていた。そのことは本当に感心した。

お読みくださりありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ランキングアップのために、↓↓クリックしてくれると嬉しいです↓
小説家になろう 勝手にランキング

新作
「異世界に行きたい俺たちの戦い ~女神さまは無責任~」
もよろしくお願いいたします。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ