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玉置誠二 その4

人物紹介

セイジー:ひょろ長い体とキモい顔が特徴。女子高生に話しかけると100%逃げられる。

ナガミーチ:周りからはモテモテと思われているけど、それほどでもない。

ワンド子:魔法杖型ゴーレム。黒髪セミロングにセーラー服。セイジーと主従契約をした。

デルリカ:美女だけど33才。美女だけどバーサーカー。ナガミーチに逃げられて影で結構泣いた。

マリー:最高神マリユカ。長道に執着している。

―玉置誠二 その4―


教室に着くと、ナガミーチさんは俺に『廊下で待っていてもいいし、教室の後ろで待機しても良いですよ。オススメは教室で授業を聞くことですね。タダで授業受けられるとかお得ですから。』と言われたので、教室の後ろに立つ。


すると、二枚目の男が俺に近づいてきた。

「よ、あんたビレーヌ様と一緒に来たようだけど、ビグニー家の新しい使用人か?」


なんか、俺が思う貴族っぽい貴族だな。

庶民を下賎と見下し、偉そうにするタイプとみた。


なんて答えようか悩んでいると、目ざとく僕の持っている杖に目をやる。

「お、良い杖持ってるじゃないか。お前は魔道師か?どうだ、その杖を俺に売らないか?金貨50で買ってやるぞ?」


僕から杖を奪おうと手を伸ばす。

おもわずワンド子を抱きしめた。

「ダメです、これは師匠のナガミーチさんに貰ったものですから譲れません。」


するとその貴族は、驚いて伸ばしかけた手を止めた。

「え?・・・・ナガミーチって、あのナガミーチさんか?」

そういいながらビレーヌさんの横に立っているナガミーチさんを指差す。


「そうです、あのナガミーチさんです。俺は昨日ナガミーチさんに弟子入りしたので。」

その言葉に、いけすかない貴族は顔を引き攣らせて一歩下がる。


「そ、そうか。ではしょうがないな。いま私は無理やり杖を奪ったりしていないのは、分かってくれているよな。」


怯えてる?

「ええ、売ってほしいといわれましたが、奪われては居ませんが。」

「そうだよな。そうだよな。まあれだ。私はヒッチコック伯爵だ。何か困ったことがあったら力になると言いたかったのだ。なんか有ったら言ってくれたまえ。」

「ありがとうございます。俺はセイジーといいます。この杖はワンド子です。こちらこそよろしくお願いします。」


そこでさらにヒッチコック伯爵の顔が歪む。

「その杖は名があるということはまさか…、ナガミーチさん製のインテリジェンス・アーツかい?」

「はい、家では人型です。」


それを聞いて、ヒッチコック伯爵は深呼吸して落ち着つこうとしている。

「ふう、では無許可で触ればその杖は暴れたかもしれなかったな。危ないところだった、はっはっはっは。」


そういいながら、「では!」といって席に戻っていった。

ナガミーチさんの名は貴族もビビるのか。


すると今度は美しい女性の声が横からした。

「もし。宜しければお話よろしいいでしょうか?」


声の方を見た瞬間、心臓が止まりそうになった。


ふわりとしたブロンド美女…いや女神が立っていた。

まるで理想的な人形のような顔立ちに、透き通るような白い肌。

その場に立っているだけで、世界の全てが華やぐような美女だった。


「あ、あ、俺に用ですか?」

それが限界だった。

緊張して声が裏返った。


その女性はほころぶように微笑み頷く。

「はい。わたくしはベルセック候爵家のデルリカと申します。先ほどのお話が聞こえてきましたものでお声を掛けさせていただきました。あなたはナガミーチのお弟子ということでよろしいでしょうか?」


「は、はい。お弟子でよろしいでしゅ。」

緊張し過ぎて、うまく喋れない。


するとデルリカ様は俺の手首を掴んできた。

「ひっ!」

驚きで変な声が出てしまった。

柔らかい手が俺の手首に触れる。


うおお、手首に全身系集中!


・・・その瞬間、手首がミシリと悲鳴を上げた。

「ひっ!」


今度は激痛で変な声がまた出た。

なんとデルリカ様がスゴイ握力で、俺の手首に悲鳴を上げさせたのだ。


痛過ぎて呼吸が止まり、それ以上声が出ない。

デルリカ様は柔らかい微笑のまま、ミシミシと俺の手首を締め上げる、握力だけで。


「セイジーといいましたね。アナタの手首はこれから引き千切れますが、恨むなら師匠のナガミーチを恨んでくださいませね。」


柔らかい笑顔は全く変わらない。

だから俺は混乱した。

いま俺の左腕は、砕ける直前っぽい。めっちゃ痛い。


なのに、目の前のデルリカ様は、まったく涼しい顔。

脳が現実を処理できないでパニックを起しそうになる。


そこで後ろからナガミーチさんの声がした。

「デルリカさん、その辺で勘弁してください。彼は僕と同郷なんですから。」

すると、すっと僕の手首からデルリカ様の手が離れた。


まだズキズキ痛む。ひびが入ったかも。

でも美女に握られて骨にヒビが入ったならご褒美です。今ならば分かります。


デルリカ様はナガミーチさんに可愛くむくれた。

「もー、ナガミーチ!なにもお屋敷を出て行くことは無いではないですか。ワタクシは文句があるのでしたら何時間でも正座して聞くと言いましたよね。文句も言わずに出て行くとか酷いですわ!」


その言葉を平然と受け止めるナガミーチさん。

「あはは、それはスイマセンでした。ちょっと思うところがありましてビグニー家にご厄介になっています。もうしばらく放置してもらえるとありがたいのですが。」


拗ねるようにナガミーチさんの腕を掴んで揺らすデルリカ様。

「いつ帰ってきますの?早く帰ってきてくれないと困りますわ。」


微妙な気持ちで眺めているとナガミーチさんが俺に説明してくれた。デルリカ様に腕をブンブンされながら。

「あはは、じつは僕の本拠地はベルセック家なんです。デルリカさんとも長い付き合いなんですよ。」



すると、今度は黒髪パッツンの美少女がナガミーチさんに抱きついてきた。

「ナガミーチ、マリーは反省したから帰ってきてくださいです。ナガミーチが一緒じゃないとご飯も美味しくないのです。ナガミーチが添い寝してくれないと眠れないのです。戻ってきてくださいよー。」


そのマリーちゃんを自分からベリっと引き剥がすと、にこやかに頭を撫でる。

「まあ、少し時間をください。そのうち帰りますからね。」


マリーちゃんは涙目でイヤイヤをしている。


なんだろう。

本当に無意識にナガミーチさんのボディにパンチを入れてしまった。

「ナガミーチさん、なんですかこの羨ましい状況は!ちょっと反省してください。」

「うごふ、どうしたんですかセイジーさん。」


俺は泣いた。

「ビレーヌ様だけだって羨ましいのに、デルリカ様に可愛く甘えられて、マリーちゃんみたいな美少女に添い寝をせがまれて、しかも美人メイドゴーレムに囲まれて!そんな人に腹が立たないわけ無いでしょ!ハーレムさんめ、反省してください!」


困った顔でナガミーチさんは口を開いた。

「僕は羨ましがられるほどハーレムではないですよ。サトミーさんとだって、メールや電話をする程度の仲で止まってるし。」


うおおおお!

もう一発ボディを殴った。


「サトミーさんて、あのトップアイドルのサトミー(佐山里美の愛称)ですか!アイドルと仲がいいなんて、どんだけ御大臣なんですか!これはナガミーチさんを羨ましいと思う全ての男達の怒りだ!」


さらに泣きながら再びボディーを殴った。

そして、俺はガクリと膝を突きさらに泣く。

「しかも鈍感系とか、俺たちの憧れシチュエーションじゃないか、ちくしょー。」


そんな俺に誰かが優しく手をかける。

見ると、沢山の男性が泣きながら俺を慰めてくれていた。


その代表のように、さっきのヒッチコック伯爵が優しい目で俺を見ている。


「セイジー、よくぞ私達の心の声を届けてくれた。この大魔道師様は本当に酷い人なのだ。この美女たち以外にも、銀髪ツインテの美女と食べ歩きしていたり。ゆるふわ巨乳美女にまとわり付かれたりしても『邪魔ですよ』とかいって追い払ったり。ずっとモヤモヤしていたのだ。このモヤモヤをよくぞ我等の代わりにぶつけてくれた。大義であったぞ。」


「ヒッチコック伯爵…」


そこからは言葉は要らなかった。

みんなで肩を抱き合って泣いた。


これは俺たちにしか分からない怒りなのだ。



数分後


ナガミーチさんがビレーヌさんの横に戻ったことで、俺たちは少し落ち着いた。

固い団結で、いまはヒッチコック伯爵の怒りを聞いていた。


「デルリカ嬢に求婚を繰り返しているとき、いつも当然のようにデルリカ嬢の手をとっているナガミーチさんが憎かったものよ。それで、デルリカ嬢を諦めてサトミー嬢に言い寄ろうとしたら、サトミー嬢は二言目には『ナガミーチPから恋愛は禁止されてますの。おほほほ』って言ってナガミーチさんに駆け寄って行ってた。今はビレーヌ様に言い寄ろうとしているのだが、そしたらあの状態だ。ナガミーチさんは本当に私に恨みでもあるのかと思ってしまうよ。」


「わかる、分かりますぞ伯爵。しかも本人が『僕は女性に恵まれていませんよ』とか本気で言うからまた腹が立つんですよね」


「その通りだよセイジー。君とは身分を越えた友人になれそうだ。」

「失礼ながら、俺も同じことを思っていました。」


なんか友情が生まれた。


そこで後ろから声を掛けられた。

「セイジー君、授業が始まりますからそろそろ下がりましょう。」

振り返ると、人型のワンド子だった。


ヒッチコック伯爵は目を見張る。

「おい、その少女はまさかインテリジェンス・アーツ・ゴーレムか?」

「はい、さっきの杖です。」


するとヒッチコック伯爵は悲しい表情になる。

「同志だと思ったのにな。まさかセイジーもそっち側であったか。」


「ちがいます、杖だって今日もらったばっかりですし。」

「では今日から、向こう側であるな。短い友情であった…。」


するとワンド子が不思議そうに首をかしげる。

「伯爵様はインテリジェンス・アーツ・ゴーレムを御所望ですか?ナガミーチお父さんは普通に売っていますから、購入されてはいかがですか?」


ヒッチコック伯爵の目が生き返る。

「まことか!値段はいかほどだ!」


ワンド子は思い出すような表情で少し考える。

「一番安いので、金貨10000枚+宝石5~6個+情念のこもった道具+大型の動物か魔物の死骸+金属のインゴット数本でした。」


伯爵は少し目をつぶる。

「高いな。しかし、ウチであれば用意可能だ。メイドと兵隊100人を100年雇う給料を最初に出すと思えば格安であろう。ならば迷う必要もあるまい。セイジーよ、どうやら私もそっち側にいけそうだ。」


俺は安堵で微笑んだ。

「ようこそ、伯爵様」


俺たちは再び手を握り合う。

友情再び。


まわりから、微妙な視線で見られたけど気にしない。

それが俺たちの生き方だから。

お読みくださりありがとうございます。

ヒッチコック伯爵「これで永遠の乙女を手に入れた。私は勝ち組だ!もう生身の女子などいらぬわ。わはははは」


ナガミーチ「(涙を拭きながら)イケメンなのに…。伯爵には、割引してあげよう…。」

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