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大豊姫 その13

前書きで登場人物紹介。

ナガミーチ:さえない男性。大魔道師と呼ばれているが、あまり魔法を使わない。

マリー:世界の最高神・女神マリユカ。無邪気に我がまま。

ダイホー:大天使大豊姫。胸が大きいせいでナガミーチに距離をおかれている。

デルリカ:時々頭がおかしくなるが国一番の美女。33歳だが国一番の美女。

パンツ子:中学生くらいの外見をしたゴーレム。娘にしたいゴーレムランキング第一位。

―大豊姫 その13―


パンツ子ちゃんが黒猫を抱いてやってきた。

「あなたは大福司令官なの?」

「ナー」


猫は鳴きながら首を縦に振った。

うーん、もう少し証拠がほしいな。


パンツ子ちゃんの腕の中猫をのぞき込みながら、私も聞いてみる。

「ネコちゃん、首引きちぎっていいですか?」

「ニャニャニャ!ニャニャ!」

ネコは必死に首を横に振る。


うん、言葉は分かるみたい。


よし、良く考えたら確認してもやれることないや。

もうこのネコの事はどうでも良いや。


私はナガミーチさんを見る。

一生懸命ノートをみながら「おかしいな?どこがいけなかったんだろう?」と、辛そうに悩んでいた。


なんか、予想外の結果に焦っているみたい。

でも、ネコになったけど生き返っただけ凄いですよ。

励まそうかな。


そう思っていたら楽しそうにマリユカ様がナガミーチさんの肩を叩く。

「言い忘れていましたー。この世界は人間が生き返るのは絶対禁止が設定されているのでっすよお。一生懸命考えたのに、ナガミーチ残念でしたあ。だからネコとして蘇生したのは本当ギリギリ大成功ですよお客さん。あは。」


その言葉に、ナガミーチさんは物凄く目を見開く。

「ちょっと!僕が一生懸命研究しているときに横に居ましたよね。なんで教えてくれなかったんですか!。」


すると満面の笑みで飛び跳ねるように答えた。

「ナガミーチに意地悪したかったんですぅ。がっかりしたナガミーチ、面白ーい。」


その言葉を聞き、ナガミーチさんはさらにガックリした。

マリー様、それはヒドイのでは?


すると、ナガミーチさんはうなだれながら黒猫を指差す。

「じゃあせめて、あのネコを日本に返してあげてください。それくらいはお願いしますよ。」

「どうしよーかなー。帰そうかなー。帰さないかなー。」


マリー様はそんな事を言いながら、キャッキャとナガミーチさんの周りを回っている。

ナガミーチさんは大きく溜息をついた。

「お願いします。そして僕らもベルセックのお屋敷に帰りましょう。」


するとマリー様は黒猫の首の皮を無造作に握ると、ぶらぶら振り回すように持つ。

「じゃあこの猫は後で帰します。いまはベルセックに帰りましょう。」


いうなり転送魔法で、聖騎士もろとも消えた。

私も追いかけなくちゃ。


パンツ子ちゃんに顔向ける。

「パンツ子ちゃん、捕まえたデスシールの王族はフレンツのお城に連れ帰って。今は全員お城に戻るのよ。」

「はい!ダイホーさん!」


パンツ子ちゃんは相変わらず元気可愛いな。

その笑顔を確認し、私もベルセック邸に転移した。


一瞬でお屋敷到着!

最初に目に入ったのは、マリー様が黒猫を振り回して遊んでいる姿だった。

あれ?ナガミーチさんが居ない。


「マリー様、ナガミーチさんはドコにいったのですか?」

「あ、ダイホー。ナガミーチでしたら、聖騎士達のスキルをチェックするために教会に行きましたよお。すぐ戻ってくると思いますよ。」


そういいながら、放り投げた黒猫をキャッチし損ねて地面に落としていた。

むごい。


「マリー様、なんかナガミーチさんが不機嫌そうでしたけど、フォローしなくて良いんですか?」


おちた黒猫をまた放り投げながら、マリー様は微笑む。

「大丈夫ですよ、ナガミーチですもの。」


「信頼しているのはいいと思いますが、もう少し優しくしてあげないと怒り出しそうでしたが。」

「大丈夫でーす。その時は生意気なナガミーチに呪いを増やしちゃうから。あはは。」


そして、また黒猫をキャッチし損ねて地面に落とした。

ひどい。


私だけでもフォローした方が良いんじゃないだろうか?

ひとまず、ネコを虐待して遊んでいるマリー様を放置して教会に行ってみた。


10分ほど歩いた場所にある教会につくと、ナガミーチさんは礼拝堂の椅子に疲れた顔でもたれかかっていた。

あきらかに疲れ果てている。

そこにデルリカちゃんが近づいてきた。


私はスーと姿を消して見守ることにした。

疲れた人に、何人も近寄っては負担になるかもしれないと思ったから。


デルリカちゃんはナガミーチさんの隣に座った。

「ナガミーチ、今回の魔法は凄まじかったですわ。死んだものを別の動物にして生き返らせるなんて、ナガミーチ以外には出来ない偉業だと思いますの。」


おお、さすがデルリカちゃん。フォローに来てくれたのね。

でもナガミーチさんは辛そうな笑顔を作る。

「人は生き返らないのが世界の法則だって知らなかったんですよ。アホですよね。絶対出来ないことなのに自信満々で挑んで、いろんな人に協力してもらって、それで当然の結果として失敗です。笑ってくれて良いんですよ。。。。」


デルリカちゃんは優しく首を横に振る。

「ナガミーチは偉業を成し遂げましたわ。誇ってください。」


そこで何か言おうとして、ナガミーチさんはグっと言葉を呑む。

「ありがとうございます。。。」


デルリカちゃんは困った顔になった。

「ワタクシには、ナガミーチが何をそこまで思い悩んでいるのか分かりません。お話してくださっても宜しいのでは?三日でも四日でも愚痴につきあいますわ。ワタクシなら天界の秘密に関るお話でも話して頂いて大丈夫だと思いますし。長くなるようでしたらお菓子を用意いたしますよ。」


その言葉に少し口を開きかけて、また口をつぐんで頭を抱えた。

ナガミーチさんは、本当に何を苦しんでいるんだろう?


デルリカちゃんはナガミーチさんの肩をゆする。

「言えばいいじゃないですか。それはワタクシが知ってはいけない秘密ですの?」


するとナガミーチさんは首を横に振る。

「いいえ、いまさらデルリカさんが知ってはいけない内容ではないです。ですが・・・」

「ですが?」


一呼吸して、吐き出すようにナガミーチさんから言葉がこぼれた。

「僕自身の我がままな感情の問題ってだけですから。。」


そしてまた口を真一文字に結んだ。

簡単には言う気は無いってことね。


デルリカちゃんは悲しそうな顔になる。

「その悩みに、ワタクシは関係していますの?」


すると、ナガミーチさんは力なく笑った。

「それは関係ないです。ほんと僕の感情の問題だけですので。」

「そうですか。」


二人は黙って座って、目の前のマリユカ像を眺める。

3分くらい2人で黙って座っていた。


すると礼拝堂の扉が勢い良く開いた。

驚いて二人は振り返る。

私も振り返った。


そこに居たのは、黒猫の尻尾を掴んで、ブンブン振り回しているマリー様。

「ナガミーチ!仕事はまだ終わらないんですかあ?あっそっびっまっしょー。」


ニコニコしながら、ステップでナガミーチさんに近づいていく。

哀れな黒猫は礼拝堂に据え付けられている椅子にガンガンぶつかっているが、マリー様はまったく気にしていない。


あわててナガミーチさんが走りよる。

「マリーちゃん、ネコが死んじゃいますよ。折角生き返ったんですから無茶はやめてください。」


黒猫を取り上げたナガミーチさんは、すぐにポーションをかけた。

マリー様はそれが不満だったご様子。


「えー、大福猫の心配よりも、私の退屈の心配をしてくださいよー。そんな馬鹿な異世界人よりも私優先ですっ。」


一瞬、ナガミーチさんの顔が曇った。

でもすぐに、普通の表情になる。


「でしたら、まずは大福さんを日本に帰してあげてください。そしたら遊びましょう。」

「はーい、約束ですよー(無邪気にぱー)」


マリー様は黒猫を空中に放り投げる。

「アマテラスさん、ちょっと小さくなりましたがそちらに帰しますね」

『あらあら、おっけーね』


ひゅんと黒猫は消えた。


「さあ帰しました!あっそっびっまっしょー。」

「はいはい、じゃあ何してあそびましょうかね」


するとマリー様は、楽しそうに飛び跳ねながら抱きついた。

「じゃあ蘇生失敗の時のナガミーチの真似して遊ぶー。」

「ちょっとそれは、、、やめてほしいのですが。」


「うるさーい。ナガミーチのクセに逆らうのはダメです!逆らったら呪いを増やしますよ。」

「無茶苦茶なー。」


マリー様はそんな困った顔のナガミーチさんを見て、キャッキャと楽しそうだ。

その姿を見て凄く不安がよぎる。


デルリカちゃんも同じ事を考えていたらしく、独り言をつぶやいた。

「もしかして、ナガミーチの気持ちは限界が近い?」


私もそこが心配だ。

およみくださりありがおうございます。


次回、大福編・エピローグ。

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