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大豊姫 その11

―大豊姫 その11―


私がフレンツ公国に戻ってくると、事態は急展開をしていた。

なんと砂漠の騎馬帝国・デスシールが攻め入ってきていたのだ。


それなのに私が急いで朝議室に入ると、普通の会議っぽい落ち着きよう。

不思議だった。

「あのー、ダイホーですけど今帰りました。なんか落ち着いてますけど大丈夫なんですか?」


するとダリル大公は私を見て、冷静に頷いた。

「おー、ダイホー。良く戻ってきた。先の戦いで反対派の貴族が全滅しているのでスムーズに事が運び楽なものよ。兵力こそ減っているが、500ものインテリジェンス・アーツのゴーレムがいるのだ。楽な防衛である。これもナガミーチの策略どおりな気がして癪ではあるがな。」


ぜったいナガミーチさんは、そんな深いことを考えてないですよ。


でも私を席に座らせると、さらに深刻な顔で大公は話を続ける。

「しかも、デルリカとの戦いで大福を守ったお陰でゴーレムをさらに増やせる。ナガミーチはどこまで読んでいるのやら。恐ろしい男だ。」


『いや、ナガミーチさんはただのお人よしですよ。』

と、喉元まで出掛かってやめた。

折角ナガミーチさんの評価が上がっているのに、下げる必要もないよね。


すぐに私は、最前線のゴーレム軍の指揮をしている大福の副官に任命された。

でも副官とは名ばかりで、主たる任務は隙を見てゴーレムを増やすこと。


300体は増やすように指示されてるから頑張るぞ!


さっそく前線に向けて資材も積んだ馬車で移動を始める。

私と資材のの警護に、パンツ型の3姉妹が着いてくれた。


パンツ子ちゃんは、ナガミーチさんの指示で今はパンツ子改二と名乗っている。

『改』をと飛ばして『改二』なんだ・・・

まあナガミーチさんだから理屈抜きなのね。


馬車に揺られながら3姉妹と仲良く『デルリカトークショー』についてお話しながら進んでいると、馬車が急に止まる。

私は<高等探査>で周りを探る。

30人の野党に囲まれたらしい。

ただし野党のステータス表示に『真里有華の聖騎士』と出ているのは苦笑いが出た。

あの国も頑張るなー。


「パンツ子ちゃんたち、敵は真里有華の特殊潜入部隊みたいだから捕獲して。」

「分かりましたダイホーさん!私達、がんばります!」


パンツ子ちゃんは、内股で両拳を胸の前で握り締めるガッツポーズをした。

これは、パンツ子ちゃんおきまりのポーズだけど、可愛い!

こんど私も真似しようかな。


そう思っていたら、三女のシルクレースちゃんがポンとパンツ子ちゃんの肩を叩いた。

「パンツ子姉さん、気合入れているところ悪いのだが、私のロケットアームで、もう外の野党全員の手足をへし折った。終わったから様子を見に行こう。」

「ええええ、頑張ろうと思ったのにー。」


シルクレースちゃんはクールに苦笑いして「次は譲るよ」と言って外にでていった。

ま、どんまい。


外に出ると、手足を折られた野党(聖騎士)はすでに並べておかれている。

ロケットアーム、すごいなあ。


さて、拷問しようかな。

そう思っていたら、リボンパン子ちゃんが野党たちに近づき、パンツ脱皮で一枚パンツを脱ぐと、野党のリーダーっぽい人の顔にかぶせた。


え?ご褒美上げているの?


でも野党のリーダーは動かない手足をばたつかせ抵抗を始めた。

「やめろ!我を堕とすきか!」


リボンパン子ちゃんはさらに一枚脱ぐと、騒ぐ野党の口に突っ込んだ。

「たしか真里有華の聖騎士は、性欲禁止ですよね。でも騎士が小娘のパンツ程度でそこまで狼狽していて、イザと言うときに使い物になるとは思えませんが。」


さらに一枚脱ぐと、グイグイと野党のリーダーの鼻にパンツを押し付ける。

なにこの犯罪現場。

中学生くらいのセーラー服の女の子が、自分のパンツでオッサンを陵辱している。


すると今度は、シルクレースちゃんがオッサンの股間を踏んづけた。

「おい、股間が固まっているな。これは有罪だろう。残念だったな、お前は地獄行きだ。」


そう言いながら、さらにグリグリ踏みつける姿は、もう溜まりません!


すると、そこに転送魔法でマリー様を抱えたナガミーチさんが現れた。

お、ないスタイミングで来ますな。


「ダイホーさん、ちょっと相談が・・・・って、これはどういう状況ですか?」

ナガミーチさんは、倒れている野党たちと、その股間を踏むシルクレースちゃんをみて目が点になっている。


そこで私は状況を説明した。

「・・・という訳なんです。いまから拷問をするところです。」

「拷問?僕にはご褒美にしかみえないですが。」

「ですよねー。」


するとナガミーチさんはテクテクと野党のリーダーに近づき座らせる。

「あなたは敬虔な信者ですよね。」

野党のリーダーは目を伏せた。


ナガミーチさんは野党のリーダーにハイポーションを飲ませて治療すると、そっと微笑んだ。


「このままではあなた達は、国に見捨てられ、地獄に落ちて、誰も救われない。でしたら宗旨替えしませんか?。」


野党のリーダは目を吊り上げる。

「われらは邪教になど屈せぬ。マリユカ様以外に祈りはささげない!」


ナガミーチさんは静かに微笑む。

「もちろんです。僕もマリユカ様以外に祈りはささげません。」


懐から一枚の紙を出し、リーダーに渡した。

そこには、マリア・ベルセックが持つ教会の宣伝が書かれている。


「短い時間での決断を強いてしまい申し訳ありませんが、スキルに<マリユカの贔屓>を持ち、称号に『完璧』という言葉が入ったマリア様の教会に帰依しませんか? ここの宗派は性欲を否定しません。つまりココのマリユカ教信者になればあなたは無罪です。」


リーダーは『うっ』と少し唸る。

ナガミーチさんはさらに話を続ける。

「ベルセック家には『絶対』『究極』『完璧』『最強』の称号を持った人たちが居ます。信仰をするなら、権威にしがみつく真里有華の教会と、いま間違いなく加護を与えられているベルセックの教会。どちらがいいですかねえ。特別に今回はどちらを選ぶか決めるチャンスをあげます。」


数秒考えてリーダーは唸る。

「しかし・・・国許には家族が居る。私を殺してくれ。頼む。」


ナガミーチさんはその言葉を聞いて悪い顔になった。

「ちなみに国許から連れてきてほしい人がいたら言ってくださいね。すでに潜入させてある工作員に伝えれば2~3日でさらって来られます。で、お答えを聞いてもいいですか?」


すこし考え、リーダーは目をつぶる。

「その誘いに乗ったとして、われらはどうなる?」


そしてナガミーチさんの目が光った。

「ベルセックの聖騎士としてお招きいたします。そうなったらベルセック聖騎士として貴方達のお名前をマリア様からマリユカ様に紹介いたしますよ。教会の権威や名誉よりも直接的な名誉だと思いますが。」


最後にすがるような目を向けてくる。

「最後に、我らが納得できる証拠は無いか?頼む、納得させてくれ。」


するとナガミーチさんはマリー様と少しはなれたところにいく。

木の陰に隠れたので大天使イヤーで盗み聞きだ!

小さい声で『痛い。何するんですかー、ナガミーチ』と不満そうなマリー様の声がしたけど、どうしたんだろう。

すぐに戻ってきたら、その手には一本の水色の髪の毛があった。


「はい、いま天界から召喚したマリユカ様の髪の毛です。不滅の存在らしいんで、焼くなり斬るなり好きに試してください。」


それをポイっとリーダーに渡すナガミーチさん。

でもリーダーは手を震わせて受け取った。

「み、水色の髪の毛!聖髪?う、う、う、嘘だろ。」


なんか目をむいて見つめている。

するとそれをもって部下達に回っていった。


10分ほどして、リーダーは一本の髪の毛を恭しくナガミーチさんに返す。

「我らは、ベルセック家にくだりましょう。」


この事により、30人の野党(聖騎士)は仲間になった。


ナガミーチさんが空間収納から鎧や剣を与えると、30人はたちまち騎士らしくなる。

「あのナガミーチさん、そんな大量の武器や鎧をいつも持ち歩いているんですか?」

「あ、これ?これは先日貴族と戦った時に奪ったものなんですよ。修理してあるんで新品みたいでしょ。」


そういえば確かにナガミーチさんは、デルリカちゃんたちの後ろでコソコソ戦場のものを拾ってたっけ。

さすがナガミーチさん、無駄がないです。


すこし笑った後、急にナガミーチさんがハっとした顔になった。

思い出したように私の両肩を掴んでくる。


わ、どうしたの。

ナガミーチさんは目を血走らせてさらに私を覗き込んでくる。

近い、近い、近い。


「そうだ、相談があってきたんです!マリア奥様から聞いたんですけど、大豊姫さんは恋愛の大天使でもあるそうですね。どうにかデルリカさんに良縁を結べませんか?はやくお嫁に出したいんですけど。」


私は急激に冷静になった。

「それ、ちょっとひどくないですか?あんなに懐いているのに追い出すなんて。」

「何いってるんですか。デルリカさんはもう33歳ですよ。結婚適齢(平民なら14歳。貴族でも16歳。)を二倍以上も過ぎてるんですから、手遅れなくらいです。だから急がないと。そしてあわよくば愚痴聞き係りの交代を!」


「ナガミーチさん、最後に本音が出てますよ!」


とはいえ、ナガミーチさんの言う事もごもっともです。

美人でも、さすがにそろそろ結婚しないと厳しいよね。


でも私は悲しい真実を語らないといけなかった。

「ですが・・・私は子宝の加護はありますが恋愛の加護はないのですよ。恋愛は縁結びなので運命の操作の範囲。つまりマリユカ様の加護なんです。」


それを聞いて、ナガミーチさんは愕然としていた。

「そんな…。だったらマリーちゃんが『デルリカとはずーーーっと仲良しでーす』とか言ってたとしたらどう理解したらいいと思います?」


「…意訳しますと『デルリカは俺の嫁』という意味ではないでしょうか。」


もっそい驚愕の顔をした後、ナガミーチさんは魂の抜けたような顔になり、パタリとその場に倒れた。

上手くいえないけど、がんばってくださいね、お兄ちゃん。


道すがら、うっすら事情を話してあったパンツ型の3姉妹も事情を察したらしく、無言でナガミーチさん手を合わせている。

お弔いか!

と思いつつ、私も手をあせておくかな。

強く生きてくださいね、ナガミーチさん。


童貞の呪いだけでなく、ヤンデレ妹の呪いも受けるとか、同情しか沸きません。

もうこれ以上、その身に呪いが増えないようにと神様に祈っておきました。


その横で、マリー様が無邪気に微笑む。

「その祈りは無効です。だってナガミーチが生意気な事言ったら、また呪いを増やしちゃうもん。えへ。」


あ、神に祈りは届いていた。これはラッキーです。

ただ、明確に拒絶されたけど。


すると、マリー様は懐から、グルニエールの王から奪った宝石つきの杖を取り出し、無邪気に地面に大きな輪を描きだす。

うわ、そんな乱暴に使ってはダメですよ。式典の時に帰さないといけないんですから。

でも、ぽいっと捨すてられた杖が地面にカランカランと転がる。


「あはは、ここは私に任せて、みんなは先に進んでください。ナガミーチは本当に手がかかるなー。後は私が連れ帰っておきますね。聖騎士たちも転送しますからこの輪の中に入ってくださいな。(ニパァ)」


聖騎士たちが困惑しつつも輪に入ると、マリー様は楽しそうに叫んだ。


「今日のお夕飯はクリームシチュウです!」

同時に全員がシュンと転送魔法で消えた。


あの人数を転送とか、この世界では非常識なハイレベル魔法なんだよな。でもきっとこれもナガミーチ伝説になるのでしょうね。


私は気を取り直し、パンツ型3姉妹を見た。

「さあ、野盗も居なくなったことですし進みましょうか。」


私達はまた最前線へ向かって進む。

いまの茶番はなかったことにして。

お読みくださり有難うございます。


マリー「デルリカ、ナガミーチがデルリカは結婚適齢期の二倍って言ってましたよ。結婚したいですか?」

デルリカ「(額に血管を浮かせて)結婚はタケシー様以外とはありえませんわ。それよりもナガミーチとはお話し合いが必要そうですわね。」

マリー「やったー、じゃあデルリカとはズッ友ですねえ。」

デルリカ「もちろんですわ。そしてナガミーチはずっとワタクシのお話聞き係ですわ。おほほほほ。」

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